学情 Research Memo(1):2024年10月期の業績は、3期連続で過去最高を更新
*14:01JST 学情 Research Memo(1):2024年10月期の業績は、3期連続で過去最高を更新
■要約
学情<2301>は東京都中央区に本社を置く、転職・就職情報事業を行う企業である。主な商品は、キャリア採用(経験者採用)の「Re就活」「Re就活30」「Re就活テック」「転職博」、人材紹介の「Re就活エージェント」や新卒採用の「Re就活キャンパス(2025年3月に、「あさがくナビ」からブランドリニューアル)」「就職博」などのほか、公的事業も受託している。
1. 2024年10月期の業績概要
2024年10月期の業績は、売上高10,730百万円(前期比22.2%増)、営業利益2,656百万円(同15.0%増)、経常利益3,053百万円(同19.1%増)、当期純利益2,229百万円(同27.2%増)と大幅増収増益、かつ3期連続の過去最高業績更新となった。好業績の要因は、20代を中心とした働き手の転職に対するニーズや、生産年齢人口の減少などを受け企業のキャリア採用に対するニーズがさらに拡大するなか、求職者、採用企業、双方のニーズを的確に捉えたことだ。特に、新卒採用の早期化・難化を受けて第二新卒採用に対するニーズが高まり、基幹Webメディアの1つである「Re就活」の売上高が前期比34.1%増と急伸したことが全体の業績拡大をけん引した。そのほかの商品に関してもすべて前期の実績を上回って着地した。利益面に関しては、中期経営計画のもとソフトウェア開発投資をはじめとする各種成長投資を着実に実行しながら、利益を創出した。「Re就活」をけん引役にトップラインをしっかりと伸ばしたことが成長投資をはじめとするコスト増をカバーした格好だ。
2. 2025年10月期の業績見通し
2025年10月期の業績は、売上高12,300百万円(前期比14.6%増)、営業利益3,000百万円(同12.9%増)、経常利益3,200百万円(同4.8%増)、当期純利益2,300百万円(同3.1%増)を見込んでいる。前期の業績が想定を上回るペースで推移したことを受け、同社は2025年10月期の業績予想(売上高・経常利益)を中期経営計画の業績目標値から上方修正している。雇用の流動化や新卒採用の難化などを背景にキャリア採用市場のさらなる拡大が見込まれるなど、市場環境の見通しは良好である。そうしたなか2025年10月期も引き続き、「Re就活」をはじめとするキャリア採用サービスを中心に同社提供商品のターゲット層をさらに広げ、業績を拡大する方針である。具体的には、「Re就活テック」と「あさがくナビ」のリニューアルや、新規サービスである30代向け転職サービス「Re就活30」と高卒・第二新卒の転職をサポートする「Re就活ユース」によって、従来は20代中心だったサービス提供対象を10代から30代まで広げる方針だ。幅広く転職・就職を支援できる商品ポートフォリオを構築整備し、より多くの求職者・企業のニーズを取り込んでいく。
3. 中長期の成長戦略概要
中期の成長戦略に関して同社は、2021年12月に公表した中期経営計画(5か年計画)の計画値を2期連続で上回ったことや、マーケット環境が変化していることなどを受け、2023年12月に2026年10月期を最終年度とする3ヶ年の新・中期経営計画を公表した。慢性的な人手不足、学生の売り手市場、求職者のセカンドキャリア形成への意識の高まりなどを受け、キャリア採用に対するニーズが高まるなか、「『20代のセカンドキャリア』を支援するプラットフォーマー」をありたい姿として再定義し、「Re就活」を中心としたキャリア採用サービスに先行投資することで業績を拡大する。具体的には、人的投資、広告宣伝投資、マーケティング投資に毎期の費用から重点的に投資を行うとともに、システム開発投資、新規事業開発投資といった事業拡大・事業開発投資に3年間で計9,100百万円の投資を行いながらキャリア採用サービスの売上を年率30%のペースで拡大する計画だ。これにより、2026年10月期に売上高13,300百万円、経常利益3,450百万円といった中期経営計画策定時の計画を上回る結果を目指す。その上で、売上高に占めるキャリア採用サービスの割合57.6%(2023年10月期は39.8%)を目指すとしている。また、資本コストを意識した経営も徹底し、ROE(自己資本利益率)に関しては資本コストを上回る水準を維持しながら2026年10月期に15.0%まで高めるという中期経営計画の水準を2024年10月期で達成した。
■Key Points
・2024年10月期は、「Re就活」をけん引役に3期連続の過去最高業績更新
・足元の好調な業績を受け、2025年10月期の業績予想については中期経営計画から上方修正
・2025年10月期もキャリア採用サービスを軸に過去最高業績の更新を目指す
・中期経営計画では、2026年10月期に売上高13,300百万円を上回る結果を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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