トヨクモ Research Memo(1):2024年12月期も計画を上振れて着地。買収した新サービスで成長加速を狙う
*13:01JST トヨクモ Research Memo(1):2024年12月期も計画を上振れて着地。買収した新サービスで成長加速を狙う
■要約
トヨクモ<4058>は法人向けのクラウドサービスを提供するSaaS(Softwere as a Service)企業である。安否確認サービスやサイボウズ<4776>の「kintone(キントーン)」に連携するクラウドサービス、日程調整が簡単に行えるグループスケジューラー等の提供を行っている。
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期業績(連結)は、売上高が3,146百万円、営業利益が1,162百万円、経常利益が1,162百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が841百万円となった。2024年12月期より連結業績の開示に変更したため、前期との比較は開示されていないが、個別では、売上高で前期比28.3%増、営業利益で同34.1%増、経常利益で同34.3%増、当期純利益で同35.0%増となった。同社は2024年11月の第3四半期決算発表時に業績予想を上方修正し、おおむねその上方修正計画に沿った着地となった。売上高としては、安否確認サービス、kintone連携サービスがともに良好に推移し、営業利益は上方修正比で上振れとなった。同社の想定より売上高が伸長したことに加え、人件費が想定を下回ったことが影響した。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の業績見通しは、売上高で前期比46.2%増の4,600百万円、営業利益で同20.4%増の1,400百万円、経常利益で同20.4%増の1,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同30.7%増の1,100百万円である。売上高については、安否確認サービスとkintone連携サービスの有償契約数の伸長が引き続き見込まれている。営業利益率は前期の36.9%に対して30.4%と低下する見通しである。加えて、2025年1月に(株)プロジェクト・モードを買収したことによる償却負担も発生する見込みである。同社は高い売上成長を持続しながら中長期的に営業利益率30%以上を継続するため、売上比率で30%を目途とした人件費及び営業利益率30%を意識した規律ある広告投資を両立する計画である。同社では期初計画をやや保守的に発表する傾向が強いものの、kintone連携サービスの価格改定効果による直近の月次売上高は大幅に増加しており、このペースが続けば2025年12月期も計画比で上振れでの進捗になると推察される。2025年1月に買収したマニュアル作成・ナレッジ管理SaaS「NotePM(ノートピーエム)」については、ナレッジマネジメント市場は拡大期にあり、同社のコア事業である安否確認サービスよりも市場規模は大きく、成長ポテンシャルを有している。また、同社とプロジェクト・モードのビジネスモデルが極めて近く、シナジーを最大限に発揮することで今後の事業拡大が期待される。
3. 中期成長戦略
同社は、IT初心者においても簡単でシンプルで分かりやすいサービスを提供する「ITの大衆化」の実現を目指している。現在のクラウド型のビジネスモデルを突き詰めることで、中期的に大きな成長を目指す戦略である。安否確認サービスは、従前からの使い方である自社従業員に対して行うものに加え、企業が災害時に事業活動の継続を検討するために、取引先も含めたサプライチェーン全体で利用を広げていく。kintone連携サービスについては、引き続きクロスセルによる顧客当たりの売上単価の向上を進める。
■Key Points
・2024年12月期の個別業績は2ケタ増収増益。同社の想定より売上高が伸長
・2025年12月期も利益を確保しつつ、人材採用の加速や平均賃金の継続的な引き上げを行う計画
・2025年1月のマニュアル作成・ナレッジ管理SaaS「NotePM」の買収を経て、ナレッジマネジメント市場への新規参入
・KPIとして有償契約数・チャーンレート・LTVを重要視、高いストック売上比率と間接費を抑えた事業運営で、高い利益成長は続く
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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