システム ディ Research Memo(7):2025年10月期は、2期振りに過去最高業績を更新する見通し
*12:07JST システム ディ Research Memo(7):2025年10月期は、2期振りに過去最高業績を更新する見通し
■システム ディ<3804>の今後の見通し
1. 2025年10月期の業績見通し
2025年10月期の連結業績は売上高で前期比8.5%増の5,024百万円、営業利益で同12.6%増の932百万円、経常利益で同12.2%増の931百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同12.9%増の627百万円と増収増益に転じ、2期振りに過去最高業績を更新する見通しだ。引き続き社内体制の強化を図りながら攻めの営業で新規顧客を獲得し、さらなるシェア拡大とストック収益の積み上げにより、いかなる市場環境下にあっても業績を着実に伸ばすことのできる「強靭なシステム ディ」の事業基盤を構築する方針だ。
売上高はすべての事業部門で増収を見込んでおり、50億円の大台を突破する計画で、2025年春の新卒社員も21名(前年は17名)と増員し、社員数も300人を超える体制となる。人件費や営業経費の増加が見込まれるものの、増収効果で吸収し営業利益率は前期の17.9%から18.6%に上昇する見通しだ。なお、今期は第2四半期に学園ソリューション事業において新規案件の納品が集中する見込みとなっているため、売上高・各利益ともに半期ベースで見れば前半にやや偏重する業績計画となっている。
新規顧客及び追加案件の獲得により、すべてのソリューション事業で増収を見込む
2. 事業部門別の売上見通し
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業は前期比7.1%増の1,480百万円と2期振りの増収に転じる見通し。前期に新規顧客から受注した「Campus Plan」の納品が第2四半期に集中することや、既存顧客からの追加案件の獲得が見込まれる。また規模が小さい対象顧客については、初期投資負担の少ない「Campus Plan Smart Cloud」を提案し、シェアを拡大する戦略だ。
(2) 公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は前期比8.2%増の1,550百万円と増収基調が続く見通し。2024年4月より「Shool Engine」の本格稼働を開始した山口県と岩手県の県全域大型案件が通年で寄与するほか、高校向けについても新たに1県の受注を獲得しており、2025年4月の稼動開始に向けて準備が進んでいる。2025年度以降、小・中学校向けにおいて県全域で共同調達を行う大型案件の入札が増えるほか、高校向けについてリプレース案件が増加する見込みとなっており、処理能力の増強に向けた体制強化を進める方針だ。
文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和5年度)」によれば、2024年3月時点における全国の公立学校約3.2万校のうち、統合型校務支援システムを導入済みの学校は91.4%(うち、高校は98.8%)になっている。ただ、導入済みシステムのうち外部ネットワークに接続していないオンプレミス型システムも相当数あり、今後はオンプレミス型からクラウドサービスへの切り替え需要が出てくるものと見込まれる。クラウドの活用によって、業務のロケーションフリー化や高度化(ペーパーレス化、コミュニケーションツールの活用、各種データ連携やダッシュボード機能の活用によるデータの可視化等)が可能となり、職員の業務負担軽減にもつながるメリットがあるためだ。2024年度には生成AIの校務での活用に関する実証研究も実施されている。同社も生成AI機能の開発に着手しており、今後各教育委員会においてオンプレミス型からクラウドサービスに切り替えを進める際には、受注を獲得する好機になると弊社では見ている。
また、公立高校入試に対応したWeb出願システムについても、今後導入先が広がる見通しだ。公立高校でのWeb出願システムは大都市圏など一部で導入が始まったばかりだが、出願や受付に関わる学校の業務負担軽減や受験生・保護者の利便性向上につながることが実証されており、教育のDX化推進施策の1つとして今後すべての自治体で導入が進むものと予想される。同社は新潟県と大阪府で導入実績があり、秋田県でも導入の準備を進めているもようだ。単年度業績へのインパクトは軽微だが、Web出願システムを導入した都道府県では「School Engine」の小・中学校県域案件を受注できる可能性が高まると弊社では見ている。Web出願システムも校務支援システムと連携するため、同一ベンダーのほうが利用者側にとっても好ましいためだ。同社は小・中学校向けのシェアは1割強と低いものの、高校に関しては過半のシェアを握っており、Web出願システムの導入を機に小・中学校向けのシェアを拡大する戦略だ。なお、Web出願システムの競合先としては三菱総研DCS(株)、(株)システム研究所などがある。
(3) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業は前期比8.5%増の640百万円と3期振りの増収に転じる見通し。「PPP」の保守・サポート売上が堅調に推移するほか、「PPP」と連携できるメリットを生かして「公有財産管理システム」の導入が進む見通しだ。自治体では学校や病院などの公共施設のほか、道路や橋梁、水道管など多くのインフラ資産を保有しており、これらの維持・更新や再開発、拠点統合といった課題を多く抱え、限られた財源の中で毎年計画的にこれらを実行していく必要がある。こうしたなかで、「PPP」と自動連携が可能な「公有財産管理システム」の潜在ニーズは大きいと見られ、「PPP」導入自治体を中心に拡販を進めることにしている。受注状況は順調のようで既に受注済みの案件も複数出ているもようだ。「PPP」ユーザーすべてに導入されれば、中長期的に売上規模も現在の2倍程度に拡大する可能性があり成長期待は大きい。さらに、「Common財務会計システム」についても、公会計制度の改正が決まれば受注獲得の好機となる。
(4) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業は前期比11.8%増の800百万円と2期振りの増収に転じる見通し。主な増収要因は「Smart Helloチケット」で、インバウンド需要の活況を追い風に複数のレジャー施設で新規導入が決まっている。また、「Smart Hello」についても引き合い状況は前期と同様に好調で、ストック収益の積み上げに寄与する見通しだ。
(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業は前期比12.8%増の372百万円と増収基調が続く見通し。製薬業界や自動車業界などにおける生産品質管理体制の不備や金融業界における社員の不正問題など、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの強化が引き続き強く求められる環境下において、高機能で使い勝手の良い同社製品の導入が、民間企業や金融機関、学校法人、医療法人などで進むものと予想される。
(6) 薬局ソリューション事業・他
薬局ソリューション事業・他は前期比0.4%増の182百万円と横ばい水準を見込む。薬局ソリューションについては、オンライン資格確認システムのオプションサービスの導入が進むほか、電子処方箋受付システムの需要が見込まれ堅調に推移する見込み。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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