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銘柄/投資戦略 2025/01/22 12:08 一覧へ

みずほリース Research Memo(8):「中期経営計画2025」は変革に挑戦する3年間

*12:08JST みずほリース Research Memo(8):「中期経営計画2025」は変革に挑戦する3年間 ■みずほリース<8425>の成長戦略

1. 「中期経営計画2025」
同社は2023年5月に「中期経営計画2025」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。中長期的に目指す姿を「リース会社から大きな飛躍を遂げ、お客さまと共に未来を共創するプラットフォームカンパニーへ」として、キーワードに「挑戦」「変革」「成長」を掲げ、本中期経営計画を変革に挑戦する3年間と位置付けた。経営目標としては、最終年度2026年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益420億円、ROA(=経常利益÷総資産)1.6%以上、ROE(=当期純利益÷自己資本)12%以上を掲げている。また経営資源投下額としては、営業資産7,000億円超の増加、インオーガニック投資1,500億円規模、ITシステム投資100億円超、専門ビジネス人財80名超の増加を目途としている。

基本戦略は、成長の時間軸が異なる複層的な事業ポートフォリオマネジメントとして、事業ポートフォリオを「変革」「挑戦」を支えるための岩盤収益源として着実・継続的な成長を実現するコア分野(国内リース、不動産など)、中長期目標での飛躍によりコア分野に次ぐ収益柱を目指すグロース分野(グローバル、航空機、戦略投資、環境エネルギーなど)、長期目線で大きく花開くことを展望するフロンティア分野(サーキュラーエコノミー、XaaSなど)に分類した。そして、みずほグループ及び丸紅グループとの連携を中心に、M&A・アライアンス等のインオーガニック戦略を積極活用しながら、事業ポートフォリオ運営の変革・高度化を推進する。さらに成長を支えるためのサステナビリティ経営、IT基盤整備・DX加速、人財戦略高度化・企業カルチャー変革、ガバナンス・リスクマネジメント高度化も推進する。

注力分野の戦略としては、コア分野の国内リースでは顧客の経営課題解決に資する価値共創・課題解決型営業スタイルの徹底、みずほグループとの連携を通じた顧客基盤のさらなる拡大など、不動産では安定収益源のメザニンローンや不動産リースの拡大、中長期的な運用を視野に入れた不動産取得と共同開発などを推進する。

グロース分野のグローバルではモノ価値に依拠したソリューション提供による収益機会創出、丸紅との共同投資や独自ソーシングM&Aを通じた新たな成長マーケットへの進出など、航空機ではAircastle(米国)を軸とした航空機ビジネスのバリューチェーンから生じる収益機会の獲得、資産回転型ビジネスやオペレーティング・リースの強化など、戦略投資ではファンド投資と事業会社への直接投資強化、メザニン・エクイティ高収益案件への選別的対応、CVCを活用したスタートアップ企業への価値共創投資拡大など、環境エネルギーでは再エネ発電設備容量1GWの確保と再エネ発電供給者としての高いプレゼンス発揮、再エネ電力供給体制構築、系統蓄電池等の新たな領域への取り組みなどを推進する。

フロンティア分野のサーキュラーエコノミーではアライアンスパートナーとの連携による「高度循環型社会」「脱炭素社会」の実現に向けたプラットフォーム構築、資源の効率的利用による最大限の付加価値創出など、XaaSではロボットのアセットホルダーとして様々なソリューションを提供するRaaS(Robotics as a Service)や、モビリティとエネルギーの統合分野でバッテリーを核とした事業を展開するBaaS(Battery as a Service)のプラットフォーム構築を推進する。


複層的な事業ポートフォリオマネジメントを推進

2. 「中期経営計画2025」の進捗状況
「中期経営計画2025」の進捗状況として、国内リースではジェコスを持分法適用関連会社化した。そして、みずほグループとの連携強化等により、2025年3月期中間期の営業資産残高は前年同期比おおむね横ばい、持分法による投資利益はジェコス株式取得に係る負ののれんを除くベースでも増益と順調に拡大した。サーキュラーエコノミーの推進では、2023年8月に資本業務提携したTREホールディングス<9247>との連携強化の一環として、2024年8月に合弁会社メトレック(株)を設立した。顧客の構造物解体・再資源化・廃棄物処理までワンストップで提案・対応する。

新規事業への取り組みでは、カーボンニュートラルの実現に向けてEV普及への取り組みを加速させている。電動モビリティの導入コンサルティングからファイナンスサービスまで提供するEV関連包括サービス「EV〇っと(R)」については、(公財)東京都道路整備保全公社に充電設備メンテナンスリースを提供した。2024年2月には先進的な蓄電池の制御技術を保有するNexT-e Solutions(株)に出資し、蓄電池関連ビジネスの業務提携に向けた基本合意書を締結した。同社が保有するモビリティ由来蓄電池を利活用したリユース蓄電池(定置用)のサービス提供に向けた事業開発を検討する。またラストワンマイル輸送のEVシフトに向けた取り組みとして、リース期間が満了したガソリン車を活用したコンバージョンEVによる実証事業を開始した。多くの中小規模事業者が担うラストワンマイル輸送事業において、自発的なEVシフトを可能にするサービスの実現を目指す。

不動産では、安定収益源のメザニンローンや不動産リースの拡大など既存ビジネスの強化、大型案件への取り組みにより、2025年3月期中間期の営業資産残高、売上総利益はいずれも大幅に拡大した。開発案件への取り組みでは、オリジナルブランドとしてオフィス物件「ミプラ」、物流施設物件「マリエン」を創設した。今後は資産回転ビジネスを念頭においた事業ポートフォリオを構築し、売却実行によるアセット循環を推進する。環境エネルギーでは、太陽光発電を中心とする新たな電源獲得等により、2025年3月期中間期の営業資産残高、売上総利益は、いずれも大幅に拡大した。下期以降も再エネ発電設備容量1GWの確保に向けて成約案件の積み上げていくほか、需給調整機能として導入拡大が見込まれる系統用蓄電池事業や、木質バイオマス発電事業にも取り組む。

グロース分野については、インオーガニック戦略によるビジネスフィールド拡大を推進し、海外事業の2025年3月期中間期の営業資産残高、売上総利益はいずれも大幅に拡大した。なおRent Alpha(インド)については、2024年8月に既存株主から株式を追加で買い取り、持株比率が87.6%に増加した。

丸紅との連携については、以前よりAircastle(米国)関連などで連携していたが、2024年5月の資本業務提携によって連携を一段と強化している。同年6月には丸紅より役員を受け入れ、同年7月には丸紅連携室を設置、同年8月には丸紅との第1回ビジネスコミュニティを開催、同年10月には丸紅より中堅・若手人財の出向受け入れを開始した。本格的な効果発現は2026年3月期以降となる見込みだが、一段の連携強化により国内外でのビジネス拡大を目指す。

なおインオーガニック戦略については、3ヶ年想定投資額1,500億円に対して、2025年3月期中間期時点の合計投資額は約500億円となっている。主な投資実行先はRent Alpha(インド)の株式取得・追加出資、Aircastle(米国)への追加出資、ジェコスの株式取得、合弁会社メトレック設立などである。投資実行先と事業拡大やバリューチェーン拡大など成長に向けて連携していく。さらに丸紅との協業ビジネス拡大に伴い、今後も幅広い地域や事業領域でのインオーガニック戦略を検討し、強固な事業基盤確立に向けた成長投資を加速させる方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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