日産東HD Research Memo(9):売上高のハードルは上がったが、利益は十分達成可能
*16:19JST 日産東HD Research Memo(9):売上高のハードルは上がったが、利益は十分達成可能
■日産東京販売ホールディングス<8291>の業績動向
4. 2025年3月期の業績見通し
同社は2025年3月期の業績に関して、期初予想のまま、売上高150,000百万円(前期比0.7%増)、営業利益7,500百万円(同13.9%減)、経常利益7,000百万円(同16.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,500百万円(同38.7%減)と見込んでいる。引き続き個人リースの伸長、中古車事業と整備事業の好調維持を想定している。また、持続的成長のための人的資本の充実や顧客利便性向上のための店舗投資など、中期経営計画の取り組みを着実に推進することで、事業の成長を図るとともに企業価値の向上に努める考えである。
売上面では、新車について、日産自動車のグローバルな小売販売台数が365万台から340万台へと下方修正されたが、これは海外が中心で、国内は同社の販売現場から見ると特に大きな問題はないようだ。現時点でインパクトのある新型車投入の情報はないが、既存電動車の人気が高いうえ、子会社譲渡の影響とEVの一時的な販売減は下期に一巡、個人リースは引き続き伸長が予想されており、下期に入って足元の受注も強めに推移している模様である。店舗ネットワークも進化を加速している。また、中古車事業と整備事業は、中古車個人リースが勢いよく立ち上がっていること、「車検館」が効率化を一層推進して入庫台数の増加を図っていることなどから、引き続き堅調な業績を見込むことができる。上期の減収でハードルは上がったが、このような努力によって下期に売上高の挽回を図る考えである。
一方、利益面では、日本経済も車両不足も正常化するなか、物価上昇に加え、持続的成長のための人的資本や店舗、働く環境整備などへの投資の増加を想定している。人的資本については、人財確保に向けて新卒や中途採用を増やすほか、働き方改革や教育などに積極的に投資する方針である。店舗では、より多くの先進装備を顧客に体験してもらうため、電動車の試乗車を最新のものへ入れ替える投資を行う予定である。また、電動化・安全/運転支援技術に対応するため、測定機器など最新鋭の整備機器を導入することも計画している。このように必要なコストは投じるが、上期同様、ベストプラクティスによる収益性の改善に加え、販売動向に合わせてコストをフレキシブルに抑制することが見込まれるため、通期予想は十分達成可能と思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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