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銘柄/投資戦略 2025/10/01 10:29 一覧へ

エス・エム・エス:国内外で医療従事者の不足・偏在解消に貢献、株主還元も積極的

*10:29JST エス・エム・エス:国内外で医療従事者の不足・偏在解消に貢献、株主還元も積極的 エス・エム・エス<2175>は、2003年に設立され、現在は東証プライム市場に上場している。グループミッションとして「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」を掲げ、「医療」「介護/障害福祉」「ヘルスケア」「シニアライフ」の各領域で事業を展開している。事業分野は、キャリア(医療キャリア、介護キャリアに大別)、介護・障害福祉事業者(カイポケ)、海外、事業開発の4つに分かれており、2025年3月期における売上高構成比は、介護キャリアと医療キャリアがそれぞれ約3割、介護・障害福祉事業者が約2割、海外が約1.5割、事業開発が約0.5割であった。

高齢化の進行に伴い、医療・介護従事者の不足が深刻化するなか、同社は人材紹介やダイレクトリクルーティングを軸にキャリア分野を拡大し、人材紹介では看護、介護領域においてそれぞれ国内シェア1位を確保している。加えて、資格取得スクールを通じた介護人材の育成にも注力している。介護・障害福祉事業者向けには、会員数56,900事業所(2025年7月1日時点)を擁する「カイポケ」を展開し、保険請求やバックオフィス業務の効率化などの課題解決を支援している。ファクタリングやタブレット等の有料オプション、M&Aマッチングの利用も拡大している。海外では、MIMSグループを軸にメディカルプラットフォームを展開するほか、クロスボーダー/ドメスティックでの人材紹介によって医療従事者の不足や地域偏在の解消に取り組んでいる。現在は、アジアに加えて、欧州やオセアニアにも進出し、世界17の国と地域に展開エリアを広げた。

2025年3月期は、売上高60,952百万円(前期比12.9%増)、営業利益6,335百万円(同23.4%減)、経常利益8,357百万円(同15.6%減)、当期純利益6,054百万円(同16.2%減)であった。キャリア分野では介護、医療ともに伸長したものの、転職意欲の鈍化や競争激化の影響で成長は限定的であった。介護・障害福祉事業者分野は会員数増加や有料サービス拡大により増収となった。利益面では、キャリアパートナー採用や広告投資の増加により減益となった。
2026年3月期第1四半期は、売上高18,672百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益3,616百万円(同20.5%増)、経常利益4,785百万円(同16.3%増)、四半期純利益3,940百万円(同24.6%増)と増収増益であった。キャリア分野では介護、医療とも順調に成長し、介護・障害福祉事業者分野でもカイポケの会員数増加を背景に拡大した。利益面では、キャリアパートナーの採用抑制などコストコントロールが奏功し、増益となった。
2026年3月期通期では、売上高67,544百万円(前期比10.8%増)、営業利益7,287百万円(同15.0%増)、経常利益9,468百万円(同13.3%増)、当期純利益7,029百万円(同16.1%増)を予想している。高齢化進行を背景とした堅調な市場環境の下、サービスブランド力強化、ダイレクトリクルーティングサービスのリニューアル、新規事業開発への投資を進め、22期連続の増収を見通している。利益面では、キャリアパートナー数の適正化と生産性改善により増益を予想している。

中期目標は、2031年3月期まで1株当たり当期純利益(EPS)の年平均成長率15%を掲げ、164.14円以上(2025年3月期比131.3%増)を目指す。また、株主資本利益率 (ROE)は20%の早期達成を掲げており、2025年3月期のROEは14.9%であった。成長ドライバーは、キャリア領域における生産性改善やダイレクトリクルーティングの拡大、「カイポケ」の会員数増加などを挙げている。さらに、新規事業開発としてシニアライフ領域やヘルスケア領域の拡大を推進する。

株主還元については、2026年3月期より連結配当性向30%を目安に累進配当を基本方針としている。なお、2025年3月期の年間配当金は28.50円(配当性向40.2%)を実施し、前期比8.50円の増配となった。2026年3月期の年間配当予想は現時点で未定であり、第3四半期の業績発表時に開示する予定である。自己株式の取得については、財務状況や株価水準に応じて機動的に行う方針であり、2026年3月期は、2025年7月までに約40億円を実施した。

<HM>

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