エスクリ:独自の出店戦略武器に大都市中心にブライダル施設展開
*12:00JST エスクリ:独自の出店戦略武器に大都市中心にブライダル施設展開
エスクリ<2196>は挙式・披露宴の企画・運営を行うブライダル事業が主力となっている。セグメントは、ブライダル事業(2025年3月期第3四半期実績に対して84.2%)、建築不動産事業(同15.8%)に分かれている。
主力のブライダル事業では大都市を中心に27施設を運営しており、都市型出店とビルイン施設を中心に独自の出店戦略を推進している。会場を決定するうえで約半数の顧客が「交通の便の良さ」を重視しているなかで、同社施設の75%が「駅から5分以内」のアクセスとなっている。東京都区部・政令指定都市は婚姻件数の減少が緩やかで、同社は都市部を中心に展開することで市場規模縮小の影響を抑制している。また、同社施設の約5割がビルインタイプで、大手競合3社の117施設のうちビルインタイプは1施設のみとなるが、同社はビルインでの出店・オペレーションノウハウを蓄積できている。
建築不動産事業では、デザインハウス、リノベーション提案、リゾート開発店舗・オフィス設計施工、世界各地の建材・古材販売など顧客の要望に応じた建築不動産に関するソリューションを提案している。
2025年3月期第3四半期累計の売上高は前年同期比1.9%減の19,255百万円、営業利益は同0.4%増の703百万円で着地した。各段階損益は累計ベースで黒字に転換しており、計画対比でも計画通り進捗。ブライダル関連は、施行単価の増加に加えて宴会が好調に推移したものの、施行件数の減少が響いているようだ。建築不動産関連は、工事の取扱い増加により増収を維持。利益面では、売上減少に伴いコスト額は減少、引き続きコストコントロールを徹底。広告宣伝費を調整してさらなる損益改善を目指すもよう。通期の売上高は前期比1.9%増の27,158百万円、営業利益が同7.6%増の1,000百万円を見込んでいる。
挙式・披露宴市場規模は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一時的に市場規模が縮小したが、1兆円強の市場規模まで回復している。2023年婚姻組数は約49万組・婚姻率
4.0%と少子化・晩婚化・未婚化により緩やかに減少傾向にある。ただ、同社が属する専門式場・ゲストハウスはタイプ別シェアで57%と最も大きな割合を占める。また、ブライダル業界売上高上位5社が市場に占める割合は11.1%と、ブライダル業界は他業界と比較して圧倒的シェアを持つガリバー企業が不在でシェア拡大の余地は大きい。
同社は今後、引き続き都市型出店とビルイン施設の独自出店戦略を進めつつ、他社とのアライアンス(M&Aや資本業務提携など)も強化していく。従来よりSBIホールディングス<8473>との資本業務提携、ティーケーピー<3479>との資本業務提携、グッドラック・コーポレーションとの業務提携など異業種との提携やコラボレーションを行っている。そのほか、PBRは1倍を下回っており、業績の底堅い成長が続く中、今後のシェア拡大や資本政策には注目しておきたい。
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