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銘柄/投資戦略 2026/04/07 14:59 一覧へ

日産化学:半導体材料・農業化学品を中心に高付加価値経営を展開、積極的な株主還元方針

*14:59JST 日産化学:半導体材料・農業化学品を中心に高付加価値経営を展開、積極的な株主還元方針 日産化学<4021>は1887年に日本最初の化学肥料会社として創業したスペシャリティケミカル企業であり、「未来のための、はじめてをつくる。」を企業理念に掲げている。売上高構成比は機能性材料と農業化学品がそれぞれ3割を占め、営業利益構成比は機能性材料が5割強、農業化学品が5割弱を占める。1980年代後半に石油化学事業から撤退し、高付加価値型のスペシャルティケミカルへ転換したことが、現在の高収益体質の基盤となっている。

同社の最大の強みは、研究開発を軸としたR&Dドリブン経営により、ニッチマーケットで高シェア・高利益率の製品群に集中している点にある。総合職の約4割を研究開発人材が占めるが、研究者を営業部門へローテーションすることで顧客との技術交流を深め、将来ニーズを踏まえた製品開発につなげている。独自の精密有機合成技術や微粒子制御技術などでは競争優位性が高く、世界トップクラスのシェアを持つ液晶配向材や先端世代向け半導体用反射防止コーティング材など、技術的参入障壁の高い製品群によって高い収益性を確保している。

2025年3月期は、売上高251,365百万円(前期比10.9%増)、営業利益56,833百万円(同17.9%増)、経常利益58,018百万円(同12.4%増)、当期純利益43,043百万円(同13.2%増)であった。売上高は半導体材料の好調に加え、ディスプレイ材料や農業化学品が拡大し増収となった。利益面では、機能性材料や農業化学品の高付加価値製品の販売増が寄与し、各利益項目で過去最高益を更新した。

2026年3月期第3四半期は、売上高195,435百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益44,984百万円(同9.5%増)、経常利益46,513百万円(同7.4%増)、当期純利益35,043百万円(同10.5%増)となった。売上高は、半導体材料(前年同期比23%増)と農業化学品(同14%増)が増収をけん引した。利益面では、半導体材料を中心に機能性材料が増益に寄与した。

2026年3月期通期は、売上高272,200百万円(前期比8.3%増)、営業利益59,000百万円(同3.8%増)、経常利益59,000百万円(同1.7%増)、当期純利益44,000百万円(同2.2%増)を予想している。機能性材料の堅調な成長に加え、農業化学品における新剤投入や海外拡販により増収を見込む。利益面では、農業化学品で研究開発費増や固定費増加を織り込むものの、機能性材料が利益成長をけん引する見通しである。

2026年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「Vista2027 Stage II」では、最終年度の2028年3月期に売上高293,000百万円、営業利益65,000百万円、ROE18%以上を目標としている。スローガンとして「価値共創で未来に挑む企業へ」を掲げ、成長領域への戦略投資を加速する方針である。
成長戦略の柱は機能性材料と農業化学品の両輪である。半導体分野では、生成AI普及による需要拡大や微細化・三次元実装の進展を背景に、前工程では既存の反射防止材に加えてEUV材料(下層膜)や後工程では三次元実装材料の開発を進めている。高耐熱性の光導波路材料など次世代半導体関連材料の開発にも取り組んでおり、これらの新材料は2027年頃から業績寄与を開始し、2030年に向けて大きな収益貢献を見込んでいる。農業化学品分野では、新規農薬を長期パイプラインで開発しており、2027年までに上市予定の新製品が中長期の利益成長を支える計画である。さらに機能性材料では技術獲得を目的としたM&A、農業化学品では販売権取得などを含めた戦略投資を積極的に検討している。

株主還元については、配当性向55%以上、総還元性向75%以上を基本方針としている。2025年3月期の年間配当は174.0円を実施し、配当性向は55.5%、総還元性向は82%だった。2026年3月期は年間180.0円を予定しており、配当性向54.8%、総還元性向79%となる見込みである。通常配当に加えて、20年以上にわたる自己株式取得により資本効率を重視した株主還元を実施している。現在の株価水準はPBR約4倍、PER20倍超で推移している。
半導体材料を中心とした高成長分野と農業化学品による安定収益を併せ持つ事業構造は、半導体市況の変動に対する耐性を備えた収益モデルとして注目される銘柄といえる。

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