アイスタイル:日本最大級の美容系総合サイト「@cosme」運営、膨大なデータを活かして利益の再成長局面へ
*14:38JST アイスタイル:日本最大級の美容系総合サイト「@cosme」運営、膨大なデータを活かして利益の再成長局面へ
アイスタイル<3660>は、日本最大級の美容系総合サイト「@cosme」、化粧品専門ECサイト「@cosme SHOPPING」、化粧品専門店「@cosme TOKYO」や「@cosme STORE」を軸に、日本No.1の美容プラットフォームを構築している。「@cosme」は、20~30代の過半数の女性が毎月利用していて月間ユニークユーザー1,760万人を超える。日本で展開する化粧品ブランドはほぼすべて網羅されていてブランド数は44,000ブランド、クチコミ数2,080万件と美容に特化した日本最大級のクチコミ数も誇る。(2024年6月末時点)
セグメントは、化粧品ブランドへ広告・ソリューションサービスを提供するマーケティング支援事業(2025年6月期上期売上高に対して14.1%)、店舗とECを運営するリテール事業(同77.2%)の2つを主軸に、グローバルやその他に分けられている。マーケティング支援では、商品認知ではなく理解を深めるためのブランディング広告を展開。リテールでは、リアル店舗を国内計34店舗展開し、ECでは取扱商品数50,000商品(2024年6月末時点)を超える。オンライン・オフラインを一気通貫した販促を含むブランドキャンペーンを実施できている。
2025年6月期上期業績は、累計の売上高が前年同期比22.0%増の33,072百万円、営業利益が同75.8%増の1,495百万円で着地した。マーケティング支援やリテールなどの国内事業が増収・増益を牽引。マーケティング支援では、大手だけでなく中堅・新興ブランドとの取引拡大で前年同期比11.3%増収、同50.0%増益で着地、リテール事業からのライセンス収益のほかに高い限界利益率により効率的に利益が拡大した。また、リテール事業も店舗では新店・改装の増床効果で、ネットとリアルを融合した体験がさらに浸透し同27.7%増収。ECでは12月の販売イベント「@cosme BEAUTY DAY」の成功で同27.5%増収となった。そのほか、グローバル事業では利益率の高い韓国事業(BtoBサービス)が成長し赤字幅を縮小した。
これに伴って業績予想を上方修正しており、通期の売上高は前期比17.7%増の66,000百万円(従来計画64,000百万円)、営業利益は同44.3%増の2,800百万円(同2,400百万円)を見込んでいる。マーケティング支援やリテールの国内事業の好調さが際立っている。さらに、今期業績の見通しと来期の成長投資を勘案し、2018年6月期以来の復配に向けて期末配当予想を修正、今期1株当たり1.0円を予定。今後も、利益水準と成長投資とのバランスを見ながら株主還元の強化を継続的に検討していく構えだ。
今後の事業方針としては、リテール事業でユーザーとブランドの接点を増やし、マーケティング支援でデータをマネタイズしていく。同社は、メディア・EC・店舗の接点から得られた、商品データや購買データ・行動・閲覧データなどのカスタマージャーニーを一気通貫した膨大なデータとして蓄積している。つまり、事業運営での経験・知見を加え、唯一無二の独自データを活用して高付加価値なソリューションを提供可能となっている。これらの同社独自のデータ起点のコンサルティングに加えて、生成AIを活用したクチコミ分析ツールを開発して今期中に順次展開していく。具体的には、データコンサルティングで1社あたりの案件数を拡大させつつ、ストック型ビジネスによるMRRの拡大で収益機会を増加させる。
一方で、リテール部門も成長を怠らない。日本5大都市を中心に店舗網を拡大させつつ、売場面積の拡大と並行して旗艦店を中心にネットとリアルを融合した体験提供により面積当たり売上高の最大化も図っていく。大型新店・既存店増床により、さらに面積効率の向上を図ることで営業利益率も上昇する。そのほか、グローバルでは日本と親和性が高くインバウンド需要にも強い香港を海外プラットフォームの起点とし、海外初の旗艦店「@cosme HONG KONG」を2025年内にオープン予定。コロナ禍を経て業績が上向きつつある中、利益の再成長局面にある同社の今後の動向には注目しておきたい。
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