米中貿易戦争激化懸念からリスク回避の動き【クロージング】
*16:55JST 米中貿易戦争激化懸念からリスク回避の動き【クロージング】
11日の日経平均は大幅反落。1023.42円安の33585.58円(出来高概算24億3000万株)で取引を終えた。米国と中国の貿易摩擦激化から世界経済が停滞するのではないかとの懸念からリスク回避の動きが強まった。日経平均は前日に回復した節目の34000円台を割り込んで始まり、前場中盤にかけて32626.58円まで下押しした。また、東京時間に入り、円相場が一時1ドル=142円80銭台と昨年10月以来となる円高水準となったことも投資マインドを悪化させた。ただ、心理的な節目の32500円を目前に押し目を拾う動きから下げ幅を縮め、後場は33500円前後での推移となった。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1100に達し、全体の7割近くを占めた。セクター別では、33業種すべてが下落し、医薬品、保険、銀行、精密機器、輸送用機器の下落が際立っていた。指数インパクトの大きいところでは、ベイカレント<6532>、イオン<8267>、日製鋼<5631>、メルカリ<4385>がしっかりだった半面、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>、テルモ<4543>、ソニーG<6758>、中外薬<4519>が軟調だった。
トランプ大統領が中国に課した追加関税は計145%で、米中貿易摩擦の激化に対する懸念から、前日の米国市場では主要株価指数が大幅安となり、東京市場にも売りが波及した。また、円相場も半年ぶりに円高水準に達しているため、輸出採算の悪化から自動車など輸出関連株が売られた。また、米国では多くの企業が合併計画を保留にすることが想定されるとして投資銀行業界では人員削減が活発化するとの見方から米金融株が下落。これを受けて、メガバンクなど国内大手金融株にも値を消す銘柄が目立ち、日経平均の下げ幅は一時2000円に迫る場面があった。
日経平均は連日、4桁の上昇と下落を繰り返すなど不安定な動きが続いている。関税政策を巡り、米国と中国は報復合戦となっており、その影響は軽視できないだけに、今後も警戒は必要だろう。それ以外の国については、関税の一時停止期間中にどれだけ交渉が進むのかが焦点で、交渉動向にも引き続き注目されるだろう。
<CS>