プログリット Research Memo(9):既存事業の拡充と新規領域への拡大を推進し、さらなる成長を目指す(2)
*14:09JST プログリット Research Memo(9):既存事業の拡充と新規領域への拡大を推進し、さらなる成長を目指す(2)
■今後の見通し
(3) 開発力を生かしたサブスクサービスの拡充
プログリット<9560>のサービス開発では、人の力とテクノロジーの力が融合されていることが大きな強みである。第1に、英語コーチングサービスにおいて膨大な顧客の学習データを蓄積しており、どのような学習をどの程度実施すれば顧客の英語力が伸びるのかを科学的に分析できる。第2に、顧客とコンサルタントの1対1の深い信頼関係により、英語学習に取り組んでいる顧客の悩みごとやニーズといった定性的な情報を、常に獲得して理解できる。第3に、卒業生の中から600名程度がアンバサダーとなり、同社とのコミュニケーションを継続しながら、様々なフィードバックを行っている。2023年12月にサービス提供を開始した「スピフル」においても、特にリレーションの強い30名程度のアンバサダーに参加してもらい、共同で開発した。そして、最終的に同社のサービス開発チームが、第1から第3までの力と結びついて、顧客のニーズを的確に捉えたサービスをアプリとして内製化している。
「スピフル」に続き、新サービスとして「ディアトーク」を2024年6月に提供予定である。両者ともAIを活用したサービスで、「スピフル」はビジネス特化型の発話トレーニング用のサービス、「ディアトーク」はAIとの間で自由なテーマで英会話を行いアウトプット練習ができるサービスである。ビジネススピーキングに特化した「スピフル」では、日本語を見て瞬時に英訳する口頭英作文と1分間スピーチトレーニングの2つをシンプルで使いやすいプロダクトに落とし込んでおり、生成AIの活用によって録音した自身のスピーチを瞬時に添削できるほか、2,000以上の実践的な例文での学習が可能となっている。「ディアトーク」はAIを相手に英会話を行うアプリで、いつでも・どこでもネイティブの発音と会話速度が設定されたAIのネイティブスピーカーと英会話を実践でき、オンライン英会話や英会話スクールよりも低価格の実現を目指している。また、リアルの講師に見られるビジネスなどの専門的な知識の限界がAIにはないことから、どのようなトピックでも英語で会話できるところが大きな特色である。ローンチ時にはシンプルなUI/UX※でユーザーの使いやすいアプリに仕上げる予定である。
※UI/UX:UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーとサービスやプロダクトの接点のことで、アプリであれば、アプリ内に存在するデザインやボタンなどを指す。UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがサービスやプロダクトを通じて得られる体験のことで、アプリであればその利用を通じて得られる包括的な体験を指す。
このように同社では、「シャドテン」でリスニング力と発音を、「スピフル」でスピーキング力を、「ディアトーク」でアウトプットと英会話を、それぞれ鍛えるサービスとして提供している。AI翻訳などの進化によってリーディング・ライティングの学習の重要性は相対的に低くなっていくなかで、リアルタイムコミュニケーションを鍛えることにフォーカスしてアプリをローンチしていく計画だ。英語コーチングという高価格帯セグメントで培った「プログリット」のブランド力を活用して、今後はより低価格な英会話スクール、オンライン英会話といったセグメントにサブスクサービスを展開し、様々な価格帯や目的に向けたサービスを提供する事業ポートフォリオを構築していく。これにより、より幅広い顧客層を獲得し、サービス間での顧客の回遊も見込みながらLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上させることで、成長を加速できると弊社では見ている。
(4) 新たな英語学習領域及び英語学習領域以外への展開
サブスクサービスの展開後は、M&Aによる成長を目指す。短期のターゲット市場としては、現在のサービスの延長上にある英語学習領域で、幼児・子供向けの語学スクールやオンライン語学学習、学習教材、留学斡旋などのサービスへの展開を想定している。中長期のターゲットとしては、英語学習領域以外において、グローバル人材の育成を目的としたeラーニングや法人向けの教育研修サービスの展開を想定している。
なお同社は、現在サービスを展開している成人向け語学スクールの市場に留まらず、今後はさらに規模が大きな市場(新たな英語学習領域、中長期的には英語学習領域以外も含む教育研修の領域)を狙い、M&Aの積極的な活用も含め、さらなる成長を目指す。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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