アルファパーチェス Research Memo(7):2029年度に売上高1,000億円、営業利益35億円を目指す
*11:07JST アルファパーチェス Research Memo(7):2029年度に売上高1,000億円、営業利益35億円を目指す
■中長期の展望
アルファパーチェス<7115>は2025年5月に中期経営計画を発表した。その内容と展望から、同社の成長余力は大きく、中期経営計画の目標が達成される可能性は高いと弊社は見ている。
1. 中期経営計画
(1) 位置付け
同社では、「ありたい姿へのステップアッププラン」としてこの中期経営計画を位置付けている。顧客の業務に必要な商品やサービスの提供を通じて、以下の施策を推進する。
・ カタログやサプライヤー網を整備し購買プロセスを可視化する
・ 「三方良し」の集中購買を推進し購買BPO※1を展開する
・ 社会全体の全体最適に貢献するため、顧客価値創造を提案し購買DX/購買レス※2を推進する
※1 BPO:Business Process Outsourcing、顧客にとって付加価値の低い業務を同社が代行すること。
※2 顧客が個別の購買行動を意識せずとも業務に最適なモノやサービスが、業務の進捗に応じてタイムリーに手に入る姿が理想。
(2) 定量的目標
定量的目標としては、2029年12月期に売上高1,000億円、営業利益率3.5%(営業利益35億円)、ROE20%以上を掲げる。2024年度の実績が売上高559億円、営業利益率2.2%、ROE15.1%であったことから、中期経営計画期間中の年平均成長率は12.3%を目指している。
2. 潜在的な市場規模
(1) 会社数からの成長余地
同社がMRO事業の対象としているのは、売上高1,000億円以上の企業で、約1,000社存在する。このうちすべての企業が購買業務をアウトソーシング化するとは考え難いが、仮に半分がアウトソーシング化するならば潜在市場は500社となる。現在の同社のMRO事業の主要顧客数は42社であり、500社の8.4%に過ぎない。大企業は今後一段と非主要分野での合理化を進めることが予想される。間接材のアウトソーシング化は進むことはあっても後退することはないだろう。この市場において同社がトップランナーであることを考慮すれば、成長余力は大きいと言える。
(2) 購買金額からの成長余地
同社の推定では、大企業における間接材の年間購入金額は約5兆円と推定され、そのうち約4兆円(全体の80%)は直接材料と同様の購買管理がされる「協定品」である。残りの約1兆円(20%)が多品種、少額で、管理工数をかけると逆に割高となる「Long Tail」領域である。
さらにこの1兆円のうち約4,000億円は購入品の仕様を確定するのに交渉を要する商品であり、また約2,000億円は価格交渉が必要な規格品市場だ。その残りの約4,000億円が同社のようなカタログ販売が可能な領域であり、ここが同社にとっての顕在化した市場である。この4,000億円の市場に対して、現在の同社の大企業向けカタログ販売は約350億円(MRO事業売上から中小事業所向けを除いた大企業向け直販金額)であることから、市場シェアは約9%と推定され、同社事業にとっての潜在的な市場は膨大とも言える。
3. システム開発力と「無限カタログ」
(1) システム開発力が強み
同社の強みはシステム開発力、特に様々なシステムとの連携を可能にするシステムの開発力にあると弊社では見ている。その証左はバランスシートに表れている。流動資産及び流動負債の大部分は売掛金と買掛金であり、在庫はほとんどない。一方で固定資産は無形固定資産(主にソフトウェア)が大部分を占めている。潜在的な市場は膨大であるが、同社は過去から培ったこの無形資産を生かすことで、他社に対する差別化が進むだろう。
(2) 「無限カタログ」
1) 「無限カタログ」の概要
同社の開発力の1つを示すのが2024年9月に発表された「無限カタログ」だ。これは以前から同社が提供していたAPMROの中から電子カタログ機能のみを抜き出し、ダイナミックにカタログ化することで文字どおり無限に品目数を増やすことを目指した電子カタログ機能である。単なる商品や価格のリストではなく、APMROの本体部分とも言えるシステムモジュールであり、今後のさらなる機能強化によって、顧客の購買条件変更の要求や商品の仕様変更などの要求に柔軟に対応できる。従来のカタログでは困難だった範囲も取り扱い、また連携できるECサイトや購買システムを広げて、事実上、取扱商品数を無限にすることを目指している。
2) 「無限カタログ」:強化した商品比較機能
「無限カタログ」で強化された機能の1つが商品比較機能だ。従来の仕組みでは、価格比較情報はあるが、顧客自身が積極的に商品選択をし直す必要があった。たとえば、従来の仕組みでは顧客がカタログAから商品Xを選択すると、他のカタログ(カタログBやカタログC)に掲載された同一商品(カタログによってコードや商品番号は異なっても同一メーカーの同一商品)の価格比較情報を表示するが、どのカタログの商品を選ぶかの最終決定は顧客自身で行う必要があった。
「無限カタログ」では、価格や在庫状況を反映した自動的な商品選択が行われるため、たとえば顧客が商品Xを求めている場合、様々なカタログに掲載された同一商品の中から「カタログCが最も安く○○円で、在庫もあります」といった判定を経て、カート内の商品が自動的に「推奨品」に切り替わる。この強力な推奨機能の効果で、顧客の選択の負担は大幅に軽減される。
さらに「双方向商談機能」も実装する予定であり、価格が頻繁かつ大幅に変動する市況商品、商談規模や新製品発売で価格が大きく変わる商品、商材のバリエーションが多くカタログ化できない商品、受注生産型の産業資材・部品といった単純なカタログ購入が難しい商品に対しても、電子カタログ内の資料を添付し、問い合わせ(チャット)機能によって相談・商談・成約まで、即座に取り引きの実行が可能となる。
(3) 新規顧客開拓に向けた施策
1) LP※の強化
同社では、中期経営計画目標達成のため新規顧客の開発を積極的に推進しているが、その原動力となるのが「無限カタログ」のさらなる知名度アップだ。これを推進するために、導入部門に向けたランディングページを強化している。
※ LP:Landing Page
2) 無限カタログ導入の成果事例を掲載
無限カタログの専用Webサイトでは、無限カタログを導入した顧客の「成果事例」を多く掲載し、訴求を図っている。
3) 無限カタログ導入の経済効果の明示
さらに無限カタログ導入による具体的な経済効果(物品コストの削減、業務工数削減、調達リードタイム短縮など)を掲載することで浸透を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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