ククレブ Research Memo(6):2025年8月期中間期はB/S活用不動産売却等により大幅増収増益を達成
*14:06JST ククレブ Research Memo(6):2025年8月期中間期はB/S活用不動産売却等により大幅増収増益を達成
■ククレブ・アドバイザーズ<276A>の業績動向
1. 2025年8月期中間期の業績概要
2025年8月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比225.8%増の1,654百万円、営業利益で同159.6%増の527百万円、経常利益で同152.6%増の511百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同149.1%増の350百万円となった。
売上高のうち、CREソリューションビジネスは前年同期比265.8%増の1,578百万円となった。B/Sを活用した不動産投資で2件(11億円強)を予定どおり売却したことや、CREアドバイザリー及び不動産仲介が2ケタ増収と好調に推移したことが主因だ。B/Sを活用した賃料収入については一部の物件を売却したことで減収となり、プロジェクトマネジメントについてもプロジェクトの端境期となり減収となった。
一方、不動産テックは同0.1%減の76百万円と横ばい水準に留まった。サブスクリプションサービスの課金収入が順調に積み上がったが、一部サービスの売上げをCREソリューションビジネスに移管したことが要因だ。KPIとしている「CCReB CREMa」のユーザー数は前期末比28.0%増の416アカウント、情報登録数は同16.2%増の6,360件といずれも順調に拡大している。
売上総利益は同96.8%増の771百万円となり、売上総利益率は前年同期の77.1%から46.6%と大きく低下した。これはB/S活用による不動産投資の売上構成比が上昇したことによる。販管費は同29.1%増の243百万円となった。人員増(前期末比3名増の15名)に伴う人件費の増加が主因だ。この結果、営業利益率は前年同期の40.0%から31.9%に低下したが、営業利益の通期計画に対する進捗率は81.1%と順調に推移した。営業外収支は前年同期比で約15百万円悪化したが、主には上場関連費用17百万円の計上による。
物件売却収入により借入金を返済し、財務余力の拡大により販売用不動産の取得に注力
2. 財務状況と経営指標
2025年8月期中間期末の資産合計は前期末比806百万円増加の2,317百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産において不動産の売却により販売用不動産が648百万円減少した一方で、株式上場に伴う新株発行により現金及び預金が1,495百万円増加した。
負債合計は前期末比203百万円減少の334百万円となった。不動産売却収入により借入金を返済したことにより、有利子負債が170百万円減少したほか、買掛金が39百万円、契約負債が31百万円それぞれ減少し、未払法人税等が52百万円増加した。純資産合計は同1,010百万円増加の1,983百万円となった。配当金支出58百万円があった一方で、新株発行に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ359百万円増加したこと、また親会社株主に帰属する中間純利益350百万円を計上したことによる。
経営指標では、経営の安全性を示す自己資本比率が前期末の64.2%から85.5%に上昇し、ネットD/Eレシオも-0.04倍から-0.86倍に低下するなど財務体質が大きく改善した。株式上場により718百万円を調達できたことや、販売用不動産の売却収入で借入金を返済したことが要因だ。同社は、ネットD/Eレシオについては1.0倍以下の水準を維持し、その範囲内で今後は借入金も活用しながら販売用不動産の取得に注力し、2026年8月期以降の収益拡大につなげていく戦略である。その一環として、2025年4月に(株)みずほ銀行との間で借入限度額500百万円のコミットメントライン契約を締結し、機動的に資金調達を行えるようにした。
2025年8月期業績は3期連続で大幅増収増益となる見通し
3. 2025年8月期の業績見通し
2025年8月期の連結業績は、売上高で前期比73.3%増の2,200百万円、営業利益で同54.5%増の650百万円、経常利益で同51.5%増の630百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同48.5%増の428百万円と3期連続で2ケタ増収増益となり、過去最高業績を更新する見通しだ。第1四半期発表時点で新規受注が好調に推移していたことから、当初計画を上方修正しており、中間期までの通期計画に対する進捗率は売上高で75.2%、営業利益で81.1%と順調に進捗している。進捗率が高いのは、中間期までにB/S活用による不動産投資の売却を実施したことによる。
また、当初第3四半期に売上げ計上を予定していた不動産仲介案件について、売主側の意向により売却時期が2026年8月期以降に先送りされることになったが、第2四半期に受注した新規案件でカバーできる見込みとなっている。同社の業績計画は成約確度の高い案件を積み上げた数値となっているため、第3四半期以降に成約期間の短い新規案件を獲得できれば上乗せ要因となる。このため、弊社では業績計画は若干の上振れ余地があると見ている。
なお、足元の景況感はトランプ関税政策の影響によりやや悪化しているが、前述のとおり同社ビジネスへの影響は軽微と見られる。重要KPIとしている「CCReB CREMa」のユーザー数や登録数については増加基調が続いており、CREソリューションビジネスについても、2026年8月期以降のCRE戦略支援案件など新規案件のパイプラインが増加している状況にあり、収益は引き続き高成長が続くものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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