フォーシーズ Research Memo(1):2026年9月期中間期は通販事業・卸売事業が黒字維持も先行投資コスト増加
*11:41JST フォーシーズ Research Memo(1):2026年9月期中間期は通販事業・卸売事業が黒字維持も先行投資コスト増加
■要約
フォーシーズHD<3726>は、化粧品・健康食品・アロマ関連商品を中心とした製造及び販売を行っている。「美と健康」「環境」「情報」をテーマに「通販事業」「卸売事業」「リテール事業」「コンサルティング事業」の4事業を展開しており、各セグメント間で高いシナジーを創出している。また、既存事業にこだわらず、多角的・発展的なビジネス展開を得意とし、企業価値向上の1つの手法としてM&Aを積極的に活用している。
1. 2026年9月期中間期の業績概要
2026年9月期中間期の連結業績は、売上高1,032百万円(前年同期比13.2%減)、営業損失273百万円(前期は73百万円の損失)、経常損失336百万円(同72百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失349百万円(同58百万円の損失)であり、中長期的な成長を見据えた事業構造改革と先行投資を推進する局面であった。主力の通販事業及び卸売事業は、前年同期比で利益水準が低下したものの、いずれも黒字を維持しており、グループの安定した収益基盤としての役割を果たしている。
一方、リテール事業では既存店舗の「DENBAラウンジ」への転換を進めており、改装期間中の売上減少や出店コストの発生により短期的な収益負担は生じているものの、体験型店舗への転換を通じて将来的な収益性向上を目指している。また、コンサルティング事業では、太陽光発電所及び系統用蓄電所案件の売却活動を継続するなか、当初想定していた成約時期からは後ろ倒しとなったものの、収益最大化を重視し、複数の候補先と条件面の協議を慎重に進めるなど、案件の早期成約よりも採算性を優先する姿勢がうかがえる。
利益面では、事業譲受に伴うのれん償却費に加え、業務委託費、上場維持費用、資本政策関連費用などを計上しており、これらが短期的な利益圧迫要因となったが、これらの支出は将来の事業拡大や企業価値向上に向けた基盤整備の性格が強い。また、各事業において収益性向上施策や新たな成長戦略への投資を継続しており、足元の利益を優先する局面ではなく、中長期的な成長に向けた投資フェーズにあると弊社では見ている。
中間期においては収益基盤の強化と将来成長に向けた先行投資を積極化したことから、販管費が当初計画を上回って推移した。具体的には、DENBAラウンジへの業態転換や新規事業の立ち上げ、海外展開の強化に加え、再生可能エネルギー事業におけるのれん償却費や業務委託費、リテール事業の再編費用、広告宣伝費、株主優待引当金、経営体制再編関連費用などが利益を圧迫した。また、一部案件の売上計上時期が下期へずれ込んだこともあり、売上高及び各利益項目は当初計画を下回る結果となった。もっとも、これらの損失要因の多くは一時的な費用または将来の成長を見据えた戦略投資であり、通販事業や卸売事業を中心とした既存事業の収益基盤は引き続き堅調に推移している。
2. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期の連結業績は、売上高3,541百万円(前期比45.1%増)、営業利益161百万円(前期は165百万円の損失)、経常利益151百万円(同206百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益82百万円(同243百万円の損失)を見込んでいる。既存事業の収益拡大と新規事業の育成を両輪として利益体質を強化し、大幅な増収と黒字転換を目指している。通販事業、卸売事業、リテール事業における販路拡大を継続するとともに、再生可能エネルギー事業やWeb3.0事業といった新たな成長領域への投資を進めることで、中長期的な企業価値向上を目指している。
下期には、再生可能エネルギー事業における太陽光発電所や系統用蓄電所案件の売却、関連コンサルティング収入の計上に加え、DENBA関連事業の拡大や化粧品の海外向け大口受注などを見込んでいることから、現時点では通期業績予想を据え置いている。通期計画の達成には大型案件の成約と売上計上が重要な前提となるものの、既存事業の安定収益と先行投資の成果が結実すれば、同社は黒字転換と成長フェーズへの移行を実現する可能性があると弊社では見ている。
3. 成長戦略
同社では、2026年9月期から2030年9月期を対象とした中期経営計画を策定している。2025年9月期までに主要事業の黒字化を達成したものの、成長に向けた積極的な投資を継続した結果、全社ベースでの完全黒字化には至らなかった。こうした状況を踏まえ、新たな中期経営計画では、これまでの投資成果を収益として回収するフェーズへ移行し、2030年に向けた持続的な成長の実現を目指している。
成長戦略としては、既存の通販事業、卸売事業、リテール事業を土台としながら、「Web3.0事業」「DENBA事業」「再生可能エネルギー事業」の3つを新たな成長の柱として育成する方針である。Web3.0事業では第三者発行トークンの活用や独自経済圏の構築を推進し、新たな収益機会を創出する。DENBA事業ではDENBA JAPANとの資本業務提携を活用し、睡眠や健康をテーマとした体験型施設「DENBAラウンジ」の展開を進める。再生可能エネルギー事業については、太陽光発電所や系統用蓄電所の開発・販売を軸としながら、将来的にはバイオマス分野などへの展開も視野に入れている。
数値目標としては、2026年9月期予想の売上高3,541百万円、営業利益161百万円から、2030年9月期には売上高10,037百万円、営業利益816百万円への成長を計画している。売上高は約2.8倍、営業利益は約5倍となる計画であり、新規事業の収益化が達成のカギを握る。さらに、2030年には時価総額200億円の実現と配当による株主還元強化を掲げており、事業成長と株主価値向上の両立を目指す姿勢が鮮明となっている。
■Key Points
・2026年9月期中間期は、通販・卸売事業がグループの収益基盤として黒字維持。リテール事業の事業構造改革が着実に進捗
・2026年9月期は、既存事業の強化に加えて成長領域への投資に注力。大幅増収と全利益段階での黒字化を見込む
・「Web3.0事業」「DENBA事業」「再生可能エネルギー事業」の3つを新たな成長の柱として、2030年9月期に時価総額200億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>