表示灯 Research Memo(1):周辺案内地図事業は安定的、既存事業の底上げ・新規事業の拡大が中長期成長のカギ
*11:01JST 表示灯 Research Memo(1):周辺案内地図事業は安定的、既存事業の底上げ・新規事業の拡大が中長期成長のカギ
■要約
表示灯<7368>は、自社開発の周辺案内地図を基礎媒体とした連合広告「ナビタ」(地図広告)が主力事業である。「ナビタ」は、周辺地図・公共施設・災害避難場所等の情報を提供しており、公共性の高い社会インフラの役割を担っている。2025年3月末時点で鉄道駅に2,392ヶ所、自治体に1,055ヶ所など全国4,000ヶ所超の場所に設置されている。また、全国の各交通機関に広告を取り扱うことが許可される指定代理店となっていることに加えて、手頃な価格で広告を提供する方法を確立し、継続的に同社の提供するサービスを利用する多くの広告主を既に獲得していることから後発企業に対して高い参入障壁を築き上げており、優位性を確保している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上収益で前期比1.2%減の10,020百万円、営業利益で同32.0%増の980百万円、経常利益で同29.2%増の1,027百万円、当期純利益で同80.6%増の725百万円となった。減収はサイン事業における大型案件の反動減の影響である。一方、ナビタ事業とアド・プロモーション事業の好調が増益に貢献した。大幅な増益となった主な要因として、営業強化(特にナビタ)による利益率向上、「ナビタ」の戦略的な投資抑制、利益率の高いインバウンド向けWebサービスの好調、自社開発製品である番号案内システムなどの各種ソリューションの拡販による利益率の向上等が挙げられる。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績予想は、売上収益で前期比2.5%増の10,274百万円、営業利益で同0.5%増の985百万円、経常利益で同2.3%増の1,051百万円、当期純利益で同0.5%増の729百万円と、増収増益の見通しだ。売上収益については、ナビタ事業はほぼ横ばい、アド・プロモーション事業とサイン事業が堅調に推移すると見込む。営業利益がほぼ横ばいである理由は、前期増益を牽引したインバウンド向けWebサービスは前期とほぼ同水準を見込むこと、並びに既存媒体の営業強化による利益率向上に取り組むものの、本来前期に予定していた営業人員の増強が今期に遷延となったこと、媒体設備の減価償却費減少や試験研究費減少については一巡するためである。なお、ナビタ事業の売上高は直近で踊り場の様相を見せていることを受け、投資によって従来の印刷物からデジタルサイネージに転換(一定程度の人流が見込まれる鉄道駅)するなど、媒体の付加価値を向上することで、売上高を再び成長軌道に乗せる方針である。
3. 中長期の取り組み
同社の中長期の成長戦略としては、既存事業の深化と新規サービス領域の創造の両輪で進めている。既存事業のうち、主力事業の「ナビタ」は今後、人流がある程度期待できるエリアにおいて従来の印刷物としての周辺案内地図ではなく、デジタルサイネージに一層の転換を進める。新規サービス領域の創造については、直近では番号案内システムや観光案内システムなどデジタルサイネージプラットフォーム技術を駆使した各種ソリューションや、既存媒体と連携したWebサービスなどがある。これらの新規事業を軌道に乗せたうえでさらなる事業の創出を目指している。
■Key Points
・2025年3月期は営業強化による利益率改善、インバウンド向けWebサービスの伸長等により、収益性が大幅に改善
・2026年3月期は成長投資負担で微増益の見通し
・既存事業の進化と新規サービス領域の創造により中長期の成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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