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市況・概要 2025/02/16 09:00 一覧へ

ドイツ総選挙にらみユーロ【フィスコ・コラム】

*09:00JST ドイツ総選挙にらみユーロ【フィスコ・コラム】 ユーロ・ドル相場は年明け以降、下押し圧力が強まっている一方、底堅さも目立ちます。ユーロ圏経済は想定ほど悪化しないとの楽観的な見方が背景にあるためです。ただ、今月のドイツ総選挙で極右勢力が躍進すれば、ユーロは下値を模索する展開が予想されます。


2025年のユーロ・ドルは1.03ドル台半ばで寄り付いた後、ドル買いに押され、1月13日には2022年11月以来の安値水準となる1.0170ドル台まで落ち込む場面がありました。その後は1.05ドル台に持ち直し、2月に入っても下げは想定内と言えるでしょう。ウクライナ戦争終結の動きが出始め、ユーロ圏全体では想定ほど悪化しないとの見方から、安値圏ではユーロの買戻しが強まるためです。


ただ、「方向感を欠く」という表現の方がより実態に近いかもしれません。欧州中銀(ECB)の緩和的な政策方針で、ユーロに下押し圧力が続いているとはいえ、他の通貨と同じように米トランプ政権の通商政策に振らされています。アメリカがカナダとメキシコ、中国に関税引き上げを決めるとドル買い地合いに。ユーロは欧州連合(EU)もいずれその影響を受けるとの懸念に揺れ動いているもようです。


今月23日投開票のドイツ総選挙の後は、さらにもみ合う展開が予想されます。ショルツ首相所属の社会民主党(SPD)を軸とした同盟90・緑の党(B90/Gr)、自由民主党 (FDP)の連立政権は予算審議をめぐり対立。メルケル前首相が所属していた中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)、その姉妹政党との統一会派(CDU/CSU)が政権与党への返り咲きが確実視されていました。


ところが、昨年12月から外国出身者による凶悪事件が相次ぎ、移民・難民政策が最大の争点に。そのため躍進中のポピュリスト政党「ドイツのための選択」(AfD)がさらに支持を広げる状況になっています。CDU/CSUは移民規制強化のために提出した動議は、党内の分裂で否決されました。同統一会派はタブー視されている極右政党との連携に批判の声が上がり、選挙戦で痛手を被る可能性が出てきました。


仮にAfDが政権入りした場合、反EUの姿勢はユーロ圏の結束に対する懸念からユーロ売り要因となりそうです。ドイツ国債(ブント)の安全資産としての地位も揺らぎ、利回りの上昇を招くでしょう。また、厳格な移民制限や規制緩和の方は労働市場や企業経営に与える影響が不透明で、ドイツ株式市場には売り圧力がかかるとみられています。市場は選挙戦の行方を注視し、ユーロ買いは慎重になっているもようです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>

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