シンシア Research Memo(1):2024年12月期は売上高、経常利益は過去最高を更新。主力事業も順調に推移
*13:01JST シンシア Research Memo(1):2024年12月期は売上高、経常利益は過去最高を更新。主力事業も順調に推移
■要約
シンシア<7782>は、使い捨てクリアレンズを中心としたファブレスのコンタクトレンズ製造・販売会社である。クリアレンズの「SINCERE S」(以下、「シンシア S」)「L-CON」「Eye Well(アイウェル)」ブランドのほか、カラーコンタクトレンズ(以下、カラーレンズ)の「FAIRY(フェアリー)」ブランドを展開し、国内では売上高ランキング上位に位置する。また、クリニックのコンサルティング事業、リユース業界向けPOSシステム開発・販売事業を買収し、事業の多角化、収益基盤の強化を進めている。
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高6,539百万円(前期比9.7%増)、営業利益484百万円(同28.6%増)、経常利益468百万円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益301百万円(同2.1%増)と増収増益となった。売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を更新した。売上高は、2024年3月に100%子会社化した(株)タロスシステムズの売上高(405百万円)のオンが大きく寄与した。また、主力のコンタクトレンズ事業の売上高も同2.9%増と順調に推移した。第3世代と言われるシリコーンハイドロゲル素材を採用した「シンシア S」シリーズも引き続き好調で、自社ブランド製品の売上高は同3.4%増となった。一方、プライベートブランドは価格競争の厳しいカラーレンズの売上高が大きく落ち込み、売上高は同2.2%増に留まった。利益面でもタロスシステムズの貢献が大きい。また、過年度に実施した為替予約や主要製品のドル建てから円建て仕入れへの変更などの為替ヘッジ施策が奏功し売上総利益率は同1.2ポイント上昇の32.1%となった。販管費はタロスシステムズの人件費、減価償却費、のれん償却費の負担増などにより同9.9%増となったが、売上総利益の増加で吸収し営業利益は同28.6%増と2ケタ増益となった。EBITDA(営業利益+償却費)は、タロスシステムズの減価償却費18百万円、のれん償却費42百万円が加わり同44.3%増の564百万円となった。また、期中に配当性向の目標を30%から40%に引上げ、1株当たり配当金は期初予想から7.0円引き上げ、同5.0円増配の19.0円とした。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高6,652百万円(前期比1.7%増)、営業利益268百万円(同44.7%減)、経常利益248百万円(同46.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益155百万円(同48.4%減)と増収、減益を見込んでいる。EBITDAは同34.6%減の369百万円を見込む。主力のコンタクトレンズ事業の売上高は同1.6%増と堅調に推移する見通しだ。2025年2月に新製品「シンシア1DAY S 乱視用」を発売したほか、引き続き「シンシア S」シリーズの営業活動を強化し自社ブランド製品の売上高を同4.9%伸ばす計画だ。一方、価格競争が厳しいプライベートブランドはカラーレンズの受注が落ち込み同3.3%減を見込む。コンサルティング事業とシステム事業は非公開だが、弊社では前期並みと見ている。利益面では、円安水準の継続を想定しており、前期に一部製品の円建て仕入れにより為替リスクを抑制したものの、円安進行前の過年度に2〜3年タームで為替予約してきたヘッジ施策が剥落するため、売上総利益率は29.8%と前期を2.3%下回り、売上総利益は同5.4%減となる見込みだ。販管費も同社の新製品発売に伴う広告費、販促費、タロスシステムズのシステム開発にかかる人件費、業務委託費などの成長投資を増やし同6.5%増となるため、営業利益は同44.7%減を見込む。
■Key Points
・2024年12月期は新たにシステム事業が加わり増収増益
・「シンシアS」シリーズが好調で主力のコンタクトレンズ事業も順調に推移
・2025年12月期はコンタクトレンズ事業が堅調に推移し増収見込み
・円安水準継続を想定し、売上原価の上昇、成長投資増加により減益見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>