ミガロHD Research Memo(5):2024年3月期はマンション価格高騰とDX推進事業成長が業績をけん引(2)
*14:55JST ミガロHD Research Memo(5):2024年3月期はマンション価格高騰とDX推進事業成長が業績をけん引(2)
■ミガロホールディングス<5535>の業績動向
同セグメントは、DX不動産会員数に比例して販売数が増えるビジネスモデルであり、DX不動産会員数がストックデータとして拡大することで、同社グループのDX不動産経済圏が拡大する。見込み客となるDX不動産会員数は増加を続けており、2024年3月期末時点で166,256人(前期末比7,196人増)となった。不動産投資型クラウドファンディング「Rimple」や不動産情報サイト「不動産投資Times」など、顧客のニーズに合わせたプラットフォームを展開することで集客を図っている。
「Rimple」の応募は好調に推移しており、累計ファンド組成額は2024年3月期末時点で5,214百万円(前期末比1,754百万円増)であった。投資意欲は上昇傾向にあり、業界全体としてもニーズが伸びている。「不動産投資Times」からの流入も好調に推移している。また、販売契約数も増加しており、2024年3月期末時点で1,113件(前期末比127件増)となった。
2024年3月期は、顔認証マンションは賃料の上昇や資産価値の向上につながっていることが明確となった。同社アンケートでは、顔認証マンションは多くの入居者の顧客満足度を高めていることが明らかとなっている。加えて、顔認証マンションは周辺相場と比較して、賃料が平均3~5%ほど高い成約データがあり、先行導入することで物件の資産価値が向上する傾向にあると、不動産鑑定士よりコメントが出された。また、同社調べによれば、顔認証マンションの引き渡しから満室になるまでの日数は、周辺の類似物件が157日であるのに対して105日と短縮効果が見られた。そのほか、(株)リクルートが発行する、SUUMO新築マンション首都圏版2024年1月5日号の特集記事「住まいトレンド2024」にも選定されている。これらの要因から、顔認証マンションは原価高騰圧力に対する価格転嫁力を持つことが証明されていると弊社では見ている。
3. 財務状況
2024年3月期末の資産合計は、前期末比5,004百万円増の48,446百万円となった。これは主に、DX不動産事業において2025年3月期以降の売上が増加したことで、販売在庫を積み増しし棚卸資産が2,501百万円、順調な販売・資金回収等により現金及び預金が2,079百万円それぞれ増加したためだ。また、負債合計は同4,120百万円増の37,990百万円となった。これは主に、DX不動産事業における棚卸資産積み増しのため長期性資金調達を行ったことにより、1年内返済予定の長期借入金を含めた長期借入金が3,778百万円増加したためだ。純資産合計は同883百万円増の10,456百万円となった。これは主に、同社の実質的前身であるプロパティエージェントが配当を実施したことにより利益剰余金が290百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益1,112百万円を計上したことで利益剰余金が増加したためだ。自己資本比率は前期末比0.4ポイント低下の21.4%、借入金の増加は正常な営業循環における販売用不動産及び開発用地の取得に伴う一時的なものであり、短期的な懸念事項はないと弊社では見ている。
2024年3月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比2,079百万円増の8,888百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローが691百万円の支出となった。これは主に、販売による資金回収があったものの、DX不動産事業における棚卸資産の増加、法人税等の支払があったこと等による。投資活動によるキャッシュ・フローは359百万円の支出であった。これは主に、子会社株式の取得に伴う支出に加えて、システム投資等にかかる固定資産の取得があったこと等による。財務活動によるキャッシュ・フローは3,130百万円の収入であった。これは主に、長期借入金の返済による支出があったものの、それを上回る棚卸資産増加のための資金の確保にかかる長期借入れによる収入があったこと等による。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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