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銘柄/投資戦略 2025/01/08 13:30 一覧へ

アシロ:法律事務所向けの「リーガルメディア」が主力、大幅増益フェーズかつ初配から4期連続の増配を見込むグロース銘柄

*13:30JST アシロ:法律事務所向けの「リーガルメディア」が主力、大幅増益フェーズかつ初配から4期連続の増配を見込むグロース銘柄 アシロ<7378>は、「ベンナビ離婚」などのリーガルメディア、転職メディア「キャリズム」などの運営を行うメディア事業が主力。人材紹介・派遣のHR事業、保険事業も展開している。

メディア事業では、法律事務所向けの「リーガルメディア」と転職支援を目的とした「派生メディア」を運営している。リーガルメディア(2024年10月期の売上収益構成比51%、営業利益構成比70%)では、弁護士広告を中心に「ベンナビ離婚」「ベンナビ相続」「ベンナビ交通事故」など8つの専門分野ごとに特化したメディアを展開。法律事務所から得る掲載料収入(月額定額)でのストック収益がメインで、2024年10月期第4四半期時点のリーガルメディアの掲載枠数は3,146枠(前年同期比30.3%増)となっている。1枠当たりの掲載枠単価が月額定額なので、掲載枠数の増加に比例して売上収益が増加していく。

派生メディア(2024年10月期の売上収益構成比41%、営業利益構成比30%)では、転職メディア「キャリズム」や「浮気調査ナビ」といったプラットフォームを運営。人材紹介会社、探偵会社への問い合わせ数に応じた成果報酬型の事業であり、転職メディアが収益の大部分を占めているようだ。派生メディアの問い合わせ数は24,201件(同83.5%増)となっている。

そのほか、HR事業で弁護士や公認会計士などの士業人材や、管理部門人材を対象とした人材紹介サービスを提供するとともに、2024年度から事務人材の派遣事業を開始した。また、保険事業では、弁護士費用の一部を補償する少額短期保険を主力商品として展開。2024年度は既存商品の販促活動を抑制し、新商品の開発に注力した。法人向け保険への展開が新たな成長戦略として位置づけられており、現在はその準備段階にある。

2024年10月期の売上収益は前年比50.0%増の4,798百万円、営業利益は同517.1%増の329百万円で着地した。第3四半期に上方修正を発表したが、第4四半期の業績が見込みよりさらに好調に推移した。リーガルメディア、派生メディア、HR事業はそれぞれ過去最高の四半期売上を達成、特にリーガルメディアは高単価の新商品が好調だった。2024年10月の月次ストック収益は同19.2%増の183.5百万円まで伸びた。保険事業は新商品の開発に集中したため短期的な収益成長が限定的だったが、将来的な基盤の構築に向けた投資を進めている。2025年10月期の売上収益は同31.8%増の6,326百万円、営業利益は同285.0%増の1,265百万円を見込んでいる。リーガルメディア・派生メディアで30%程度の安定成長を見込み、HR事業も高い成長率を継続していくようだ。

リーガルメディアは弁護士法や弁護士会の規制があって参入障壁の高い事業領域となる。また、競合は弁護士個人を主な掲載単位としてARPUが低い一方で、同社は法律事務所を掲載単位としているため事務所としての広告予算を獲得しやすい傾向にあり、ARPUの高さを活かしてユーザーの集客にしっかりとコストをかけられる構造となっていることもあり、競合他社比で高い売上成長率を実現している。また、2024年10月期時点で1,153件の顧客を有しているが、全法律事務所数のうちシェア6.3%にとどまっており、依然として大きな成長余地がある。弁護士報酬の市場規模が拡大する中で弁護士数も増加傾向にあり、弁護士間の競争から広告投資の増加も見込まれる。

このような環境下で長期ビジョンも開示しており、今後も売上収益成長率最低25%を目指し、2030年度には営業収益20,000百万円を目指すようだ。リーガルメディアでは高単価商材、派生メディア事業では複数の新メディアを展開するほか、HR事業では成約率の向上並びに対応件数の増加、保険事業で新商品開発を進め、全ての事業の成長で業績拡大を図っていく。また、既存事業の成長を土台とし、新規事業とM&Aへの挑戦を継続するようだ。そのほか、グロース銘柄にも関わらず、株主還元では配当性向30%を掲げて今期予想の配当予想に対する直近の株価の利回りは2.0%程度であり、初配から4期連続の増配を見込んでいる。業績の急成長・株価上昇が続く中、引き続き動向を注目しておきたい。


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