応用技術:建設・製造DXと防災・減災技術が両輪、国土強靭化向けの需要が追い風
*14:22JST 応用技術:建設・製造DXと防災・減災技術が両輪、国土強靭化向けの需要が追い風
応用技術<4356>は1984年の会社設立以来、ものづくり支援やCAD、BIM、GISを活用したソリューションサービス事業、防災・環境分野を対象としたエンジニアリングサービス事業を両輪に、主に製造業・建設業向けに製品・サービスを提供している。BPO大手のトランスコスモスが同社議決権の60.24%を保有。
同社の事業は、ソリューションサービス事業とエンジニアリングサービス事業の2本柱。ソリューションサービス事業は売上高の70%を占め、製造業および建設業を主要顧客とし、PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用支援サービスを提供している。BIMソフト市場で圧倒的なシェアを持つAutodesk社のRevitを日本市場向けに利便性を高めるアドオンソフトをサブスクリプション形式で提供しており、収益は積み上げ型のストックビジネスとなっている。一方、エンジニアリングサービス事業の売上高は全体の30%だが収益性が高く、防災・減災、環境コンサルティング、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)支援を行っており、高度な解析技術を駆使したコンサルティングを展開。国土強靭化計画など国の政策に応える同事業は案件数に限りがあるものの、収益性が高く事業ポートフォリオを強化している。
同社の強みは、高度な解析技術と長年培われたCADの開発力にある。大学研究室レベルの解析・シミュレーション技術があり、自治体の案件などにも対応している。また、親会社のトランスコスモスはBPOサービスにおいて広範な顧客基盤を持つが、同社の製品・サービスを併せて提供することで、顧客課題にワンストップで対応することができる。
同社を取り巻く事業環境については、マクロ環境では国土交通省による公共事業でのBIM/CIM原則適用や、自然災害対策としての国土強靭化計画が、建設DXと防災関連事業の需要に対してポジティブなトレンドとなっている。また、建設・物流業界の深刻な人手不足は、生産性向上を実現するDXソリューションへの投資を不可避なものにしており、当面は旺盛な需要が期待できる。
2025年12月期の通期業績予想は、売上高は前期比9.4%減の7,100百万円、営業利益は同1.9%減の920百万円としているが、第2四半期終了時点での営業利益進捗率は69.3%と高い水準にある。過去2年間の上半期営業利益進捗率が61~66%程度であったことを踏まえると、通期の営業利益予想については上振れ余地があると考える。
現在推進中の中期経営計画「OGI GrowUp2028」(2024~2028年度)では、最終年度の2028年12月期に売上高10,000百万円、営業利益1,500百万円、営業利益率15.0%を目標に掲げている。また、中長期的には従来の受託開発・解析中心のビジネスから、SaaS事業の割合を高める事業構造に転換することも目標としている。営業利益において年平均成長率8.9%が必要になるが、足元の良好な事業環境やストック型ビジネスが拡大基調にあることを踏まえると、十分に達成可能と考える。
株主還元については、中期経営計画で成長に必要な戦略的支出と財務の安定性のバランスを考慮しつつ、安定配当を基本方針としている。長期的な目標として配当性向30%を掲げているが、2025年12月期の配当予想は前期・前々期と同額の年間30円としている(予想配当性向26.5%)。
製造業・建設業でのDX需要、国土強靭化など国の政策は追い風であり、当面は堅調な成長が期待できる。また、SaaSモデルの増加については、不確実性はあるものの、ストックビジネスが増加することで収益基盤の安定化につながる点はポジティブ。足元の株価バリュエーションはPER15.1倍、PBR1.7倍と過熱感はない。業績の進捗が進む中で、株価もアップサイドを意識しやすい展開を予想する。
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