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銘柄/投資戦略 2026/07/17 11:48 一覧へ

CAICAD Research Memo(8):グループシナジーの創出によりソリューションモデルへの転換を進める

*11:48JST CAICAD Research Memo(8):グループシナジーの創出によりソリューションモデルへの転換を進める ■今後の方向性

1. 中期経営計画
CAICA DIGITAL<2315>は、「Zaif」を含む連結子会社3社の譲渡による「金融サービス事業」の抜本的な再編に伴い、2023年10月に3ヶ年の中期経営計画を公表しており、2026年10月期はその最終期である。「2030年に向けた将来ビジョン」※の方向性に変更はなく、安定したキャッシュ・フローを生み出す「ITサービス事業」を軸に、とりわけDXソリューションへのシフトを進めつつ、他社との協業等により、ブロックチェーン技術を活用したWeb3ビジネスの拡大を進めている。さらに今後に向けては、M&Aによる「IoT関連事業」及び「介護DX事業」への参入により、これまでの労働集約型モデルから、グループ一体となったソリューションモデルへの事業転換を図る方向性を明確に打ち出した。

※ 「デジタル金融の世界を切り拓く。」をスローガンとして、「あらゆる事がデジタル化される未来。中央集権型から分散型(DeFi)へ、業界構造そのものが大きく変革していく金融。株式会社CAICAはその変革者になります。」を目指す姿に掲げている。

2. 数値目標とその前提
これまで業績面で大幅なマイナス要因となっていた「金融サービス事業」の再編効果と、「ITサービス事業」への集中により、まずは黒字転換を実現するとともに、好調な受注環境が継続している「ITサービス事業」の伸びが成長をけん引する想定である。利益率重視の案件選別や人手不足による受注遅れ、Web3業界全体の停滞感、見込んでいたM&Aの後ずれなどの影響が重なり、意欲的な当初計画※に対しては届かない見通しであるが、「2030年に向けた将来ビジョン」の方向性に変更はない。今後も各業界で需要が拡大しているDXソリューションの強化やWeb3ビジネスの市場創出、さらにはWeb3型IoT統合ソリューション構想の実用化などにより、成長を加速させる。

※ 最終年度(2026年10月期)の数値目標として、売上高7,813百万円、営業利益467百万円(営業利益率6.0%)を目指してきた。

3. 主な中長期施策とこれまでの実績
(1) 既存Web3事業の拡大
・カイカコインの資産価値向上
同社は自社で暗号資産のカイカコインを発行しており、運用実績は9年に及ぶ。今後は活用シーンを増やすことで資産価値の向上を図る。

・「INO Fine」におけるサービスの拡充
「INO Fine」については、クリエイターが制作した作品のNFT化からマーケティングまで包括して行っているが、2023年11月に「INO Fine」でのカイカコイン決済を実装するとともに、同年12月にはカイカコインで決済可能なNFTの第1弾販売を実現した。2024年1月にはクレジットカード決済も可能となったほか、同年5月からはTOPPAN(株)との連携により、NFCタグ機能を活用したNFT配布サービス(NFTカード)の提供を開始するなど、ユーティリティの向上を図っている。また、NFTカードを活用した「NFT漫画プロジェクト」についても着実に実績を積み上げており、これまでに第10弾までの企画を発表している。また、公式オンラインストア「INO Fine GOODS STORE」を新たに開設し、これまで特設サイトで販売してきたIPグッズのすべてを一覧できるようにした。

(2) DXコンサルティングによるSI事業の伸長
これまでの「Zaif」の運営や「INO Fine」の運用実績を生かし、CtoCプラットフォームやIPを保有する企業に対してWeb3事業開発のノウハウを提供する※1。また、主力の「ITサービス事業」については、従来、開発案件の二次請け受注業務が中心であったが、新しい体制を構築することで上流工程の高単価案件を獲得し、収益構造の抜本的な改革につなげる。その一環として、従来のウォーターフォール型の開発体制と併せて、アジャイル型の開発チームにて新たなスクラム体制を組織した※2。また、大手エンタープライズ向けのDXソリューションパッケージを有する海外ベンダーとの提携により、ソリューションパッケージの販売代理、コンサルティング、導入、付随するシステム構築、保守運用までを一貫して、フルSIとして提供する体制を構築した。

※1 Web3の事業化に対するコンサルティングとして、「CAICA Web3 For Biz」の提供を開始。
※2 アジャイル開発は、「計画→設計→実装→テスト」といった開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すところに最大の特徴がある。仕様変更に強いうえ、サービスインまでの期間を短縮できる。

(3) M&Aによる事業拡大
引き続き、M&Aも重要な戦略の1つとして位置付けており、ブロックチェーン関連企業、Web3と親和性の高い企業、システム開発企業などを対象としてきた。既述のとおり、ネクス及び善光総研のM&Aの実現を通じて、Web3型IoT統合ソリューション構想の実用化や介護DXソリューションへの事業領域拡大に向けて大きく前進した。

4. 人材の確保
上記の施策を進めるうえでの課題は、専門分野に特化した人材及びハイスペックな人材の確保であるとの認識に立ち、人材の獲得にも注力している。具体的には、ヘッドハンティング会社や専門分野に特化した紹介会社の利用による採用活動に加え、現状の社員紹介制度の充実も進めている。中期経営計画最終年度の2026年10月期までに「ITサービス事業」の人員(パートナーを含む)を725名(2023年10月期末比57名増)に増やす計画である。また、引き続き同社グループ全技術者をブロックチェーン技術者とする計画を継続するとともに、生成AI技術の急速な進展を踏まえ、「ITサービス事業」に関わる全社員を対象として、AI関連資格の取得を推進する施策を開始した。

5. 弊社の注目点
同社が好調な受注環境の下、「ITサービス事業」への集中を図るとともに、ブロックチェーン技術の活用やWeb3ビジネスとの連携、さらにはM2Mソリューションとの統合により、他のシステム開発会社との差別化(高成長及び高付加価値化)を図る方向性は、同社の強みを生かす理にかなった戦略であると弊社では評価している。今後は、安定している「ITサービス事業」における既存ビジネスに加えて、DXソリューションの拡大により足元の業績を伸ばしながら、Web3ビジネスへの展開をいかに加速させていくのかがポイントになるだろう。特に介護DXへの参入など、各業界で需要が高まっているDXへの流れをいかに取り込んでいくのか、さらには生成AIの活用やセキュリティ対策ニーズへの対応を含め、グループ一体となったソリューションビジネスへの転換をいかに進めていくのかに注目しているが、これらは今後の成長戦略の軸となる可能性がある。その意味でも、ネクス及び善光総研のM&Aは、これまで培ってきた技術やノウハウを具体的なユースケースへと展開し、さらにはプラットフォーム及びソリューションという形で収益化していくうえで大きな成果と捉えることができ、いよいよビジネスとしての完成度が高まってきたとの見方ができる。次の中期経営計画においていかに具体的に成長戦略の中に落とし込まれていくのかに期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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