エスプール Research Memo(9):2029年11月期に売上収益360億円、営業利益45億円を目指す
*11:09JST エスプール Research Memo(9):2029年11月期に売上収益360億円、営業利益45億円を目指す
■エスプール<2471>の今後の見通し
3. 中期経営計画
同社は、2025年11月期からスタートする5ヶ年の中期経営計画を発表した。基本方針として「次の10年を見据えた経営基盤の構築」を掲げ、業績目標として2029年11月期に売上収益360億円(年平均成長率7.1%)、営業利益45億円(同10.1%)を設定した。ビジネスソリューション事業は年率10%強の増収増益を、人材ソリューション事業についてはほぼ横ばい水準で推移することを前提としている。また、M&Aや今後開始する新規事業については業績計画に織り込んでいない。計画達成に向けては、以下の4つの重点戦略を推進する方針だ。
(1) 主力事業を軸としたオーガニック成長の継続
高い成長性と競争力を兼ね備える「障がい者雇用支援」「サステナビリティ支援(環境経営支援サービス)」「地方創生支援(広域行政BPOサービス)」を注力事業領域と定め、成長ドライバーとする。人材アウトソーシングサービスについては、AIやDXの加速により需要が縮小する可能性が高いコールセンター派遣について高付加価値化による差別化を図り、競争優位性を高めることで少なくとも現状を継持する方針だ。
a) 障がい者雇用支援サービス
2029年11月期の売上収益は年率10.6%成長の130億円を目指す。障がい者雇用支援サービスは、民間企業の障がい者法定雇用率が2026年7月に現行の2.5%から2.7%に引き上げが予定されており、今後も引き続き高い需要が見込まれている。こうしたなか同社は障がい者の採用数を拡大するため、農園の開設エリアを2026年以降に現在の三大都市圏から順次札幌・仙台・広島・福岡エリアを加えた七大都市圏に拡大するとともに、2027年以降は人口10万人以下の地方都市への展開を可能とする小規模農園モデルの開発にも着手するなど、サービスエリアを拡大することで持続的な成長を目指す。
地方では知的障がい者の就労希望者を雇用する企業が少なく、こうした需要は同社が農園を展開して大企業へのサービス提供をすることで解消していく。農園数については、前期末の53園から2029年11月期末には90園とする計画で、2026年11月期以降は年間7~8園のペースで開設していく。
b) 環境経営支援サービス
2029年11月期の売上収益は年率8.5%成長の24億円を目指す。サステナビリティ経営コンサルティング領域でのリーディングカンパニーを目指し、事業拡大とブランド力の向上を推進する。今後も新規顧客の積極獲得により顧客基盤を拡大するとともに、サービスメニューの拡充とクロスセルにより取引深耕を図る。また、オンラインコミュニティプラットフォーム「Boyadge(ボヤージュ)」※を2024年に開設し、サステナビリティに関する様々な情報やサービスを提供することで顧客接点の拡大と関係強化を図り、さらなる事業成長を目指す。また、競争力の源泉となる人材育成にも注力し、より専門性の高い組織を構築する方針だ。
※ 会員向けサイトで、現在はサステナビリティに関連する最新情報の提供やQ&A、掲示板機能などを無料で提供している。
c) 広域行政BPOサービス
2029年11月期の売上収益は年率14.0%成長の29億円を目指す。売上拡大と収益性の向上を両立しながら事業を拡大する方針で、現在21拠点あるBPOセンターを30拠点まで増やすとともに、行政に関わる定期業務の割合を2024年11月期実績の30%から70%に引き上げることで、収益基盤の安定化を図る。2025年11月期は国策のスポット案件が売上の過半を占めるため四半期ごとの収益変動も大きくなるが、2026年11月期以降は定期業務の売上比率が高まることで安定化するものと予想される。
2) グループシナジーによる事業の推進
各事業会社が持つ強みや顧客基盤をグループ間で最大限に活用することで新たな事業機会を創出し、収益成長につなげていく。特に障がい者雇用支援サービス・環境経営支援サービス・広域行政BPOサービスにおいては、優良な顧客マーケットに対し、新サービスを積極的に展開することで事業領域の拡大を図る。また、そのほかの既存事業においても、グループ間の連携強化により営業効率の向上と売上成長を目指す。
3) AI/DX活用による収益性及び経営効率の向上
AIやDXの積極活用を全社的に推進する。バックオフィス業務では、デジタル化・自動化の積極推進により業務効率の向上とコスト削減に取り組むほか、営業部門においてはAIの活用により、営業戦略の策定・顧客分析・営業プロセスを革新し、より効率的かつ効果的な営業活動を実現していく。
4) 次世代を担う多様な人材の育成
「社員の成長が会社の成長につながる」という方針の下、多様な個性を尊重し、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整備することで社員一人ひとりがいきいきと活躍し、共通の価値観を持ちともに成長できる組織を目指す。また、グループ経営を担う中核人材の育成にも注力し、変化を恐れず積極的に挑戦できるリーダー人材を育成することで、持続的な成長と発展を支えていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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