ブランディング Research Memo(1):足踏みは短期的、中期的には成長期待
*13:01JST ブランディング Research Memo(1):足踏みは短期的、中期的には成長期待
■要約
1. 会社概要
ブランディングテクノロジー<7067>は、中小・地方企業を対象に、ブランディングやデジタルマーケティング、デジタルシフトを支援している。「ブランドを軸に中小・地方企業様のデジタルシフトを担う」をミッションに掲げ、ブランドを軸にした企業経営を行うことで企業ブランドを向上させ、中長期的な企業成長へと導く「ブランドファースト」をコンセプトとしている。中小・地方企業のブランディング支援は収益化が難しいと言われるが、同社は独自のデータベースから業界別に成功パターンを導き出しノウハウを体系化することで収益化に成功している。なお、アフターコロナにおいても、同社の属するインターネット広告業界は引き続き成長を持続、中小・地方企業のデジタルシフトニーズもさらに強まっており、環境は良好ということができる。
2. ビジネスモデル
同社は、4つの競争優位(「業界別に体系化されたノウハウ」「フロント人材」「カスタマーサクセス」「ブランディングバンク」)による課題解決サイクルを「マーケティングDX※」と称し、「マーケティングDX」を推進することで中小・地方企業が抱える課題の解決を支援している。また、「ブランド事業」「デジタルマーケティング事業」「オフショア関連事業」の3事業セグメントを、「中小・地方企業向けブランド×デジタルシフト」「医療業界向けブランド×デジタルシフト」「中堅・中小企業向けコンテンツマーケティング・メディア制作」「中堅・中小企業向けデジタルマーケティング支援」「沖縄ニアショア・地域振興」「ベトナムオフショア」という6つの事業ユニットに分けたセグメント・ユニット事業構造を採用し、運用の効率化を図っている。
※DX(Digital Transformation):ビッグデータやAIなどのデジタル技術を活用し、業務プロセスや社会システムを改善していくこと。
3. 業績動向
2023年3月期の連結業績は、売上高5,163百万円(前期比4.5%増)、営業利益120百万円(同8.5%増)と2期連続の増収増益となった。しかし、ブランド事業のセグメント利益の減少及び大型プロジェクトの減額により、予算に対しては未達となった。ただし、セグメント・ユニット事業構造により早期に対策が完了していること、アフターコロナにおいても中小・地方企業のデジタルシフトニーズが強いことから、予算未達の影響は短期的なものにとどまる見込みである。2024年3月期の連結業績について同社は、売上高4,700百万円(前期比9.0%減)、営業利益175百万円(同45.0%増)を見込んでいる。大口顧客の取引減少の影響で減収幅は広がるが、中堅・中小企業へのサービス提供の強化、ブランド事業の営業再構築などにより大幅増益を達成する計画となっている。
4. 成長戦略
同社は、セグメント・ユニット事業構造確立による効率運営、AIによって目途がたってきた「フロント人材」の生産性向上と創造性発揮、KPIの順調な伸びから同社の戦略・戦術が正しい方向にあること――から、足踏みはあっても中期的な成長ステージにあると言うことができる。したがって同社は、アフターコロナという新たな時代を見据えて構築した「マーケティングDX」をコアに、ノウハウ開発と進化、人的資本経営の推進、「フロント人材」の育成、DX推進によるパフォーマンス向上――などの中期的な成長戦略を展開することで、今後ますます強まる見込みの中小・地方企業のデジタルシフトニーズを取り込んでいく方針である。加えて、提携やサービス開発の強化、事業ユニットごとの効率化による収益向上も図っており、長期的な成長も期待されている。
■Key Points
・「マーケティングDX」を軸に中小・地方企業のブランディングやデジタルマーケティングを支援
・2023年3月期は業績未達も要因分析と対策は実行済み、2024年3月期の業績は大きく回復する見込み
・強まる中小・地方企業のDXニーズや効率的なセグメント・ユニット事業構造を背景に中期成長を期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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