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銘柄/投資戦略 2025/03/12 14:11 一覧へ

サンコーテクノ:あと施工アンカー業界で国内シェア1位、安定増配かつPBR1倍改善に向けて注力

*14:11JST サンコーテクノ:あと施工アンカー業界で国内シェア1位、安定増配かつPBR1倍改善に向けて注力 サンコーテクノ<3435>は、あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具の開発・製造・販売などを手掛けるファスニング事業(2024年3月期売上高構成比84.3%)を主力に、FRPシート関連、電子プリント基板や各種測定器および包装・物流機器の製造・販売等を手掛ける機能材事業(同15.7%)も展開している。

ファスニング事業で展開している「あと施工アンカー」は、コンクリートなどに対して物を固定・取り付ける際に使用され、金属系アンカー、接着系アンカー、その他のアンカー類と大きく3つの種類に分かれている。看板や標識の取付けから配管設備の固定、建物の耐震補強、ベンチの取付け、ソーラーパネルの設置に使用されるなど様々な用途で活用される。あと施工アンカー生産額市場規模20,504百万円(25社)のうち、同社は約40%のシェアで「あと施工アンカー」業界の国内シェア1位となっている。また、資材商社や地域販売店約5,000社と取引を実施し、設備メーカー・設備工事業者、ホームセンターなどにも販売網を広げている。また、ゼネコン・鉄道会社等と共同製品・工法開発を行い、市場拡大を行っている。

機能材事業の主力製品は、運転前後のアルコール測定に使用される呼気アルコール検知器や、横断歩道橋・地下タンクをはじめとしたコンクリート構造物・鋼構造物の補修・補強に使用されるFRPシートとなる。これらを旅客貨物事業者・工事業者などに提供する。電子基板関連は、子会社独自の技術(防水・防滴・防塵に優れた基板など)を活かした製品を販売している。

2025年3月期第3四半期累計の売上高は前年同期比0.4%減の15,702百万円、営業利益は同32.9%減の1,046百万円で着地した。ファスニング事業では、あと施工アンカーの販売が前年を上回る水準で堅調に推移したものの、電動油圧工具関連の販売並びに完成工事高が前年を下回った。また、機能材事業でも、FRPシート関連・アルコール検知器関連並びに包装・物流機器関連の販売は前年を上回る水準で推移したが、電子基板関連の販売が前年を下回った。機能材事業のセグメント損失は、主に電子基板関連のコスト増の影響のほか、子会社株式取得関連費用も響いた。通期の売上高は前期比4.1%増の22,000百万円、営業利益は同10.5%減の1,850百万円を見込む。

同社は中期経営計画を発表しており、2027年3月期の売上高240億円(ファスニング事業190億円・機能材事業50億円)、経常利益21億円を掲げている。全社的には、地域密着型の拠店戦略に注力するソリューション営業を強化するほか、製品購入後も顧客をサポートすることで良好な関係性を構築し、人財育成・全体最適化・DX化も推進する。具体的に、ファスニング関連では製品・技術・サービスをバランスよく提供する「ソリューション営業」のさらなる進化や顧客の困りごとを解決する創造提案型営業の展開を行う。また、電動油圧工具関連も代理店との関係強化による海外売上高を伸長させていく。一方、機能材事業もアルコール検知器関連では緑ナンバー・白ナンバーの買い替え需要を取込み、FRPシート関連でも歩道橋補修工法の全国展開と用途開発の深耕を行い、成長を図っていく。そのほか、資本政策では、自己資本比率65~70%の維持を目標としつつ成長のための投資と安定増配をバランスよく実現させる。同社は2010年3月期以降、14年連続で減配なしとなっており、今後も原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」(累進的配当政策)を掲げている。配当利回りは3%超だ。さらに、PBRが0.5倍台で推移する中、既存事業の更なる成長およびM&A戦略の推進により、安定増配とIR活動の推進を通じてPBR1.0倍以上の早期回復を目指している。今期減益見通しながらもトップラインは底堅く成長しており、安定増配かつPBR改善に注力していく同社の今後のアップサイド余地は大きそうだ。

<NH>

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