フィスコニュース

銘柄/投資戦略 2025/09/29 11:09 一覧へ

SOLIZE Research Memo(9):従来領域と新規領域の掛け合わせにより成長を加速(2)

*11:09JST SOLIZE Research Memo(9):従来領域と新規領域の掛け合わせにより成長を加速(2) ■SOLIZE Holdings<5871>の中長期の成長戦略

2. 成長戦略
持株会社体制の下では、収益事業の利益をもとに新事業及び新会社を創り、価値を生み出す企業体を構築する計画だ。すなわち、グループ本社は企業体の収益と投資の総和をマネジメントし、傘下の中核事業会社では収益の基盤を作り、その利益をもとに投資して新たな事業と企業を創る計画である。3つの中核事業会社に分けたのは、従来の一体化で行う意思決定スタイルではなく、それぞれが自主的、自律的にキャッシュカウ(安定した利益を上げることができる事業やブランド)と収益モデルを作り、そのなかで上げた収益を新しい領域に投資していくためである。それぞれの中核事業会社が、遠心力を利かせて成長を加速することを目指している。一方、持株会社は、コーポレート機能をしっかりと果たしながら、投資戦略と人財戦略の2つの戦略で、中核事業会社の成長を加速させることが大きな役割である。このように、持株会社体制により、事業戦略・投資戦略・人財戦略を組み合わせて、グループの成長を推進する計画である。

成長に向けた中核事業会社による事業戦略と、持株会社による投資戦略・人財戦略は以下のとおりである。

(1) SOLIZE PARTNERS:エンジニアリング・マニュファクチュアリング事業
SOLIZE PARTNERSが推進するのは、従来のエンジニアリング事業の大半とマニュファクチュアリング事業を一緒にした事業領域であり、製品開発受託・エンジニア派遣・コンサルティング及び3Dプリント試作・最終製品製作、3Dプリンター装置導入に関する事業を担う。従来からの主力事業であることから、所属する従業員数は中核事業会社のなかで最大である。

成長戦略としては、既存事業のボリューム・単価アップに加え、既存事業を軸とした海外進出と、非労働集約型を中心とした新規事業・サービス立ち上げを推進する。具体的には、第1に既存事業のボリューム拡大・単価アップのために、受託開発体制の強化と顧客層の拡大や、技術及びネットワーク構築を推進し新規領域(技術要素/業界)へ事業拡大を図る。第2に、エンジニア採用・育成力の強化のために、採用体制を強化し採用活動を拡大することや、独自の教育・育成システムを強化してエンジニアのさらなる早期育成を実現する。第3に、グローバル開発支援の拡大のために、インドにおけるエンジニアリング支援の強化やタイへのエンジニアリング事業展開を図る。第4に、最先端のAM(Additive Manufacturingの略、CADデータを基に、材料を付け加えながら製品を造形する技術)関連技術の開発のために、新材料・新技術の開発や、M&Aによるものづくり体制強化及び国内サプライヤー連携の強化を目指す。

このようにエンジニアリング・マニュファクチュアリング事業領域では、既存事業でしっかりとボリュームを拡大し、単価を上げていく方針だ。この領域は全社売上の7~8割を占めることから、着実に伸ばす計画だ。また、2020年以降投資を加速しているエンジニアの採用・育成に力を入れる。さらに、同社グループの持つケイパビリティの1つである、グローバル展開も強化する計画だ。

2025年12月期中間期の実績としては、2025年1月には北米におけるさらなるプレゼンス拡大を目指し、米国子会社であるSOLIZE USA Corporationの子会社として、カナダにSOLIZE Canada Corporationを設立し、2025年2月にはASEAN地域でのさらなる展開のため、タイのバンコクにSOLIZE Corporation (Thailand) Ltd.を設立した。さらに、2025年1月には、イタリアの3DプリンターメーカーであるRoboze S.p.A.との提携により国内唯一の販売代理店となり、販売及び装置導入サポートを開始している。

(2) SOLIZE Ureka Technology:コンサルティング・エンジニアリング事業
SOLIZE Ureka Technologyが推進する事業戦略は、ものづくり変革で培ったコア技術により、企業課題・社会課題の解決を行うコンサルティング及びエンジニアリングサービスの提供を行う。エンジニアリングサービスでは、従来のエンジニアリング事業の一部を承継している。社名のUreka(ユリーカ)はギリシア語に由来し、「見つけた!」や「分かった!」という意味である。科学者のアルキメデスが浴槽から湯があふれる様子を見て、金の王冠の純度を測る方法を発見した際に叫んだとされる。

成長戦略としては、自動車新領域への展開等、既存コンサルティング事業の成長拡大、SaaS事業による非労働集約型ビジネスの拡大を推進する。具体的には、第1にコンサルティング事業の拡大のために、AI技術及びデジタルテクノロジー活用によるコンサルティング事業の付加価値向上、自動車新領域への対象領域拡大、採用力強化と若手人財の早期育成を図る。第2に、SpectA事業(SaaSビジネス)の拡大のために、コンサルティング事業と同領域での提案や事業拡大、ビジネス拡大に向けた営業体制の強化を計画する。第3に、MBDやサイバーセキュリティ等の高付加価値領域の拡大を目指して、自動車の制御開発を中心として自動車開発へのAI・クラウド活用や数理モデルの提供、ECU開発等のソフトウェア開発におけるサイバーセキュリティ対応支援を強化する。

現在、自動車の新領域は大きな変革期で、特にDXの加速に関して多くの引き合いがあることから、採用強化のうえ同社グループの持つ変革力で成長を図る。また、同社グループが独自で開発したAIプロダクトを、コンサルティング事業との連携により次の事業拡大の柱とすることを考えている。さらに技術領域で一番付加価値の高い自動車制御のモデルベース開発や、サイバーセキュリティ対応支援などにより拡大を図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

<HN>

フィスコニュース

マーケット ニュース一覧