新興市場見通し:外部環境が不透明ななか、中小型株に資金が向かいやすい
*12:08JST 新興市場見通し:外部環境が不透明ななか、中小型株に資金が向かいやすい
■時価総額が大きい銘柄は売り買いが交錯
今週の新興市場は小動き。同時期の騰落率は、日経平均が-1.57%だったのに対して、グロース市場指数は+0.01%、グロース市場250指数は-0.16%。日経平均は日米長期金利の上昇やドル安円高が重荷となった一方で、業績面を手掛かりとした中小型株への物色が継続した。一方、時価総額が大きい銘柄は売り買いが交錯し、グロース市場コア指数は週間ベースで-0.20%だった。
時価総額上位銘柄では、ジーエヌアイグループ<2160>が5月23日にストップ高まで買われ、3月5日以来の水準を回復。サンバイオ<4592>は、週半ばにかけてバイオ関連株への物色が活発になるなかで年初来高値を更新した。半面、フリー<4478>は、5月15日に発表した決算がサプライズ感に乏しいとの見方もあり、売り優勢の流れが続いた。決算評価で買われていたSynspective<290A>は、高値更新後は利益確定の売りに押された。
今週はIPOがなかった。4月22日にグロース市場に上場したデジタルグリッド<350A>は、リバウンド基調を継続し、5月20日に6550円まで買われ、約1カ月ぶりに上場来高値を更新。その後も強い値動きが続いており、5月23日には更に上場来高値更新となる7250円まで買われた。
■仮想通貨関連は引き続き思惑が高まりやすい
来週の新興市場は、相対的に底堅さが意識されそうだ。米国の財政悪化懸念が高まり、外部要因の影響を受けにくい中小型株に個人投資家主体の資金が向かいやすいと考える。今週のグロースコア指数は週初から調整の動きが目立っていたものの、週末には2.85%の上昇となった。チャート上では前日に割り込んだ75日・200日移動平均線(75・200MA)を上抜けているため、押し目での物色意欲の強さがうかがえる。為替市場ではドル・円が1ドル=142円台半ばで推移しており、内需系に資金が向かいやすい点も中小型株への物色につながりそうだ。
仮想通貨のビットコインは5月22日、初めて11万ドル(約1580万円)を突破し、25年1月につけた史上最高値を更新した。これを手掛かりに、イオレ<2334>、トリプルアイズ<5026>、AppBank<6177>など関連銘柄の荒い値動きが目立った。トランプ米大統領は、議会が休会に入る8月までにステーブルコイン法案や関連法案に署名し、仮想通貨の規制に関する制度を確立させたい考えであるとみられており、引き続き思惑が高まりやすいだろう。
今週、決算を手掛かりに買いが目立ったコンヴァノ<6574>は、節目の5000円を突破したこともあり、目先は反動安が意識されそうだ。かっこ<4166>は、23年12月以来の1000円を回復したことで、いったんは達成感が意識されよう。一方で、強いトレンドが続いているQPS研究所<5595>やライフネット生命保険<7157>、ティーケーピー<3479>、Finatextホールディングス<4419>のほか、高値圏での推移が続くispace<9348>やMTG<7806>などは引き続き注目されそうだ。
来週もIPOの予定はない。直近IPO銘柄では前述のデジタルグリッドのほか、3月31日に上場したジグザグ<340A>、3月28日に上場したトヨコー<341A>が上場来高値を更新するなか、物色が継続するかが注目されよう。
<FA>