VIS Research Memo(9):2025年12月期中間期までの業績は想定どおりに進捗
*12:09JST VIS Research Memo(9):2025年12月期中間期までの業績は想定どおりに進捗
■Veritas In Silico<130A>の業績動向
3. 2025年12月期中間期の業績動向
2025年12月期中間期の業績は、事業収益43百万円(前年同期比62.6%減)、営業損失186百万円(前年同期は66百万円の損失)、経常損失182百万円(同88百万円の損失)、中間純損失184百万円(同90百万円の損失)となった。プラットフォーム型ビジネスでは、新規契約締結の交渉や製薬会社とのmRNA標的低分子創薬研究が計画どおりに進展した。また、自社パイプライン(核酸医薬品)の対象となる疾患と遺伝子候補の選定に入るなどパイプライン型ビジネスも本格化し、ハイブリッド型ビジネスへの転換が本格化した。事業収益も、着実に研究支援金やマイルストーン収入を収受するなど想定どおりに進捗しており、2025年12月期の業績予想は期初計画を据え置いている。
プラットフォーム事業では、ibVISを活用して東レ、塩野義製薬、ラクオリア創薬、武田薬品工業のパートナー企業と共同創薬研究が各々進捗した。塩野義製薬との共同創薬研究では、難易度の高い水準でリード化合物獲得につながる化合物の取得に成功し、マイルストーンを達成した。また、ラクオリア創薬とのがん治療薬創出を目標とした共同研究では、共同研究で取り扱う標的遺伝子の研究範囲を拡大するとともに、複数遺伝子に対して複数のスクリーニングを実施し、それぞれ創薬研究の起点となり得る低分子化合物を複数取得するなどの成果があった。また、新たな提携先の獲得に向け、mRNA標的低分子創薬に関心を持つ国内外の製薬会社などを対象に、同社のプラットフォーム技術を訴求するとともに、国内外の複数の企業との間で契約締結に向けた交渉を継続した。これらの結果、2025年1月及び6月に欧州の企業と新たにCDAを締結した。また同年6月に三菱ガス化学と新たに共同研究契約を締結して、CDA下で本契約交渉中の企業数は前期末比1社、前年同期末比で3社増えて7社となった。さらに、同社が保有する特許のうちibVISの基盤部分をカバーする特許権が、2025年1月に欧州域内にて、さらに同年7月に米国で付与された。
パイプライン事業では、ハイブリッド型ビジネスの確立に向けて、自社独自でmRNAを標的とする新たな医薬品のパイプライン創出の取り組みを進めた。核酸医薬品の開発においては、効率よく活性の高いASOを取得するための独自研究に取り組んでいる。また、同社として最初のパイプラインとして心臓血管手術後に惹起される虚血性の急性腎不全を創薬研究の対象疾患と定め、核酸医薬品による疾患治療のプロジェクトを開始した。
このほか自社パイプラインの事業価値を向上させる可能性がある新たな特許2本も出願し、知的財産権の拡充も進んだ。
これらの結果、事業収益において新たな契約の締結に伴う契約一時金の計上はなかったが、パートナー4社との共同創薬研究契約に基づき定期的に受け取る研究支援金、研究活動の進捗・達成に伴うマイルストーン収入を計上した。前年同期比で減収になったのは、マイルストーン収入が、前年同期実績との比較で50百万円の減収となったことが主因である。一方、販管費は、研究開発費が研究体制増強に伴う研究員の増員及び研究員給与のベースアップ実施に伴う研究開発費の増加に加え、株主総会開催費用の発生による支払手数料などの事業費用が増加した結果、利益面でも当初の想定どおり営業損失となった。
第3四半期以降も引き続きパートナー企業との共同創薬研究を推進する方針である。新たな契約については2025年度3社目、4社目の締結に向けた交渉が進められており、予定どおりに成約すれば契約一時金が発生する。また知財権の拡充については3件目の特許出願と併せて、既に申請済の特許についても審査が進捗し、公開されることが期待される。
以上を総合して、中間期までの実績はほぼ計画どおりの着地となったが、第3四半期以降についてもおおむね計画どおりに進行すると見込まれ、通期の業績予想は期初に公表したものを据え置いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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