リョーサン菱洋ホールディングス:両社の強みを生かした統合シナジー創出に注力、高配当も維持
*12:07JST リョーサン菱洋ホールディングス:両社の強みを生かした統合シナジー創出に注力、高配当も維持
リョーサン菱洋ホールディングス<167A>は、ともにエレクトロニクス商社であるリョーサンと菱洋エレクトロが経営統合し、2024年4月に設立された。現在は両社が完全子会社として傘下にあるが、2026年4月に合併し、「リョーサン菱洋(株)」とすることが発表されている。グループビジョンは「お客様のニーズにお応えし 社会に必要とされる企業になる」であり、東証プライム市場に上場している。
半導体や電子部品の販売を中心とするデバイス事業とIT機器やソフトウェア製品等を扱うソリューション事業の2セグメントを展開する。同社グループの特長は、リョーサンが強みとする製造業領域での強固な顧客基盤と、菱洋エレクトロが得意とするITとサービスを組み合わせたソリューションビジネスである。リョーサンはルネサスエレクトロニクス<6723>の特約店として、菱洋エレクトロはエヌビディア
2025年3月期は、売上高359,811百万円(前期の2社単純合算比9.9%減)、営業利益8,542百万円(同33.0%減)、経常利益7,133百万円(同47.0%減)、当期純利益9,387百万円(同8.3%減)であった。売上高は、ソリューション事業において生成AIへの関心やDX推進、蓄電関連ビジネス拡大により増収となった一方、デバイス事業において生産調整や中国市場の低迷により減収となった。営業利益は減収に加えて、のれん償却の計上により減益となったが、計画は達成した。当期純利益は段階取得に係る差益2,363百万円及び投資有価証券売却益3,799百万円の計上により押し上げられた。
2026年3月期中間期は、売上高172,249百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益3,873百万円(同13.5%増)、経常利益3,254百万円(同2.8%減)、中間純利益3,717百万円(同35.0%減)であった。デバイス事業は在庫調整局面の長期化やテレビ向け半導体の減少により減収となった。一方、ソリューション事業は、企業のDX推進やAI導入を背景とした旺盛なIT関連投資に支えられ堅調に推移し増収を確保。営業利益は、デバイス事業とソリューション事業の双方において増益となった。経常利益は営業外費用増加により減益となり、中間純利益は前年同期の特別利益の反動もあって減益となった。
2026年3月期の通期計画は、売上高370,000百万円(前期比5.6%増)、営業利益9,500百万円(同11.2%増)、経常利益8,000百万円(同12.1%増)、当期純利益6,000百万円(同36.1%減)を予想している。売上高はデバイス事業において市況回復が不透明なため期初計画から下方修正したものの前期比では微増を見込み、ソリューション事業は底堅く推移し、期初計画通り増収を見通す。利益面では、売上構成の変化による採算性改善等により営業利益・経常利益は増益を確保する見込みである。当期純利益は前期の特別利益の反動により減益となる。
株主還元については、「中長期的な株価の維持・向上」と「安定的な配当」を基本方針としている。2025年3月期の年間配当金は140円(配当性向59.7%)であり、2026年3月期も同額の140円(同93.5%)を予定している。また、株主優待制度として、100株以上保有する株主を対象に、保有株式数に応じて2,000~6,000円相当のカタログギフトを贈呈している。配当利回りは、4%超の高水準であり、安定的な還元を実施しつつ、統合シナジーの創出やAI領域を軸とした成長施策、追加的なM&Aを積極的に検討する方針により収益基盤強化を図っていく。
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