ベステラ:1Q営業利益2.6倍の好発進、受注残高は過去最高、配当利回り3%超え
*15:03JST ベステラ:1Q営業利益2.6倍の好発進、受注残高は過去最高、配当利回り3%超え
ベステラ<1433>は、製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など、鋼構造プラント設備の解体工事に特化した専業企業である。プラントは一点一点仕様が異なり、解体に教科書は存在しない。「つくった人には壊せない」と言われるほど専門性の高い領域で、同社は単に「壊す」のではなく、効率・環境・安全を突き詰めた「理にかなった美しい解体」を掲げ、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産を強みに脱炭素解体ソリューションを推進している。完成工事高の業界別構成は石油約3割・製鉄約3割・電力約2割を中心に環境分野まで幅広く、危険物・有害物質を含む付帯設備から小規模設備までワンストップで対応する。「リンゴ皮むき工法(特許取得)」に代表される同社の工法は、省エネ工法で有名であり、海外プラント解体市場への進出も志向している。
同社の強みは、第一に、特許工法群である。代表的な「リンゴ皮むき工法」は、ガスホルダーや石油タンクなどの球形貯槽をリンゴの皮をむくように中心から渦巻き状に切断していく工法で、周囲に足場を組む必要がなく、従来工法に比べ安全性・工期・コストのいずれにも優れる。このほか、高所での危険作業を地上作業に転換する「転倒工法」、火気厳禁エリアでも施工できる「無火気工法」、施工用ロボット「りんごスター」を活用するロボット工法など、共同出願を含め10件を超える特許を保有し、複数の工法を国内外で出願中である。知的財産とノウハウの蓄積から現場ごとに最適な工法を選択できる応用力が参入障壁となっている。第二に、スクラップを活用した価格競争力である。同社は解体で発生する鉄スクラップ等の有価物売却額を織り込んで工事価格を値引く受注スキームを採用しており、例えば10億円の工事でスクラップ売却3億円を見込めば7億円で受注する。相場が下落した場合の見直し条件を契約に織り込んでいるため、実際の物量が想定を上回れば利益の上振れ要因となる。利益への影響はスクラップ相場よりも物量の多寡が大きいといい、大型元請工事ほどこの効果が発揮されやすい。第三に、採算性重視の選択受注である。競争の厳しい案件を無理に追わず、低利益工事を出さない受注管理が浸透してきたことで利益率が回復基調にあり、元請比率の上昇と併せて収益性改善に直結している。
直近の2027年1月期第1四半期業績は、売上高3,273百万円(前年同期比29.3%増)、営業利益353百万円(同164.1%増)と、いずれも第1四半期として過去最高を更新した。大型工事が計画を上回って進捗したことに加え、採算性重視の受注戦略が奏功し、売上総利益率は21.9%、営業利益率は10.8%まで上昇している。さらに注目すべきは受注動向であり、第1四半期の受注工事高は3,865百万円、受注残高は9,141百万円と過去最高に積み上がった。引き合いは化学分野が大きいほか、製鉄所の解体工事も発注が途切れておらず、業界全般で需要の強さが続いているという。通期予想は、売上高13,000百万円(前期比16.7%増)、営業利益1,000百万円(同34.9%増)を据え置いた。純利益のみ減益予想となるのは前期計上の投資有価証券売却益を今期は見込まないためで、本業ベースでは3割超の増益計画である。四半期別計画は第2四半期が売上高2,780百万円・営業利益159百万円と、大型工事の完工・着工の端境期となる一方、第3四半期3,356百万円・274百万円、第4四半期3,936百万円・324百万円と、前期受注の長期大型案件が下期から着工する下期偏重の構成である。受注残の積み上がりも踏まえれば通期上振れの余地は意識されるが、9月9日には中間決算の発表を予定している。
市場環境は中長期的に良好である。高度経済成長期に建設されたプラント設備が一斉に老朽化・更新時期を迎えていることに加え、電炉転換をはじめとする製鉄所の再編、石油化学設備の統廃合、火力発電設備の縮小、初期導入された風力発電設備の更新など、脱炭素・エネルギー転換に伴う解体需要が構造的に積み上がっている。同社は「中期経営計画2030」において、解体のリーディングカンパニーとしての基盤確立を掲げ、2031年1月期に売上高300億円・営業利益33億円(営業利益率11%)、ROE20%以上を目指す。地域面では岡山・広島・山口など瀬戸内のプラント集積地を中心に西日本の売上が伸びており、開拓余地はなお大きい。採用面でも西日本での人材獲得が進み若手が増加しているといい、大阪・名古屋など集積地への拠点拡大により、顧客構内の小口・継続工事から大型案件へつなげる展開を図る。加えて、AIによる解体ノウハウの形式知化や情報化施工など次世代技術の確立を進めるほか、日本の工事品質の高さを武器にシンガポールを中心とした海外市場の探索にも着手しており、長期ビジョンとして可能な限り早期の「売上高1,000億円・利益100億円」達成と循環型社会への貢献を打ち出している。一方、2026年4月の川崎市の工事現場事故を受けて安全管理体制の一層の強化を進めており、安全対策人員の増員などにより一時的に受け持てる現場数が制約される面はあるが、成長のスピードと安全の両立を最優先する構えである。
株主還元については、2027年1月期の年間配当は40円(中間15円・期末25円)と前期と同額を予定し、累進配当を基本方針としている。成長局面の運転資金需要に対しては借入も活用しながら、財務レバレッジと株主還元の両立を図る方針だが、足元予想配当利回りは3%を超えている。
総じて、ベステラは、特許工法とスクラップを織り込んだ価格競争力を武器に、プラント老朽化と脱炭素という二つの構造的需要を取り込むオンリーワン企業である。第1四半期の営業利益2.6倍という好発進に加え、過去最高の受注残高91億円が下期以降の収益獲得を明るくしており、下期偏重の通期計画には上振れ含みの印象が残る。選択受注の浸透による利益率の回復は中計目標の営業利益率11%に向けた道筋を裏付けるものであり、西日本での拠点・人材の拡充が売上高300億円への成長方程式を支える。2026年4月の川崎市の工事現場事故を受けて安全管理体制の強化を進めるなか、累進配当と利回り妙味を下支えに、9月9日の中間決算での進捗確認と大型案件の受注動向に注目していきたい。
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