Sシャワー Research Memo(3):事業ポートフォリオ最適化に向けてコンテンツとソリューションに再編(1)
*11:03JST Sシャワー Research Memo(3):事業ポートフォリオ最適化に向けてコンテンツとソリューションに再編(1)
■スペースシャワーSKIYAKIホールディングス<4838>の事業概要
1. 事業概要
同社は経営統合後のセグメント区分について、事業ポートフォリオ最適化やシナジー創出を目的として再編し、自社で企画プロデュースするオリジナルコンテンツをユーザーに提供するコンテンツセグメント(スペースシャワーネットワークのイベント事業、ライブハウス事業、アーティストマネジメント事業、レーベル・エージェント事業、有料放送事業、オンデマンド事業、インフィニアのエンタテインメントカフェ事業)、及びクライアントの課題解決のためにサービスを提供するソリューションセグメント(SKIYAKIのプラットフォーム事業、ファンクラブ事業、EC・MD事業、セップのアライアンス事業、映像制作事業、SPACE SHOWER FUGAのディストリビューション事業)とした。2025年3月期のセグメント別売上高構成比はコンテンツが54.4%、ソリューションが45.6%だった。
アーティスト・クリエイターのマネジメント、イベント主催、ライブハウス運営、レーベル、エージェント、著作権管理、音楽有料放送、映像制作、エンタテインメントカフェ、ファンクラブ・プラットフォーム運営、ディストリビューションなど、あらゆる音楽エンタテインメント関連事業を展開していることが同社の特徴・強みである。
なお、さらなるグループシナジー向上に向けて、2025年4月1日付(予定)で一部子会社間の事業承継・吸収合併などの再編を行う。具体的には、SKIYAKIがコネクトプラスを吸収合併してファンクラブ事業を集約、スペースシャワーネットワークのアライアンス事業をセップへ承継してクリエイティブソリューション機能を集約、デジタルディストリビューション事業をSPACE SHOWER FUGAへ集約して配信ビジネスを一体運営する。
(1) コンテンツセグメント
スペースシャワーネットワークのイベント事業は、自社ブランドの大型イベントである音楽フェス「SWEET LOVE SHOWER」やヒップホップフェス「POP YOURS」など様々なイベントを主催し、チケット収入、物販収入、飲食収入などを得る収益モデルである。ライブハウス事業は、東京・渋谷スペイン坂のライブハウス「WWW」「WWWX」の運営を行い、レンタル料やチケット収入を得る収益モデルである。放送・ネットなどと連動し、立体的に音楽の「生」の魅力を発信している。
アーティストマネジメント事業は、同社所属アーティストを中心に360度マネジメント業務を行い、原盤・出版・ライブ・MD収入等を得る収益モデルである。レーベル・エージェント事業は音楽制作、音楽出版管理、エージェント業務等を行い、原盤・著作権収入やエージェント手数料等を得る収益モデルである。アーティストのマネジメント、音楽レーベル機能をはじめ、デジタル音楽配信、CD製造販売、著作権管理にいたるまで音楽ソフトに係る事業を一元的に運営し、アーティストの活動を全方位でサポートする。
有料放送事業は、日本最大(視聴可能世帯数約700万世帯)の音楽専門チャンネル「SPACE SHOWER TV」「SPACE SHOWER TV プラス」の編成・制作等を行い、単価×視聴可能世帯数(同社は番組供給事業者のため、チャンネル全体の編集権や価格決定などの権利を有している放送事業者経由)の収益モデルである。オンデマンド事業は「スペシャオンデマンド」の運営等を行い、単価×有料会員数の収益モデルである。
インフィニアのエンタテインメントカフェ事業は、東京・秋葉原及び大阪・日本橋において「あっとほぉーむカフェ」を運営している。2025年春には中部地区初出店となる名古屋・大須への出店(国内11店舗目)を予定。「ご主人様とメイド」という独特な世界観に基づいた接客を楽しむことができるカフェスタイルのテーマパークである。またメイド関連グッズを販売する「@home shop」も運営している。単価×来店客数の収益モデルで、年間来店客数は約73万人に達している。
(2) ソリューションセグメント
SKIYAKIのプラットフォーム事業及びファンクラブ事業は、オールインワン型ファンプラットフォーム「Bitfan」及びエンタープライズ向けカスタム型ファンプラットフォーム「Bitfan Pro」を主力としている。「Bitfan」はアーティストがオフィシャルサイト、ファンクラブ・ファンサイト、グッズ販売、ライブ配信、電子チケット販売など、クリエイター活動に必要なサービスをオールインワンかつ低コストで利用できるプラットフォームサービスである。翻訳機能を実装し、海外通貨にも対応しているため、国内外問わずクリエイター活動を支援する。「Bitfan Pro」は大型アーティスト向けにデザインのカスタマイズが可能なプラットフォームサービスである。ファンプラットフォームの総有料会員数は約130万人となっている。EC・MD事業は、アーティストグッズの企画・開発から製造、倉庫管理、納品・発送、ECサイト運営などのサービスを展開し、単価×販売数の収益モデルとなる。また国内最大級(月間約900万PV)の音楽ライブ情報サービス「LiveFans」も運営している。なお2025年4月1日付でSKIYAKIがコネクトプラスを吸収合併してファンクラブ運営事業を集約する。
セップは、クリエイティブに特化した業界No.1の音楽映像制作会社で、アライアンス事業は協賛広告獲得や受託イベント制作によって広告収入やイベント制作収入を得る収益モデル、映像制作事業は音楽ライブ映像収録やMVなどの映像制作によって製造制作収入を得る収益モデルとなる。高いクリエイティビティとクリエイターとの信頼関係を基に、CM・VP・WEB・XRなど年間400作品以上の幅広いコンテンツの企画制作を行っている。また、受託イベント制作は、プロ野球球団「福岡ソフトバンクホークス」及びセレクトショップ「BEAMS」とともに国内最大級の屋内音楽フェスティバル「FUKUOKA MUSIC FES.」をプロデュースしている。なお2025年4月1日付でセップがスペースシャワーネットワークのアライアンス事業を承継する。
SPACE SHOWER FUGAは、スペースシャワーネットワークとデジタルディストリビューションを世界展開するFUGAとの合弁会社として2021年に設立され、ディストリビューション事業として、音楽配信による楽曲流通やマーケティングサービスなどを行っている。配信手数料を得る収益モデルとなる。スペースシャワーネットワークの日本市場におけるノウハウやネットワーク、FUGAの業界最先端のディストリビューションシステムや海外ネットワークを結合し、パートナーの音楽を世界のリスナーに最善の方法で届けるために必要なツール・サービスを提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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