新興市場見通し:内需株の構成割合が大きい中小型株に資金が向かいやすい
*13:25JST 新興市場見通し:内需株の構成割合が大きい中小型株に資金が向かいやすい
■中小型株への物色も活発
今週の新興市場は上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+2.16%だったのに対して、グロース市場指数は+4.38%、グロース市場250指数は+4.57%。日経平均は米国の欧州連合(EU)への関税発動延期が好感されたほか、米エヌビディアの良好な決算や円安が追い風になった。リスク選好の動きが強まる中、中小型株への物色も活発となり、相対的に日経平均を上回る上昇となった。時価総額が大きい銘柄は売り買いが交錯したものの、グロース市場コア指数は週間ベースで+9.26%だった。
時価総額上位銘柄では、ジーエヌアイグループ<2160>がストップ高を交えての上昇で、20年10月6日以来の上場来高値(分割考慮)を更新。ライフネット生命保険<7157>は、5月に入って上昇基調が続いており、昨年12月以来の2000円台を回復した。QPS研究所<5595>は、貸借銘柄への選定で流動性が向上し、昨年7月以来の水準を回復している。半面、サンバイオ<4592>は5月29日、外傷性脳損傷の治療薬「アクーゴ」をめぐり3回目の市販品製造の結果が基準値を満たし適合になったと発表し、年初来高値を更新したが、その後急落するなどバイオ関連物色に息切れもみられた。
今週はIPOがなかった。4月22日にグロース市場に上場したデジタルグリッド<350A>への物色が続き、5月30日に8050円まで買われ上場来高値を更新した。一方で、4月24日に上場したLIFE CREATE<352A>は、5月16日につけた1599円をピークに調整が続いている。
■AIロボティクス関連などに注目
来週の新興市場は、相対的に内需株の構成割合が大きい中小型株として注目が高まるだろう。トランプ米大統領は、中国が「合意に違反した」と自身のSNSに投稿しており、米中の緊張が再び高まるとの懸念が広がる可能性がある。為替市場では今週、ドル・円が1ドル=146円台とドル高円安に振れる場面もみられた。ただ、翌日には1ドル=143円台とドル売り・円買いが強まっており、米国関税を巡る不透明感が高まる中で内需系に資金が向かいやすいだろう。
「AI関連技術の研究開発・活用推進法」が5月28日に成立。AI活用の基本計画の1つに、ロボット分野へのAI活用を盛り込む方針と伝えられている。AIロボティクスに注力する豆蔵デジタルHD<202A>のほか、香港のスタートアップとの業務提携でドローンとAI技術活用に取り組むLiberaware<218A>、AI搭載ロボットを手掛けるFRONTEO<2158>などの動向が注目される。
今週、決算を手掛かりに買いが目立ったエルテス<3967>は、上値を抑えられていた25日・75日移動平均線(25・75MA)を3カ月ぶりに上抜けた。cotta<3359>は、25年9月期業績予想の上方修正を受けてマドを空けての上昇をみせており、リバウンド基調を強めてくるかが注目される。住友生命保険との資本業務提携契約の締結を発表し、週末にストップ高まで買われたカラダノート<4014>へも引き続き関心が集まりやすいだろう。
来週もIPOの予定はない。6月20日にスタンダード市場に上場する伊澤タオル<365A>のブックビルディング(BB)期間が6月4-10日。6月23日にグロース市場に上場するウェルネス・コミュニケーションズ<366A>のBB期間が6月5-11日となる。
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