ムゲンE Research Memo(7):第3次中期経営計画で売上高1,000億円突破を目指す
*14:07JST ムゲンE Research Memo(7):第3次中期経営計画で売上高1,000億円突破を目指す
■成長戦略・トピック
1. 第3次中期経営計画(2025年12月期~2027年12月期)の策定
ムゲンエステート<3299>では、2030年長期ビジョンとして「不動産事業を通じて、持続可能な経済価値・社会価値を創造」を掲げ、その実現を目指している。第3次中期経営計画の最終年度となる2027年12月期は、2030年までの中間点にあたり、その時点でのあるべき姿として、「組織力の強化を起点に、事業領域の拡大と新規事業の創出」を目指す。経営方針として「資本コストと株価を意識した経営」と「サステナビリティ経営」を掲げ、コア事業である不動産買取再販事業、成長事業である不動産開発事業・不動産特定共同事業、それぞれにおいて事業領域の拡大と新たな価値創造を行う。具体的には不動産買取再販事業において、営業生産性の向上、営業エリアの拡大、営業チャネルの拡充、アセットタイプの拡充などを計画している。新しいアセットタイプとしては、物流施設、ホテル、ヘルスケア施設、データセンターなどを想定している。これらの事業戦略に加え、基盤となるのが人材戦略であることから、多様な人材の獲得と育成や制度の構築に取り組む。また、DX戦略を加速し、顧客満足度の向上や業務効率の最大化を図る。獲得した利益に加え、財務健全性の維持と資金調達の多様化によるキャッシュを原資として、販売用不動産の仕入等(2,000億円〜2,400億円)、人的投資/DX投資/M&Aなどへの投資(100億円〜130億円)、株主還元(80億円〜100億円)に配分する計画である。
数値目標としては、2027年12月期に売上高で105,712百万円、営業利益で14,428百万円、経常利益で13,248百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で9,361百万円を目指す。この目標数値は、2024年12月期の実績と比較すると、売上高で1.70倍、営業利益で1.50倍に相当する。目標とのギャップを埋めるべく、特に事業拡大が見込まれるのは投資用不動産の買取再販であり、2027年12月期に売上高で48,166百万円(2024年12月期から21,123百万円増)と大幅に増加する。また、不動産特定共同事業の成長性は最も高く、2024年12月期の3.3倍となる売上高7,150百万円を目指す。KPIとしては、資本コストや株価を意識した経営を実現すべく、成長性・資本効率性・財務健全性・株主還元の最適なバランスを追求する指標を選定した。成長性指標(CAGR)では、売上高20%以上、EPS15%以上とした。資本効率性ではROE20%以上、財務健全性では自己資本比率30.0〜35.0%、ネットDEレシオ1.2〜1.5倍、株主還元では配当性向40%以上、中間配当の実施を掲げた。
2. 仕入計画
業績計画の基盤となるのが仕入である。不動産売買事業の合計の仕入額は、2025年12月期から2027年12月期までの3年間で2,157億円であり、2027年12月期単独では777億円に達する。主力の不動産買取再販事業では、地方エリアも含めて投資用物件の仕入に注力する。全国に配置した拠点及び獲得した人材を戦力化することで買い負けない体制が整っている。また、不動産開発事業・不動産特定共同事業では、厳しい仕入基準が求められるため、グループ内での連携を深め、収益性を見極めたうえで仕入活動を展開する。同社の強みである強固な財務基盤や金融機関との良好な関係は、仕入計画の達成において優位性を持つと言えるだろう。
3. 新規事業
同社は、2025年1月、不動産アセットマネジメント事業への参入を目的として(株)ムゲンアセットマネジメントを設立した。中長期的には、同社グループが持つ不動産買取再販事業を中心としたバリューアップのノウハウと不動産金融ビジネスの知見を融合することで、不動産事業全体の拡大を推進する。また、不動産流動化を通じて、投資家のニーズにマッチした商品の提供も図る。今後数年間で段階的に私募ファンドを組成し運用資産残高を3年後の2027年12月期に280億円まで拡大する考えだ。
4. 資本コストや株価を意識した経営
同社は、資本コストや株価を意識した経営に取り組んでいる。重要指標としてはPBR(=ROE×予想PER)を定めて改善してきた結果、直近ではいずれの指標も業界平均(不動産買取再販事業者13社平均)を上回る。特に利益成長の追求と資本効率の改善を行ってきた結果、ROE実績は20.4%(2024年12月期)と業界平均の13.9%に差をつけている。今後も改善の余地が残るため、継続的な業績改善とともに、収益性、資本効率性、財務健全性の観点からの取り組みや、株主・投資家向けのIR活動を積極的に推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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