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銘柄/投資戦略 2025/01/31 11:08 一覧へ

フィード・ワン Research Memo(8):中期経営計画で継続的な収益力強化と生産体制の刷新・増強を図る

*11:08JST フィード・ワン Research Memo(8):中期経営計画で継続的な収益力強化と生産体制の刷新・増強を図る ■トピックス

1. 長期ビジョン
フィード・ワン<2060>は、2024年3月に、次の10年の方向性を定める長期ビジョンを発表した。これまでの10年は「(2社)統合による事業基盤の確立」であり、飼料業界のリーディングカンパニーに成長した10年だった。この成功に安住することなく、「『1(ONE)』にこだわり、選ばれる企業へ」という新たなVisionを掲げ、10年後の2034年3月期にEBITDAで160億円以上、ROE10%以上、ROIC8%以上、畜産飼料市場シェア20%以上という経営指標を目指す。飼料業界の特性上、投資回収には数10年要することから先行投資を十分行える企業は少ないなか、同社は飼料業界のトップ企業として、サステナブルな畜水産業の実現のために、生産体制を刷新・増強する。全国の14工場の中には築後60年以上経過した工場もあり老朽化が課題である。自動化・省人化・省エネ化など先進技術を活用した工場設備に投資をすることは、人材確保が難しい時代に不可欠であり、環境問題の解決にも貢献する。投資計画としては、2025年3月期から2030年3月期までの6年間に600億円程度を見込む。前 中期経営計画期間の設備投資実績は年間平均25億円程度だったが、これからの6年間は年間平均100億円の投資規模に拡大することになる。なお、初期の3年間(1stステージ)では後半から投資が加速する見込みである。必要な資金は主に営業キャッシュ・フローから捻出し、財務規律を保ちながら有利子負債からも調達する。保有資産の最適化により資産効率を向上させたい考えだ。

2. 中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
2025年3月期(進行期)を初年度に2027年3月期を最終年度とする中期経営計画が進行中である。同社のフェーズ分けによると、第2フェーズの10年間(〜2034年3月期)の1stステージの3年間である。2027年3月期に目指す経営指標は、EBITDA:115億円(前 中期経営計画期間中平均値:82億円)、ROE:8%以上(同7.2%)、ROIC:6%以上(同4.7%)販売数量:390万トン(同369万トン)、総投資額:600億円(6年間。前 中期経営計画期間の3年間累計74億円)である。今回の中期経営計画からEBITDA、ROIC、総投資額が経営指標として追加された。また、参考数値として、2027年3月期の計画値は、売上高が3,272億円(同2,883億円)、経常利益が70億円(同48億円)である。計画全体として、確実な設備投資の実行と資本コストを意識した経営を実現する方針が経営指標に反映された。

新たな経営指標として登場したROICに関しては、見える化に取り組んでおり、事業別の改善活動として落とし込んでいる。一例として、これまで売上機会を逃さないことを優先して製品在庫や原材料在庫に余裕を持たせてきたが、今後全社最適を考慮した在庫の持ち方にシフトしていくなど、現場の改善案が出始めた。また、畜産飼料事業を中心として、水産・食品・海外の各事業との連携を強化し、シナジー効果を発揮することで、継続的な収益力の強化を図る。畜産飼料事業では、営業・工場・研究所の連携強化やCRM導入による営業効率化に取り組む。2027年3月期の販売数量は380万トン(2024年3月期368万トン)を目標とする。水産飼料事業では、営業体制強化と魚粉依存からの脱却とコンサルティングサービスの深化を目指す。2027年3月期の販売数量は11.5万トン(2024年3月期11.0万トン)を目標とする。食品事業では畜産飼料事業とのシナジー発揮を実現するとともに、味付ゆでたまご「マジックパール」の生産体制の刷新・増強を行う。財務ではCMS導入による資金効率化も実現させていく考えだ。

3. 研究開発と製品開発の推進
同社は4ヶ所の研究開発拠点に60名を超える研究開発担当の人材を配置し、優位性のある製品を世に送り出している。また、国内大学・研究機関に加え、穀物メジャーの研究機関やアメリカの大学等とも連携し海外技術を積極導入している。飼料業界では、この規模の研究開発投資ができる数少ない企業と言えるだろう。注目の成果として、畜産飼料事業では、牛のメタンガス排出測定技術やメタン低減飼料の開発などが進んでいる。これまで、メタンガスの測定は密室で行う手間があったが、同社では日本初導入の米国製牛呼気メタン測定機「GreenFeed」を活用して野外で簡易的に測定する方法を実現した。これによりメタン低減飼料の開発が加速することが期待できる。また、水産飼料事業では、主原料である魚粉の枯渇や価格高騰が懸念されるなか、無魚粉・低魚粉飼料の開発を行っている。同社が2023年に発売した「サステナZERO」は魚粉を使用しないマダイ用の無魚粉飼料であり、高い嗜好性を維持し、従来製品と同等の成長成績を実現し、販売数量を大きく伸ばしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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