日産東HD Research Memo(5):中間期の大幅営業減益から下期は回復傾向
*11:05JST 日産東HD Research Memo(5):中間期の大幅営業減益から下期は回復傾向
■日産東京販売ホールディングス<8291>の業績動向
1. 2026年3月期の業績動向
2026年3月期の業績は、売上高が128,997百万円(前期比8.9%減)、営業利益が4,756百万円(同35.8%減)、経常利益が4,754百万円(同35.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,682百万円(同37.8%減)となった。整備事業などストックビジネスは通期で安定した収益を確保、第4四半期には新型車リリースにより回復傾向となったが、端境期などの影響で新車販売台数が低迷して減収減益となり、期初予想に対しても売上高で16,003百万円、営業利益で2,244百万円の未達となった。なお、整備事業の安定収益や継続的なコスト削減に加え、新型車リリースが始まったため第4四半期の営業利益は前年同四半期比で増益に転じた。通期でも2026年2月の修正予想を上回ることができた。
同社は、中期経営計画の重点施策として「電動化リーダー」「安全・運転支援技術」「モビリティ事業」の3本柱を掲げ、変化の激しい自動車業界において持続的かつ安定的な収益構造の確立と、顧客との関係性の一層の強化、企業価値の向上に努めた。しかし、2025年度の全国の新車登録台数が前年度比0.9%減、同社が属すマーケットである東京都内が同0.2%増だったのに対し、同社の登録台数は同13.2%減と厳しい状況であった。これは、新型車と新店が期の後半に集中したため期全体で端境期になってしまったこと、供給元の日産自動車のリストラに伴いネガティブな風評が広まったことにより、来店に影響が生じたことが要因と考えられる。
この結果、売上高は減収となったが、11~1月に新型車3車種をリリースしたほか、1月には烏山店、2月には足立店のオープンを契機に、第4四半期には回復傾向が急速に鮮明になった。利益面では、整備が安定成長を継続、広告など経費を抑制したものの、減収効果により減益となった。しかし、35万件の顧客基盤をベースとするストックビジネスが下支えたことで、利益はコロナ禍前の水準を確保することができた。期初予想に対して未達になったのは、日産自動車の風評の影響が想定外に大きかったようだ。加えて、第3四半期に公表された令和8年度税制改正大綱により新車販売・中古車販売の買い控えが一定数発生したと想定されることや、新型の軽自動車「ルークス」の受注は順調であったが特定の仕様に需要が集中したことで納期遅延が発生したことなどの影響もあったと考えられる。
個人リースや整備事業などストックビジネスは堅調
2. 事業別の売上動向
事業別の売上高は、新車販売の伸び悩みとそれに伴う中古車販売、収入手数料等の減少を、個人リースや整備事業、保険事業でカバーしきれなかった。なお、ストックビジネスの売上総利益の構成比は60%を超える高率となった。また、額は小さいがその他の営業利益が大きく伸びたのは、不動産の有効活用を進めたことが要因である。
新車販売は、日産自動車の風評の影響と新型車と新店の端境期が重なったことで登録台数が2ケタ減となり、減収減益となった。ただし、同社が強みとする個人リースや提案型営業の強化を継続するなか、フルモデルチェンジ車として11月に新型軽自動車「ルークス」、1月に新型電気自動車「日産リーフ」、マイナーチェンジ車としては12月に「セレナ」がリリースされて商品ラインナップが徐々に充実し、さらに1月と2月には新店の開店もあった。このため、第4四半期に入ると新車販売の状況が端境期を脱して明らかに好転、業績貢献の面でも回復傾向が顕著となった。なお、9割程度あった電動車比率が8割を切るところまで下がったが、これは新型軽自動車「ルークス」のヒットによる一時的な減少だと思われる。個人リースについては、商品力と提案力を強みに保有台数が1.8万台(前期末比12.5%増)と順調に拡大した。ストックビジネスのうえ、個人リース市場自体が拡大していることから、新車販売の動向と違って安定した推移となり、一定程度新車販売をカバーできたようだ。
中古車販売は、高採算の高級ボディコーティングなど付加価値販売の提案や小売販売を強化したことで付加価値販売単価が73.0千円(前期比8.1%増)となった。しかし、新車販売台数減に伴う下取車の入庫台数減少の影響により中古車販売台数が21,667台(同10.4%減)となり、全体で減収減益となった。ただし、新車販売と同様、新型車のリリースによって第4四半期には回復傾向が鮮明になったようだ。また、ストックビジネスの中古車個人リースはまだ3年目のため絶対台数は少ないが、2ケタ成長を続けている。整備事業は、35万件の既存顧客基盤に支えられて引き続き入庫が増加、教育プログラム強化によるスキル向上や最新設備導入による生産性向上に加え、物価上昇に対応した適正な価格設定もあり、3期連続の増収増益となった。メンテナンスパック会員も、新車販売台数減の状況下でも13万件超と前期並みを維持した。車検館は、シェア拡大余地が大きいため新規顧客向けのマーケティングを強化しており、4期連続の増収増益となった。
持続的成長へ向けた取り組みを推進
3. トピックス
持続的成長へ向けて積極的に行動した。店舗ネットワークの再構築では、中期経営計画に基づいて2026年2月に10店舗目となるニッサン・リテール・コンセプト店として足立店をオープンした。足立店は、ショールーム内展示台数7台、整備工場設備12ベイ+1車検ラインと同社最大級の基幹店舗で、利便性向上と働きやすさ・機能高度化に加えV2XなどのEV活用設備の拡大により地域のモビリティ拠点としての役割を強化している。人的資本の充実では、1966年より開催されている「全国日産サービス技術大会2025~NISSAN MASTERS Grand Prix」に参加し、自動車整備に関する技術や顧客対応スキルを競うコンペティションで同社チームが準優勝を飾った。また、日産自動車の人財育成プロジェクトの一環である「日産メカニックチャレンジ」に外国籍を含む延べ20名の同社整備士が参加、「SUPER GT」や「スーパー耐久」のレーシングチームの一員として得た現場の経験を日常の仕事に生かしている。このほか、自治体が主催するイベントや防災訓練などへ電源としてEVを提供、店舗や事業所に備蓄する災害備蓄品の一部をこども食堂や保育園などに寄付、東京都が推進する「TOKYOこども見守りの輪プロジェクト」に参画するなど地域社会に貢献した。なお、オリコン<4800>による「2025年オリコン顧客満足度(R)調査」の車検関東部門において、「車検館」が2年連続で第1位を獲得した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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