イード Research Memo(4):2026年6月期は過去最高売上を更新し、段階利益も2ケタ増益を見込む
*15:34JST イード Research Memo(4):2026年6月期は過去最高売上を更新し、段階利益も2ケタ増益を見込む
■イード<6038>の業績動向
3. 2026年6月期の業績見通し
2026年6月期の連結業績は、売上高で前期比5.2%増の6,400百万円、営業利益で同30.5%増の600百万円、経常利益で同32.0%増の600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同20.8%増の372百万円を計画している。売上高は2期ぶりに過去最高を更新し、営業利益と経常利益は4期ぶりの増益に転じる見通しだ。企業の活発なAI投資が続くなか、同社が属するIT業界・インターネットマーケティング業界全体も活性化するものと見込んでいる。こうした環境下において、同社はM&Aや事業開発により運営メディアの拡大を図るとともに、ビジネスモデルの多角化により安定的かつ継続的な成長を目指す。事業セグメント別ではCP事業・CS事業ともに増収増益を見込んでおり、リサーチソリューションも足下の受注は回復傾向にあるようで増収に転じる見通しだ。
パズル雑誌事業を前期末に撤退した影響で、売上高は2億円弱の減収要因となるが、営業利益では60百万円の増益要因となる。また、2025年7月に金融機関や機関投資家向けの定期購読誌を発行するエディトを子会社化した。2024年9月期の業績は売上高で278百万円、営業利益で30百万円となっており、のれん償却後でも営業利益ベースで若干の増益寄与が見込まれる。同社はエディトの子会社化により、既存の金融メディアと連携することによる事業拡大、エディトのデジタル事業拡大などのシナジー創出を見込んでおり、金融領域での事業拡大が期待される。
また、同年7月にロボットスタート(株)からロボット情報メディア「ロボスタ」の事業を取得した。ロボット市場は今後の高成長が期待できる市場であり、なかでも主力事業領域の1つである自動車業界においてロボットに関する情報ニーズが高いことから、シナジーが大きいと判断し事業を取得した。今後は「ロボスタ」を基盤としたBtoB向け専門メディアサービスを展開する予定で、新サービスとして有料会員サービス「ロボスタメンバーズ」(月額5,500円)の提供も開始した。ロボティクス・AI業界の専門記事コンテンツの配信や業界有識者によるオンラインセミナー、アーカイブ動画の視聴サービスが含まれており、今後のサブスクリプションサービス拡大に貢献するものと期待される。なお、今後もさらなるM&Aを実施すべく、交渉を進めているが、今後成約する新たなM&A案件については今回の業績計画に織り込んでいない。
AIメディアカンパニーとしてM&Aも活用しながら高成長目指す
4. 成長戦略
今後の成長戦略としては、M&A戦略と併せてAIメディアカンパニーとしてビジネスモデルの転換を図りながら高成長を目指す。AIでパーソナライズされた価値ある情報・体験を提供する会員基盤「iid Smart id」をベースに、ネット広告だけでなく有料会員サービスやマーケティング支援サービスなど様々なサービスを事業領域ごとに展開していく。単価の下落が続いているネット広告についても、AIにより読者理解が進むことで、最適で高単価な広告配信が可能になると見ている。業界としては自動車のほか教育、金融、IT、エンタメ分野を重点分野として強化する。また、質の高い業界特化型のメディアを多く運営している強みを生かして人材紹介サービスを新たに開始するほか、IPコンテンツを活用したマーケティング支援サービス(エンタメプリント※1、ゲムマイド※2)も引き続き注力する方針だ。
※1 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、人気キャラクター、アイドル、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービス。「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として活用できる。
※2 ゲームタイトル購入の記念として、ゲーム関連画像のブロマイドをコンビニエンスストアで印刷できるサービス。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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