オートサーバー Research Memo(5):2024年12月期は計画を上回る増収・2ケタ増益で過去最高業績
*12:05JST オートサーバー Research Memo(5):2024年12月期は計画を上回る増収・2ケタ増益で過去最高業績
■オートサーバー<5589>の業績動向
1. 2024年12月期業績の概要
2024年12月期の業績は売上高が前期比7.5%増の6,287百万円、営業利益が同18.2%増の2,493百万円、経常利益が同19.2%増の2,485百万円、当期純利益が同20.0%増の1,562百万円だった。なお同社は2016年に実施したMBO時に認識したのれんを20年間の定額法により償却(年間235百万円)しており、のれん償却額の影響を除く調整後経常利益(経常利益+のれん償却額)は同17.3%増の2,721百万円、調整後当期純利益(当期純利益+のれん償却額)は同16.9%増の1,798百万円だった。
会社計画(2024年11月13日付の上方修正値、売上高6,202百万円、営業利益2,382百万円、経常利益2,373百万円、当期純利益1,478百万円、調整後経常利益2,610百万円、調整後当期純利益1,714百万円)を上回る増収・2ケタ増益で過去最高業績だった。市場環境としては新車販売減少に伴って中古車オークション出品台数が低迷(前年比7.3%減)するという厳しい事業環境だったが、そうした状況下でも各種営業施策などの効果によって「ASNET」会員数が順調に増加し、全体としての業績は取引1台当たりの手数料単価が大きい「ASワンプラ」がけん引した。サービス別売上高は「オークション代行」が同1.8%減の2,944百万円、「ASワンプラ」が同17.6%増の2,903百万円、その他が同16.2%増の438百万円だった。売上総利益は同10.0%増加し、売上総利益率は同1.6ポイント上昇して73.0%となった。販管費は同1.6%増加にとどまり、販管費比率は同1.9ポイント低下して33.4%となった。この結果、営業利益率は同3.6ポイント上昇して39.7%、経常利益率は同3.8ポイント上昇して39.5%となった。
取引台数、会員数は増加基調
2. 取引台数などの動向
「ASNET」全体の取引台数は同2.9%増の234,774台で、内訳は「オークション代行」が同5.5%減の135,881台、「ASワンプラ」が同17.2%増の98,893台だった。「オークション代行」は減少したものの、オークション出品台数全体の同7.3%減少に比べると減少率が小幅にとどまった。また月別に見ると、第3四半期までは厳しい事業環境で前年同月比マイナスが続いたが、第4四半期は2024年10月が同9.6%増、11月が同4.7%増、12月が同8.5%増と前年比プラスに転じ、回復傾向を強めている。一方の「ASワンプラ」は大幅に増加した。中古車価格上昇局面において事業環境が好転し、月別に見ると2023年9月から2024年11月まで15ヶ月連続で前年同月比プラスとなった。この結果、「ASNET」全体では過去最高の取引台数となった。また中古車流通市場における「ASNET」関与率は通期ベースで同0.06ポイント上昇して過去最高の3.61%となった。2024年6月には単月ベースで過去最高となる4.08%まで上昇した。期末時点の「ASNET」会員数は前期末比3,252会員増加(同4.2%増)して80,613会員となった。
財務の健全性は良好
3. 財務の状況
財務面で見ると、2024年12月期末の資産合計は前期末比1,416百万円増加して18,154百万円となった。業容拡大に伴って未収入金が434百万円増加したほか、豊橋データセンター開設(2025年予定)に伴い土地が381百万円増加、建設仮勘定が761百万円増加した。負債合計は227百万円増加して6,174百万円となった。主に未払金が633百万円増加した一方で、短期借入金が630百万円減少した。なお有利子負債残高(短期借入金)は2,270百万円となった。純資産合計は1,188百万円増加して11,980百万円となった。当期純利益の計上により利益剰余金が1,133百万円増加した。この結果、自己資本比率は1.5ポイント上昇して66.0%となった。
なお、現金及び預金の期末残高は11,920百万円でやや大きな数値となっているが、これは「ASNET」会員が車両を落札した場合に、車両代金などをオークション会場(「オークション代行」)や出品者(「ASワンプラ」)に同社が立て替え払いし、落札者からの支払決済(期限は取引後3日~7日間)が完了した後に当該車両の登録に必要な書類を落札者に引き渡す方法を取っており、その間の立替金に充当する運転資金として現金及び預金を確保しているためである。また短期借入金についても車両代金などの立替金に充当しており、特に懸念材料とはならない。財務の健全性は良好と弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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