ネクスグループ Research Memo(10):高成長のIoTとデジタルコンテンツ領域に注力。利益の黒字見込む(2)
*13:10JST ネクスグループ Research Memo(10):高成長のIoTとデジタルコンテンツ領域に注力。利益の黒字見込む(2)
■ネクスグループ<6634>の今後の見通し
3. 弊社の見方
M&Aの実施により、2社が新たに子会社として加わった。このうち、ケーエスピーは商社的な性格を持つ企業であり、主に飲食店やコスメショップで販売されるパッケージを供給している。製品単価は低いため利益率は高くないものの、取引先が幅広く、安定した収益基盤を確保している。コロナ禍においても成長を遂げており、飲食業界の回復に伴い事業拡大が進んでいる点は注目に値する。さらに、ホテル業界など新たな市場にも販路を拡大しており、今後も収益の増加が期待される。
一方、スケブは個人向けのコミッションサービスを展開している。具体的には、イラストレーターや声優に依頼して作品や音声を提供してもらうサービスである。月に10万円以上の金額を支払うヘビーユーザーも存在し、登録者数は345万人を超える。このサービスの収益モデルは、取引額の8~13%を手数料として受け取る仕組みである。事業規模は急成長を続け月間の取引総額が6億円を超えている。また、中国や台湾など海外顧客の売上比率が25~30%を占める点も注目すべきである。現在、決済手段の多様化を進めており、これが実現すればさらなる売上増加が見込まれる。ただし、のれん償却負担による短期的な損益への影響は避けられない。一方で、キャッシュ・フローに対しては大きく寄与する事業であり、成長性を考慮すれば、中長期的な収益貢献も期待できる。
次に、5Gの進化と関連する事業について注目する必要がある。同社は、IoT分野における5Gの課題である高消費電力や熱問題、小型化の困難性を解決するため、5G RedCap技術を活用したIoT向けの端末開発を進めている。この技術により、従来のフルスペック5G端末ではオーバースペックであった市場に対するアプローチが可能になる。5G RedCap技術が普及すれば、IoT分野における新たな成長機会が創出される可能性が高いと弊社では考える。
デジタルコンテンツ事業においては、漫画やアニメ関連の収益が期待される。電子書籍の販売チャネルを従来の個別販売から読み放題サービスへと拡大し、売上増加の兆しが見られる。また、「天久鷹央の推理カルテ」のアニメ化により、関連商品の売上が上昇している。ただし、売上計上にはタイムラグがあり、現時点での収益貢献は限定的である。
同社は成長性と収益性を兼ね備えた事業ポートフォリオを構築しているものの、のれん償却の短期的な業績への影響が課題である。高成長事業であるスケブの収益ポテンシャルを最大化すべく、海外市場でのマーケティングや決済手段の多様化を迅速に進める必要がある。また、5Gやデジタルコンテンツ分野の技術革新に対する取り組みは、中長期的な競争優位性を左右すると考えられる。総じて、同社は長期的な成長軌道に乗っており、さらなる収益拡大が期待されると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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