カナダドルは軟調継続【フィスコ・コラム】
*09:00JST カナダドルは軟調継続【フィスコ・コラム】
米トランプ政権のカナダに対する関税措置が嫌気され、カナダドルは弱含む展開が続いています。近年では例を見ないほど米加関係が悪化しており、当面の軟調地合いは避けられないでしょう。今後、持ち直すとすれば、どのような状況が考えられるでしょうか。
トランプ米大統領はカナダ産の自動車、トラック、自動車部品に対する関税を2027年1月から50%に引き上げる方針を表明しました。カナダも報復関税を打ち出しています。北米経済を長く支えてきた一体的なサプライチェーンに亀裂が入るとの懸念も浮上。それを受け、カナダドルは対ドルで1.39カナダドル近くまで値下がりしました。
この下押し圧力は当面、和らぎそうにありません。カナダの輸出の約7割は米国向けと依存度が高く、自動車産業では国境をまたぐ複雑な部品供給網が形成されています。50%の関税が実際に発動されれば、カナダ企業の輸出競争力だけでなく、設備投資や雇用を冷やすとの警戒も強まりそうです。
米国の狙いは、高関税を交渉材料としてカナダ側に譲歩を迫ること。トランプ政権はカナダの自動車政策が米企業を不利に扱っていると主張し、同時に米国内での生産を促す姿勢も明らかです。カナダにとって厄介なのは、輸出の減少だけではありません。関税を回避するため新規投資が米国へ向かえば、国内の製造基盤や雇用にも長期的な影響が及びます。
金融政策にも難題を突き付けます。通商摩擦が長引けば景気には下押し圧力がかかる一方、関税によるコスト上昇は物価を押し上げる要因となります。カナダ銀行は景気下支えとインフレ抑制の間で難しい判断を迫られるでしょう。景気悪化によってカナダの利下げ観測が米国以上に強まれば、両国の金利差を意識したカナダドル売りにつながります。
反転の最大の手がかりは、米加交渉の再開です。50%関税の発動まで約4カ月。その間、税率の引き下げや対象品目の縮小で妥協できれば、市場の警戒感は後退するでしょう。北米の自動車産業は国境をまたいで一体化しており、高関税は米メーカーの部品調達コストに跳ね返ります。米国側にも対立の長期化は負担を伴うわけです。
カナダは米国以外への輸出拡大も進めていますが、巨大な隣国市場を短期間で代替するのは困難とみられます。そのため、カナダドルの本格反発には輸出先の多角化より、やはり通商協議の再開が重要になります。関税撤回まで至らなくても、米加関係が最悪期を越えたとの見方が広がれば、それがカナダドル反転の第一歩となるでしょう。
(吉池 威)
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