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銘柄/投資戦略 2024/10/21 11:03 一覧へ

SOLIZE Research Memo(3):デザイン事業とマニュファクチュアリング事業を展開(1)

*11:03JST SOLIZE Research Memo(3):デザイン事業とマニュファクチュアリング事業を展開(1) ■SOLIZE<5871>の事業概要

1. 事業の構成
同社が展開する事業は、エンジニアが顧客企業の製品開発に対し直接的に製品開発ノウハウ・技術等を提供する「デザイン事業」と、顧客企業に対し同社の3Dプリンター等の設備による試作モデル製作及び最終製品に使用できる少量多品種製品の製作や3Dプリンターの代理販売・保守サポート等を行う「マニュファクチュアリング事業」の2セグメントである。デザイン事業ではエンジニアリングサービス及びコンサルティングサービスを、マニュファクチュアリング事業ではマニュファクチュアリングサービスを提供する。

2024年12月期中間期のセグメント別の売上高構成は、デザイン事業が82.2%を占める主力事業であり、マニュファクチュアリング事業が17.8%を占める。一方、営業利益では、マニュファクチュアリング事業が販管費抑制により利益を計上したのに対し、デザイン事業では人材採用を積極化したことで販管費が増大したことから小幅の損失を計上した。ただ、こうした特殊要因を除けば、本来はデザイン事業の方が利益率は高い。

2. サービスの内容
同社では、自動車関連メーカーを中心とする顧客企業に対して、エンジニアリングサービス、マニュファクチュアリングサービス、コンサルティングサービスの3つのサービスを提供している。1990年の創業時より、エンジニアリングサービスとマニュファクチュアリングサービスを展開し、2000年からコンサルティングサービスが加わった。

(1) エンジニアリングサービス
創業以来続けている事業で、ものづくりのデジタル化の黎明期で2Dから3Dに変わるタイミングに、同社は3D CADの教育をスタートした。その後、実際に3D CADのエンジニアを顧客企業へ送り込むところから、エンジニアリングサービスが始まった。このサービスでは、同社グループのエンジニアが保有する製品開発ノウハウやデジタル技術等を顧客企業の開発現場で直接提供するオンサイト支援(契約形態としては請負契約・準委任契約・派遣契約など)と、顧客企業からの依頼を受けて取り決めたアウトプット等を提供するオフサイト支援(契約形態としては請負契約・準委任契約など)により提供している。

同サービスの大きな特長は、対応領域がハイエンド領域(設計や解析など、ものづくりの上流工程)に特化しており、受託開発も可能な点にある。具体的には、デザイン&シミュレーション(3Dスタイリング、設計、解析、3Dソリューション)、ソフトウェア&シミュレーション(ソフトウェア、MBD、XR)、デジタルリスク(サイバーセキュリティ、デジタル・フォレンジック)等である。そのため、技術者派遣ビジネスでは、2024年6月末時点で平均時間単価4,835円と、業界水準に比べて10%以上高いトップクラスの水準を誇る。同社グループのエンジニアは高い付加価値を出すため、結果として単価も高くなる。さらにエンジニア数も、国内で約1,400名、米国で約60名、インドで約150名、中国で約30名と、連結ベースで1,600名超を誇る。

(2) マニュファクチュアリングサービス
エンジニアリングサービスと並んで創業以来続けている事業である。同サービスは、3Dプリンティング技術を駆使したサービスで、製造だけではなく、材料開発、装置導入・保守、活用支援まで幅広い3Dプリンターのケイパビリティを誇る。3Dプリンティングは、デジタルデータを用いて物体を造形する技術であり、積層造形法とも呼ばれる。材料を一層ずつ形成していくことで、3次元オブジェクトを作成する技術だ。

3Dプリンティング技術は、1990年以来、30年以上にわたり蓄積してきた技術とノウハウ、並びに自社で保有する3Dプリンター等の造形設備を活用し、製品開発における評価・検証等に使用される試作部品や、最終製品に使用される量産部品の提供を行っている。量産部品については自動車の量産品質へも対応している。また、ハイエンド3Dプリンターを、2024年6月末時点で国内最大級の41台保有している。ハイエンド3Dプリンターの価格は、1台当たり数百万円から1億円超のものまで様々であるが、大半は5千万円以上と高価である。粉末造形機、光造形機、インクジェット式、金属造形機を有しており、顧客の様々なニーズに対応できるのが強みである。さらに、3Dプリンターの導入から活用支援や、設計から製造までを支援等、ワンストップサービスを提供している。

(3) コンサルティングサービス
2000年代には、ものづくりのデジタル化を進めるなかで培ったノウハウを生かし、同社はいち早く3つ目の柱となるコンサルティングサービスを開始した。同サービスは、企業のビジネスモデルや製品開発の業務プロセスの変革等の実行力を提供し、顧客の組織を活性化するサービスである。

同社独自の方法論として、暗黙知(意思決定ロジック)まで踏み込むメソドロジー(筋道だったやり方の体系)に基づき、徹底した可視化・数値化技術をベースとして、組織を活性化する。エンジニアリングサービスやマニュファクチュアリングサービスで培った開発現場での経験・ノウハウ、デジタル技術や独自の方法論を融合したコンサルティングを展開する。これにより、技術課題の解決や組織横断的なプロセスの最適化を行い、顧客企業の競争優位性強化に向けた変革を推進する。さらにSaaS※により、ダイナミックな知恵の活用を実現する。同サービスでは、目指すべきことを描くだけでなく、顧客側に入り込み一緒に変革を行う。また、コンサルティングサービスの提供が終わった後も、エンジニアリングサービスのエンジニアが継続的に開発支援を行う。

※ Software as a Serviceの略称。サービスとしてのソフトウェアを意味するクラウドサービスの一種。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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