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銘柄/投資戦略 2025/03/24 13:07 一覧へ

シンシア Research Memo(7):2025年12月期は円安継続を想定し、売上原価上昇、成長投資増加で減益見込み

*13:07JST シンシア Research Memo(7):2025年12月期は円安継続を想定し、売上原価上昇、成長投資増加で減益見込み ■今後の見通し

1. 2025年12月期の業績見通し
シンシア<7782>の2025年12月期の連結業績は、売上高6,652百万円(前期比1.7%増)、営業利益268百万円(同44.7%減)、経常利益248百万円(同46.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益155百万円(同48.4%減)と増収、減益の見通しだ。EBITDAは369百万円と同34.6%減を見込む。主力のコンタクトレンズ事業の売上高は6,174百万円と同1.6%増を見込む。2025年2月に新製品「シンシア1DAY S 乱視用」を発売したほか、引き続き「シンシア S」シリーズの営業活動を強化し、自社ブランド製品の売上高は4,098百万円と同4.9%伸ばす計画だ。また、ドラッグストア向けの「Eye Well」ブランドの販促も強化し、インバウンド需要を取り込む。一方、価格競争が厳しいプライベートブランドのカラーレンズの売上が同19.9%減と前期に続いてさらに落ち込む想定だ。プライベートブランドはクリアレンズが前期並みの想定だが、合計の売上高は同3.3%減の2,086百万円となる計画だ。コンサルティング事業とシステム事業は非公開だが、合計で前期並みを見込んでいる。

利益面では、自社ブランド製品の売上比率が66.3%と前期を1.9ポイント上回り売上総利益率が改善するが、円安水準が続くと想定しており原価の上昇は避けられない見通しだ。前期において主要製品を円建て仕入れに変更することで一部為替リスクを抑制しているが、円安進行前に2〜3年タームで為替予約してきたヘッジ施策が剥落するため、売上総利益率は29.8%と前期を2.3ポイント下回る見通しだ。売上総利益は同5.4%減と前期を112百万円下回る計画である。販管費は、同社の新製品発売に伴う広告費、販促費、タロスシステムズのシステム開発にかかる人件費、業務委託費などの成長投資を増やす計画であり、同6.5%増と前期を104百万円上回る。その結果、営業利益は同44.7%減と前期を216百万円下回る見込みだ。

2. 重点施策
同社は2025年12月期の計画を達成するため、「製品品揃えの拡充」「自社商品の売上拡大」「M&Aの推進・収益性向上」の3つの重点施策を掲げている。

(1) 新製品の投入
2025年1月よりクリアレンズ「L-CON」シリーズの新商品として、含水率38.0%の1日使い捨て近視用低含水コンタクトレンズ「L-CON 1DAY 38」を発売した。既存の「L-CON 1DAY 55」は含水率55.0%で、水分が多いため柔らかく目に馴染むとともに酸素が届きやすいという特徴がある一方で、長時間使用時は乾きやすいが、低含水率の本製品は形状がしっかりして扱いやすく、乾きにくいため目の渇きを感じにくいバランスの良いレンズである。続いて同年2月には「シンシア S」シリーズの新商品として「シンシア1DAY S 乱視用」を発売した。業界内では遠近両用、装着による角膜補正など機能性を高めた商品の開発が進んでいるが、同社においても乱視用に続いて機能性を高めた商品の開発を進めており、今後の展開に注目したい。また、カラーレンズについては、前期は「シンシア 1DAY S Cleche」に新色を追加したほか、ECサイトで販売する「FAIRY」シリーズに1ヶ月交換型カラーレンズや新色を追加するなどマイナーチェンジを加えており、2025年12月期もユーザーの嗜好を捉えた開発を進めていく方針だ。

(2) 自社商品の拡大
消費者が眼科医の処方箋を持ち込む処方施設への営業を強化し、同社の主力商品でもある「シンシア S」シリーズを拡販する。処方施設のターゲットは主にコンタクト専門量販店となる。また、インバウンド需要を狙って、ドラッグストア向けのブランド「Eye Well」の販促により認知度向上を図る。ドラックストア市場での独占販売契約を締結している卸売りの大木と協力して、地域を絞ったマーケティング、販促活動展開によるドミナント戦略を推進しており、これをさらに強化する考えだ。大木とは2022年2月にドラッグストア市場での拡販のために「2week Eye Well」の独占販売契約を締結したことで、2022年12月期は取扱店舗数が急増し、売上高も前期比38.9%増となった実績があり、成果が期待される。また、ECサイトでの販売も、ECサイト専用ブランドとして2022年2月に発売したシリコーンハイドロゲル素材のクリアレンズ「pranaire 1DAY」の拡販を進める。子会社のジェネリックコーポレーションが展開するWeb通販サイト「みんなのコンタクト」での直販や、ECサイトに出店する小売店舗への卸売り強化が期待される。

(3) M&Aの推進・収益性向上
2025年12月期は、医療脱毛クリニックのコンサルティング事業及びタロスシステムズのPOSシステム事業の体制強化と収益性向上を図るとともに、引き続き積極的にM&A案件の掘り起こしを進め、事業領域の拡大を目指す。医療脱毛クリニックは業界環境も厳しいためコンサルティングを強化する。POSシステム事業については、大手ECサイトとの連携を強化するほか、同社からマーケティングの支援を行い、ユーザー拡大に向けた営業を強化する。また、M&A案件については、コンタクトレンズ製造工場やコンタクトの小売業など、本業に関連する事業も含めて、幅広く案件を検討する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)


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