たけびし Research Memo(6):最終年度の2027年3月期計画は下方修正するも、成長投資により超過達成も視野
*13:46JST たけびし Research Memo(6):最終年度の2027年3月期計画は下方修正するも、成長投資により超過達成も視野
■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画「T-Link1369」
たけびし<7510>は、創立100周年となる2027年3月期を最終年度とする4ヶ年の中期経営計画「T-Link1369」を推進している。本計画では、既存事業の強靭化と新領域への拡大を両軸とした事業強化と、資本効率を重視した経営の実践とサステナビリティ経営の高度化による体制強化を通じて持続可能な企業価値の向上を図る。
数値目標として、2027年3月期に売上高1,300億円、経常利益60億円を掲げていたが、中東情勢リスクなどの不透明要因を保守的に織り込み、現時点での着地見込みは売上高1,130億円、経常利益46億円に下方修正している。ただし、M&Aなどを含めた成長施策により超過達成の可能性も視野に入れている。売上高の内訳は、基幹ビジネスで580億円、成長戦略の進化で510億円、ビジネスの変革で40億円としている。
事業強化の柱は3つあり、主力のFA関連を中心とする既存事業の強化(基幹ビジネス)に加え、グローバル、メディカル、オートメーション、オリジナルの「4つの成長戦略の進化」、さらに「既存の枠組みを超えたビジネスの変革」として、モビリティ、マテリアル、エネルギーソリューション、DX推進の4つの領域でのイノベーション(変革)創出を推進している。一方、体制強化においては、財務面で資本効率を重視した経営を実践し、非財務面ではサステナビリティ経営の高度化を通じて持続的な企業価値の創造に取り組んでいる。
2. 重点施策
(1) 4つの成長戦略の進化
(a) グローバル
グローバルでは、2027年3月期の売上高を265億円(前期比2.7%増)と計画している。特に東南アジア・インドを中心とした成長市場でのデバイスビジネス拡大を重視している。インド市場では、スマートメーターや車載関連向け電子部品が成長をけん引し、2029年3月期に売上高100億円を目標に掲げている。今後は、Le ChampとTAKEBISHI ASIA PACIFIC HOLDINGSの2大体制によるさらなる海外ビジネス拡大に加え、戦略的M&Aによる成長を目指す。
(b) メディカル
メディカルでは、2027年3月期の売上高を155億円(同7.2%減)と計画している。放射線がん治療装置・診断装置などの高度医療機器を中心に事業拡大を図る。中四国エリアへの商圏拡大や高付加価値製品の拡充により、引き続き放射線科向けビジネスを強化する。2026年3月期は大幅に伸長したものの、2027年3月期はその反動減を見通している。さらなる商圏拡大を視野に入れるとともに、脳外科・循環器内科向け血管撮影装置の需要獲得や、3Dモニターグラスなど先端サポート製品の販売促進に取り組む。
(c) オートメーション
オートメーションでは、2027年3月期の売上高を70億円(同12.9%増)と計画し、人手不足を背景とした工場自動化需要に対応する。スマートファクトリー化提案を中心に、半導体・再生可能エネルギー関連市場での設備投資需要を獲得し、ITベンダーとの協業によって顧客のスマートファクトリー構想の実現を支援する。また、リニア搬送システムによる生産のフレキシブル化の提案や、食品関連業界向け自動化提案による生産効率の改善にも取り組む。
(d) オリジナル(自社開発製品・システム開発)
オリジナルでは、2027年3月期の売上高を17億円(同13.3%増)と計画し、自社開発ソフトの機能性向上と海外展開による売上拡大を図る。国内シェアトップを占めるOPC対応通信ソフトでは、生成AIエージェントとの連携機能を追加するなど利便性強化を進める。プロダクトマーケティング専任部隊の新設により、海外販促を強化する。
(2) 既存の枠組みを超えたビジネスの変革
(a) モビリティ(移動・搬送向けビジネス展開)
モビリティでは、2027年3月期の売上高を10億円(前期比1億円増)と計画している。無人搬送車や自律移動ロボットの需要を広く取り込み、製造現場やオフィス、店舗などでのニーズに対応する。モビリティ向け新規デバイスの販売拡大にも取り組む。
(b) マテリアル(部品・素材系の商材拡充)
マテリアルでは、2027年3月期の売上高を5億円(同3億円増)と計画している。素材・部品領域の取扱商材拡大により新規事業の創出を目指し、樹脂関連商材の販売拡大や、磁石を活用したBtoC製品の需要開拓を進める。
(c) エネルギーソリューション(環境ビジネスの創出)
エネルギーソリューションでは、2027年3月期の売上高を16億円(同7億円増)と計画している。脱炭素関連ビジネスの展開を進め、創エネルギー・蓄電事業や太陽光発電関連ビジネスを強化する。産業用蓄電システムなど新たな成長領域の開拓にも取り組む。
(d) DX推進(AI活用・業務改善提案)
DX推進では、2027年3月期の売上高を9億円(同2億円増)と計画している。AIやセキュリティ技術を活用したソリューション創出を進め、OTセキュリティへの対応強化や、ハードウェアとエッジAIの組み合わせによる新たな価値提供に注力する。また、次世代電子ペーパー開発への戦略的投資を実施し、デジタルサイネージ市場に向けた新規ビジネスの開拓を推進する。
(3)AI・半導体需要の取り込み
AI・半導体関連市場を成長領域と位置付け、加工機・装置システム・コンポーネント・データセンター向けインフラ設備まで幅広い領域で多層的なソリューション展開を推進している。加工機・盤領域では、基板製造向けマイクロレーザー加工機や素材関連製造設備などを提供する。装置システム領域では、自動搬送システム、基板製造検査装置、ファシリティ監視システムなど、技術力を生かした一体型提案を強化している。また、コンポーネント領域では、半導体製造装置関連向けFA機器・デバイスやデータサーバー向けデバイスまで成長市場の需要を取り込み、事業領域の拡大を進めている。2027年3月期の売上高を200億円と計画し、2031年3月期には300億円規模への成長を目標としている。
(4)M&A
経営戦略室に「事業開発部」を新設し、M&A検討から買収後の事業統合(PMI:ポスト・マージ・インテグレーション)までを専任部門で一貫管理する体制を構築する。M&Aターゲットは日本全国に加え、タイ・インドなどのアジア地域で、商社系(FA・半導体・医療)、SI系、工事系など幅広い領域を対象としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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