フィスコニュース

市況・概要 2026/08/23 09:00 一覧へ

堅調ポンドに引き続き政治リスク【フィスコ・コラム】

*09:00JST 堅調ポンドに引き続き政治リスク【フィスコ・コラム】 英新政権発足で財政運営への懸念は後退し、ポンド相場の焦点は国内経済や英中銀の政策が目下の注目材料に移りました。足元はドル売りに支えられているものの、やはり政治情勢からも目が離せません。特に、秋の予算審議では与党内の対立も警戒されそうです。


ポンド・ドルは7月下旬に1.3273ドルまで下落後は上昇に転じ、1.36ドル台半ばと5月の水準に回復しています。直近の米連邦公開市場委員会(FOMC)で引き締めに積極的なスタンスがみえず、ドル安がポンドを支えているためです。一方、米国とイランの和平実現が遠のいたことによる原油相場の値上がりや米長期金利の上昇はドルを下支えし、ポンドの上値を抑える場面もみられます。


比較的良好な経済指標もポンド買い要因。4-6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比+0.4%と市場予想と一致し、1-3月期に続きプラス成長を維持。低成長ながらも、サービス業を中心に経済活動は持ち直しています。景気後退への警戒が薄れ英国売りを急ぐ理由は乏しくなったこともポンドを下支えしているようです。


そうなると、目先は英中銀の政策運営が焦点となります。7月会合では政策金利を3.75%に据え置きましたが、当局者9人のうち3人が4.00%への利上げを主張しました。8月19日発表の7月消費者物価指数(CPI)は加速し、ポンドには追い風となっているもようです。インフレ鈍化のペースは緩慢で、物価への警戒姿勢は維持されそうです。他方、労働市場には減速の兆候もあり、当面は金利据え置きが予想されます。


ただ、やはり政治情勢は無視できません。バーナム政権は財政ルールを守る方針を示し、首相自身も財政余力が限られていることを認めています。それにより発足当初の財政悪化への警戒は一服。目先は10月28日に予定される初の予算案発表。特に、国防費や社会保障などへの歳出とその財源が注目材料です。仮に政権内の対立が深まり、財政規律への疑念まで再燃すれば、英国債とともにポンドへの売り圧力が強まる可能性があります。


これまでポンドは英国の政治不安から売られる場面が目立ちましたが、その局面は一服したかもしれません。今後は新政権が景気への配慮と財政規律を両立できるかが問われます。市場の信認を維持できればポンドは底堅く推移するとみられるものの、新政権の舵取り次第では相場の風向きも変わるでしょう。やはり根底には政治リスクへの警戒があるようです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


<CN>

フィスコニュース

マーケット ニュース一覧