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銘柄/投資戦略 2025/10/02 11:15 一覧へ

GameWith Research Memo(5):主力のメディア事業での業績悪化により、2025年5月期は減収減益

*11:15JST GameWith Research Memo(5):主力のメディア事業での業績悪化により、2025年5月期は減収減益 ■GameWith<6552>の業績動向

1. 2025年5月期の業績概要
2025年5月期連結業績は、売上高が3,451百万円(前期比1.3%減)、営業損失は196百万円(前期は67百万円の利益)、経常損失は207百万円(前期は45百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は235百万円で、前期の347百万円の損失から損失幅は縮小した。純損失縮小の要因は、前期に計上された減損損失(268百万円)がなかったためである。主力のメディア事業は、モバイルゲーム市場の成長鈍化や広告市況の悪化が響き、減収減益であった。大型タイトルのリリース減少によるPV数低下やPV単価の悪化が影響したが、下期には広告枠最適化施策が奏功し、PV単価は回復傾向を示した。eスポーツ・エンタメ事業も、クリエイターマネジメントの縮小やスポンサーの切り替えタイミングによる影響で苦戦した。新規スポンサーの獲得は順調に進んでおり、主力である「VALORANT部門」がオフシーズン公認大会で準優勝するなど、今後の活躍が期待される。新規事業は、NFTゲーム「EGGRYPTO」の継続的な成長や光回線事業のプロモーション強化が奏功した。特に「EGGRYPTO」は他社IPコラボイベントの継続などで売上高を伸ばし、光回線事業も積極的にプロモーションを実施し申込者数を順調に獲得した。積極的なプロモーション費用投下により、営業損失は前期から拡大した。

(1) メディア
メディア事業の売上高は2,124百万円(前期比6.6%減)、営業利益は637百万円(同29.8%減)と減収減益であった。前期は広告単価の急落やモバイルゲームの新作リリース減少が影響したが、2025年5月期もモバイルゲーム市場の成長鈍化や広告市況の悪化が継続した。特に大型タイトルのリリース減少によりPV数が減少し、メディア広告収益に影響が出た。一方、広告枠最適化施策が奏功し、第3四半期以降PV単価は回復傾向を示し、第4四半期の平均PV単価はここ数年で最高の水準となった点は評価できる。

(2) eスポーツ・エンタメ
eスポーツ・エンタメ事業の売上高は759百万円(前期比8.3%減)、営業損失は222百万円(前期は254百万円の損失)であった。クリエイターマネジメントの縮小やスポンサーの切り替えタイミングが減収に影響した。一方で、新規スポンサーの獲得は順調に進んでおり、主力の「VALORANT部門」がオフシーズン公認大会で準優勝を果たすなど、チーム強化への投資が継続されている状況である。

(3) 新規事業
新規事業セグメントは、売上高567百万円(前期比44.2%増)と大幅に伸長し、全体の減収を一部カバーした。特にNFTゲーム「EGGRYPTO」は5周年を迎え、他社IPコラボイベントの継続的な実施により売上を伸ばした。光回線事業も新規ユーザー獲得のための積極的なプロモーションが奏功し、申込者数を順調に獲得している。これらの積極的なプロモーション費用投下により、営業損失は247百万円(前期は202百万円の損失)と前期から拡大した。中長期的な利益の柱とすべく、先行投資フェーズが継続していると見るべきであろう。

2. 財務状況と経営指標
(1) 連結貸借対照表
2025年5月期末の総資産は前期末比537百万円減の3,347百万円となった。主な要因は、現金及び預金が686百万円減少したこと、及び前期に計上されたのれんが14百万円減少したことによる。一方で、売掛金及び契約資産は52百万円、前払費用は21百万円増加している。負債合計は同291百万円減の671百万円であった。主な要因は、流動負債が251百万円減の640百万円となり、1年内返済予定の長期借入金が215百万円、契約負債が48百万円、契約損失引当金が56百万円それぞれ減少したことによる。買掛金は51百万円、未払費用は17百万円増加している。固定負債も長期借入金が43百万円減少したことなどにより、前期末比40百万円減の30百万円となった。純資産は同245百万円減の2,675百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失235百万円を計上したことによる利益剰余金の減少が影響している。総資産の減少幅が純資産の減少幅を上回ったため、自己資本比率は前期末の75.2%から79.9%へ上昇し、高い財務健全性を維持していると言える。

(2) 連結キャッシュ・フロー計算書
2025年5月期における現金及び現金同等物の期末残高は2,142百万円となり、前期末比686百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の141百万円の収入から一転し、268百万円の支出となった。これは、税金等調整前当期純損失が214百万円、売上債権の増加が52百万円、契約負債の減少が48百万円、法人税等の支払額が58百万円と支出要因が多く発生したためである。一方で、減価償却費26百万円、のれん償却費14百万円、仕入債務の増加51百万円、未払費用の増加17百万円は収入要因として寄与したものの、全体としては支出超過となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の113百万円の支出から増加し、155百万円の支出となった。これは主に、投資有価証券の取得による支出42百万円、有形固定資産の取得による支出20百万円、無形固定資産の取得による支出40百万円、子会社株式の取得による支出56百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の394百万円の支出から減少し、258百万円の支出となった。これは、主に長期借入金の返済による支出258百万円があったためである。前期に99百万円であった自己株式の取得による支出が4百万円に減少したことが、支出幅縮小に貢献した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)

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