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銘柄/投資戦略 2025/06/23 14:55 一覧へ

ダイダン:過去最高業績と中計上方修正で高まる存在感

*14:55JST ダイダン:過去最高業績と中計上方修正で高まる存在感 【会社概要】
ダイダン<1980>は、電気・空調・給排水衛生設備などの建築設備工事を中心に、設計・施工・メンテナンスまで一貫して手掛ける総合設備工事会社である。1903年、創業者・菅谷元治が大阪市北区壷屋町において、工業生産に必要な各種機械や電気器具、鉄材、石炭などの販売を目的とする「菅谷商店」を創業したことに始まる。以来、長きにわたり国内外の重要施設の設備施工に携わってきた実績を有し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。同社は、「地球と社会と私たちの未来に、安全・快適・信頼の空間価値を届ける」という企業理念の下、社会的ニーズや顧客ニーズの多様化・高度化に応えるべく、技術力の研鑽とサービス品質の向上に取り組んでいる。オフィスビル、病院、研究施設、データセンター、工場など、多岐にわたる施設の設備工事を手掛けてきた。加えて、同社は「ダイダングループサステナビリティ方針」に基づき、環境課題や社会課題への対応を事業活動と有機的に結びつけるサステナビリティ経営に注力しており、ESGへの対応力を企業価値向上のため強化している点が特徴的である。

【2025年3月期決算概要】
2025年3月期の連結業績は、売上高262,732百万円(前期比33.1%増)、営業利益23,037百万円(同2.1倍)、経常利益23,479百万円(同97.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17,443百万円(同92.0%増)となり、全項目で過去最高を更新した。国内事業では、産業施設やデータセンター関連の受注が堅調に推移したことに加え、同社が従来から強みを持つ製薬工場などの医療関連施設向け工事が大きく伸び、増収に寄与した。海外では、シンガポールにおける大型プロジェクトの受注や、Presico社の連結子会社化が寄与し、売上拡大を後押しした。また、採算性の高い手持ち工事案件が順調に進捗したほか、原材料費などの高騰に対して価格転嫁が進んだことで、完成工事総利益率が改善し、収益性も大きく向上した。加えて、投資有価証券の売却益1,140百万円を特別利益として計上したことも、当期純利益の押し上げ要因となった。

【2026年3月期業績予想】
2026年3月期の業績見通しは、売上高260,000億円(前期比1.0%減)、営業利益23,500百万円(同2.0%増)、経常利益23,800百万円(同1.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17,600百万円(同0.9%増)を予想している。前期において大型工事が完工したことの反動減から若干の減収となるが、繰越工事の進捗が順調に見込まれることに加え、直近での採算のよい工事を受注できていることから、利益水準は高水準を維持する見込みである。また、配当方針については配当性向40%以上かつ純資産配当率(DOE)4.8%を下限とする方針を導入し、年間配当金は165円(前期比2円増)を予定している。配当利回りは3.86%。

【成長戦略】
同社は2030年を見据えた長期ビジョン「Stage2030」のもと、中期経営計画「Phase2 磨くステージ」を策定し、収益力向上と持続可能な社会への貢献の両立を図っている。基本方針としては「快適・最適な空間の提供」、「豊かで持続可能な社会への貢献」、そして「信頼される人と組織の深化」という三つの視点を掲げている。こうした基本方針に沿った取り組みを通じて、同中計の最終年度である2027年3月期には、連結売上高2,600億円、連結営業利益160億円、自己資本利益率(ROE)10%以上を数値目標として掲げていた。しかし、足元の想定を上回る進捗を反映し、2025年5月9日に同中計の業績目標の上方修正を発表。売上高2,700億円(100億円増)、営業利益240億円(80億円増)、ROE12%以上(2ポイント増)へと修正した。また、財務戦略指標についても上方修正を行なっており、成長投資3年累計430億円(130億円増)のほか、先に述べた通り配当方針としてDOE下限を4.8%(0.8ポイント増)としている。戦略の実効性が着実に発揮されつつある同社の今後に引き続き注目したい。

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