サスメド Research Memo(5):不眠障害治療用アプリは製造販売承認事項一部変更承認申請
*11:05JST サスメド Research Memo(5):不眠障害治療用アプリは製造販売承認事項一部変更承認申請
■サスメド<4263>の事業概要
3. 不眠障害治療用アプリは2024年8月に製造販売承認事項一部変更承認申請
不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」については、2021年12月に塩野義製薬と販売提携契約(塩野義製薬に対して日本における独占的販売権を供与、契約締結に伴う一時金及び開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大4,700百万円を受領)を締結し、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得した。そして令和6年度診療報酬改定時における保険適用希望書を厚生労働省に提出して保険適用に向けた準備を進めていたが、2024年1月29日付で保険適用希望書を一旦取り下げた。これは、令和6年度診療報酬改定時の議論において、同じく保険適用の提案が行われていた医師が行う対面式の認知行動療法の不眠症への適応追加に関して保険適用が見送られたことに伴い、同社の「サスメド Med CBT-i(R)」についても保険収載を見送る方針が示されたためだ。
その後、2024年8月30日付で製造販売承認事項一部変更承認申請(既に製造販売承認を取得している医薬品・医療機器等に関して、承認事項の一部を変更するために行う申請)を行った。これは、令和6年度診療報酬改定において、疾患治療用プログラムに関して原則として特定保険医療材料として評価する旨の保険医療材料制度の見直しが行われたことから、新制度を前提に規制当局と協議を重ね、改定後の制度に則って保険収載の手続きを進めるために実施したものである。
今後の見通しとして、製造販売承認事項の一部変更が承認された場合、一般的には保険医療材料等専門組織での審議、中央社会保険医療協議会での承認を経て保険収載が行われることとなるが、具体的な日程は未定としている。なお同社の不眠障害治療用アプリに関する技術は、これまでに日本、米国、韓国、インドネシアにおいて特許が成立し、2023年2月には欧州特許庁より特許査定を受けている。同社は製造販売承認事項一部変更承認及び保険収載を見据えて、塩野義製薬とともに販売開始に向けた準備を継続している。
2024年8月時点の開発パイプラインは12件
4. 治療用・診断用アプリの開発パイプライン
同社の治療用・診断用アプリの開発パイプラインは、2024年8月9日時点で12件(不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」を含む)である。
乳がん患者運動療法アプリ「SMD401」(開発パートナー:国立がん研究センター)、及び進行がんを対象疾患領域(意思決定支援)とするアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)用プログラム医療機器「SMD402」(開発パートナー:慈恵会医科大学)については、探索的試験が完了し、次試験の開始に向けて準備中である。SMD402の利用により期待される効果としては、患者の心理的苦痛の軽減、不安・抑うつ症状の改善、不適切な治療の中止などがある。2024年6月には、探索的試験の結果について米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて発表した。
慢性腎臓病リハビリアプリ「SMD201」(開発パートナー:東北大学、日本腎臓リハビリテーション学会)についても、探索的試験が完了し、次試験の開始に向けて準備中である。期待される効果としては、腎機能の改善もしくは悪化抑制、透析治療への移行防止などがある。慢性腎臓病患者の腎機能の改善もしくは悪化抑制においては腎臓リハビリが有効であることが示され、保存期の慢性腎臓病患者において運動療法をはじめとする腎臓リハビリが推奨されている。また、医療の質と効率性の向上を両立させるために、スマートフォンを活用した治療用アプリは医療ニーズに合致すると同社は考えている。遷延性悲嘆障害を対象疾患領域とする「SMD102」(開発パートナー:チューリッヒ大学)、並びにオピオイド誘発性便秘症を対象疾患領域とする「SMD202」については、探索的試験の開始に向けてアプリ開発中である。
耳鳴を対象疾患領域とする「SMD403」(開発パートナー:杏林製薬)については、特定臨床研究を実施中である。乳がん切除後疼痛症候群(PMPS=postmastectomy pain syndrome)を対象疾患領域とするAcceptance & Commitment Therapy(ACT)アプリ「SMD105」(開発パートナー:名古屋市立大学)については、臨床研究が終了し、探索的試験に向けて準備中である。産婦人科領域を対象疾患領域とする「SMD106」(開発パートナー:あすか製薬)は探索的試験の開始に向けてアプリ開発中である。持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD=persistent postural perceptual dizziness)を対象疾患領域とする「SMD107」(開発パートナー:新潟大学)については、2024年5月に第125回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会において発表を行い、同年8月に臨床試験を開始した。
診断分野では、妊産婦うつを対象疾患領域とする「SMD103」(開発パートナー:名古屋大学)については、既にアルゴリズム及び装置に関する特許が成立し、2024年4月には共同研究論文を発表するなど、探索的試験の開始に向けてアプリ開発中である。「ADHD(注意欠陥・多動性障害):視線解析」を対象疾患領域とする「SMD104」についても、探索的試験の開始に向けてアプリ開発中である。
なお、2022年11月に杏林製薬と締結した「SMD403」の共同研究開発及び製品上市後の販売に関する契約に基づいて、契約締結時の一時金100百万円と臨床研究開始に伴うマイルストン収入100百万円の計200百万円を2024年6月期の収益として計上している。また2023年9月には、産婦人科領域のスペシャリティファーマであるあすか製薬と、産婦人科領域における治療用アプリ「SMD106」の共同研究開発及び製品上市後の販売に関する契約(契約一時金200百万円及び開発段階に応じたマイルストン収入として総額2,500百万円、製品上市後の販売額に応じたロイヤリティーを受領予定)を締結しており、契約一時金200百万円については受領済み(収益としては未計上)である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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