GVA TECH:AIリーガルテック企業で初の上場企業、売上高の拡大続く
*19:21JST GVA TECH:AIリーガルテック企業で初の上場企業、売上高の拡大続く
GVA TECH<298A>は、リーガルテック事業として、主に法務部門や法律事務所向けに法務業務のDXを推進する「LegalTech SaaS事業」、社内に法務機能が無いようなスタートアップ企業や中小企業でも簡単に登記手続きが行える「登記事業」の2つのセグメントに分かれている。
「LegalTech SaaS事業」では、全社を支える法務OS「OLGA」を提供。「OLGA」は、契約業務を中心とした企業の法律業務の効率化を実現し、事業部や経営層の業務スピードを加速させ、組織全体にベネフィットをもたらすSaaSプロダクトとなっている。法務案件に関するコミュニケーションやナレッジを一元的に集約しており、作業時間の大幅な削減が可能。「OLGA」導入前に2週間前後かかっていた工数が導入後は3日前後に短縮されるようだ。また、AI法務アシスタント・AI契約レビュー・法務データ基盤・契約管理と4つのモジュールで業務プロセスのカバー範囲が広く、大手企業から中堅企業まで約600社の企業に幅広く提供している。
「登記事業」では、変更登記申請オンライン支援サービス「GVA 法人登記」を提供している。「GVA 法人登記」は、変更登記に必要な申請書類や添付書類を簡単に自動作成できるWebサービスで、ユーザーは「簡単に」「安く」「早く」登記申請を行うことが可能。株式会社・合同会社・有限会社・一般社団法人まで広く利用可能で、25種類の手続きに対応している。競合サービスと比較して圧倒的に多い検索ボリュームを有しており、小規模事業者中小企業を中心に約2.2万社の利用実績がある。また、顧客満足度も高く、リピート利用が継続して積み上げている。そのほか、法人の登記簿謄本をらくらく取得申請「GVA 登記簿取得」なども提供。
2024年12月期の売上高は前期比60%増の1,165百万円、営業損失は523百万円の赤字で着した。LegalTech SaaS事業ではARR6.9億円(同78.0%増)、顧客数620社(同166社増)、顧客平均単価9.3万円(同30.9%増)、Net Revenue Churn Rate 0.59%となっている。認知拡大や営業人員増強により新規顧客獲得が積みあがり、顧客数は堅調に増加。平均単価も直近1年間で、複数モジュールの導入や料金プランの見直しが進み上昇傾向にある。登記事業では、サービス利用数の増加とともに売上が継続的に拡大。売上5.6億円(同46.8%増)、サービス利用数16,477件(同30.8%増)、累計利用社数2万3,910社(同49.8%増)。同時に2025年12月業績見通しも開示しており、売上高は前期比49.1%増の1,737百万円、営業損失は250百万円の赤字と赤字幅縮小の見通し。事業投資を継続する一方で、着実な売上高の拡大と収益性の改善に注力していく。
従来のリーガルテック市場は、主に法務部門向けのソリューションを中心とした「狭義のリーガルテック市場」で、契約書のレビューやコンプライアンス管理など、専門的な法務業務の効率化を目的として急速に成長してきた。一方、同社では法務リテラシーが相対的に低い層にリーガルテックの価値を発揮できる機会があると考え、事業部門・中小企業向けにさらなる成長機会を見据えた「広義のリーガルテック市場」を定義している。LegalTech SaaS事業では、事業部門向けまでふくめると市場規模4,155億円(法務部門のみ731億円)、登記事業では法務手続き系で市場規模6,997億円(弁護士1,806億円、行政書士622億円、社会保険労務士1,714億円)と膨大な市場規模が存在している。
同社は今後、LegalTech SaaS事業では複数モジュール導入と法務部門から全社への導入の促進による単価の向上を図っていく。企業に「OLGA」の複数のモジュールが導入されることで平均顧客単価は2倍程度となるようだ。各モジュール間の連携強化やOLGAの統合的なソリューション提案により複数導入の社数を増加させていくという。また、登記事業では、登記領域での継続的な利用企業の拡充と登記手続き以外の領域への展開を図る。具体的には、知的財産・許認可・労務・税務など新領域を選定し、登記事業のノウハウを活かし法的支援サービスを拡充していく。来期以降でまずは商標手続きに関するプロダクトからリリースしていく予定。AIリーガルテック企業で初の上場企業としてリーガルテック領域でのポジションを確立していく同社には今後も注目しておきたい。
<NH>