フィスコニュース

銘柄/投資戦略 2026/08/28 11:08 一覧へ

P-京橋アートレジ Research Memo(8):一般市場への上場で成長に弾みをつける

*11:08JST P-京橋アートレジ Research Memo(8):一般市場への上場で成長に弾みをつける ■成長イメージ

1. 中期的な事業展開
京橋アートレジデンス<5536>は、不動産開発創造事業において、新築マンション開発事業を引き続き強化するとともに、アパートメントホテル開発とリノベーション再販の事業化による収益の多角化を進め、中長期的に高成長を持続する計画である。そのなかで、成長に弾みをつけるため2027年以降に一般市場への上場を目指しており、既に内部管理体制の強化に入っている。

主力の新築マンション開発事業では、人員体制や社外ネットワークを継続的に強化することで、東京23区を中心に開発数を月2棟のペースへと増やす。特に新宿、池袋、上野、品川など知名度の高いエリアでの供給を増やすことで顧客層を拡大するほか、高額物件の扱いを増やして富裕層や海外投資家向けの商品ラインナップを強化し、資産形成用一棟収益マンションのマーケットにおける地位確立を目指す。アパートメントホテルへの進出も積極化する。開発~運営の体制を構築できたため、台東区や中央区、大阪なんばなど新築マンション開発事業以上に広範なエリアで既に9物件の仕入れを実施済み、2026年以降順次着工する予定で、早ければ2028年夏以降にオープンが続くことになりそうだ。リノベーション再販では、同社の企画力が生かせてニーズが強い、住居やオフィス、店舗などの一棟丸ごと及び高額ヴィンテージマンションのリノベーションを強化しており、足元で徐々に実績を積み上げていく方針だ。現状は好調な新築マンション開発事業に経営資源を集中投下しているため、アパートメントホテル開発とリノベーション再販は中期的に2本目、3本目の柱とする計画である。

このほかの不動産開発創造事業に関しては、情勢を見ながら着実に展開する。新築戸建・宅地開発事業では共同事業を中心に開発を進めているが、土地の取得費用が高騰しているためマンション開発に比べると今後も抑制した傾向が続く見込みである。企画力や推進力を生かせる不動産コンサルティングやプロジェクトマネジメント事業については拡大を図り、オフィス、商業、医療などとの複合開発を行う。スタートアップ企業への出資や提携については、DX関連などで既に事業シナジーの創出も進んでいることから、既存事業とのシナジーや事業領域拡大、社会貢献につながるものは引き続き積極的に展開する予定だ。ESG関連事業では事業ポートフォリオの再構築を進めており、再生可能エネルギー事業から、賃料収入を目的とした保有事業や地域貢献など環境・社会課題の解消に取り組む事業へと資産を入れ替えていく。また、新たな展開として、不動産小口化やクラウドファンディングによる個人の資産形成用商品を開発する意向で、認知度を高めるための取り組みを検討している。


3本柱をコアに中長期成長局面へ

2. 中長期成長イメージ
主力の新築マンション開発事業が好調なため、中期的に同社の成長をけん引すると見られる。というのも、強いニーズを背景に既に1ヶ月当たり2棟近いピッチで開発が進んでおり、遠からず年間20棟以上の引き渡しが視野に入ると考えられるからだ。また、顧客ニーズや敷地面積など条件によっては、ワンサイズ大きい不動産ファンドや外国人向けミドルクラスの新築マンションの開発も増えており、棟数と販売価格の両面で売上高成長をけん引する見込みである。アパートメントホテルは、東京都心のほかニーズが強い大阪を含めて開発が動き出していることから、リノベーション再販に先行して事業拡大が進む可能性が高いと予想される。リノベーション再販については、ヴィンテージマンションの区分リノベーションや一棟賃貸マンションをメインに、中長期的に少しずつ拡大していくことになろう。

以上から、同社は3本柱の成長に支えられ、売上高が中長期的に伸びていく局面に入ると予想される。利益面でも、成長やマーケットポジションの確立に向けてコストが先行する場面も想定されるが、固定費が毎期大きく増加することは考えにくく、中長期的に売上高を上回る高成長が期待される。ただし、新築マンション開発事業の成長や、アパートメントホテル開発とリノベーション再販の事業化に伴い、人員・組織の強化や資金調達の多様化は避けられず、持続的な成長には戦略的な対応が必要となるため、2027年以降に一般市場に上場することは、大変有意義なことだと思われる。3本柱以外では、仲介コンサルやDXコンサルといった周辺事業の拡張や、長期的にはフィリピンでの低所得者向け住宅の開発事業への進出(基本合意済み)なども視野に入れた事業展開となりそうだ。

3. 課題と戦略的対応
中長期的に3本柱を伸ばしていくためには、前述のとおり、人材・組織の強化と資金調達の多様化が課題となる。人材に関しては、2027年以降の一般市場上場へ向け、内部統制やリスク管理体制、コンプライアンス体制など管理面の人材補強を進めている。現状では成長が続く新築マンション開発事業に人材を集中させているため、アパートメントホテル開発とリノベーション再販を事業化し成長させていくためには、さらなる採用と育成が必要となる局面に入ったと言えよう。

資金調達の多様化も重視する必要がある。業態特性上、棚卸資産や借入金が多くなるのは仕方ないが、棚卸資産がプロジェクトとして資金調達と紐付いていること、金融機関とのネットワークが強固になったことから、今後も借入金を増やす余地は小さくないと考えられる。また、多額な資金を必要とするアパートメントホテル開発では、ゼネコンと組むことで同社が開発に特化できるため、資金調達せずに開発利益を享受できる。しかし、案件の数だけでなく規模や事業領域が拡大しており、金利も反転上昇しつつあることから、資金調達の多様化は中期的に必須事項になったと言える。

同社はこれらの課題を既に認識しており、解消に向けて棚卸資産の安定的収益化(在庫回転率の引き上げ)や資産の入れ替え(太陽光発電施設の売却)を進めている。さらに、2024年11月期に初配当を実施する一方で、2025年11月期にはJ-Adviserと流動性プロバイダーの証券会社を変更した。こうしたことを背景として2027年以降に一般市場へステップアップ上場することで、資金調達の多様化が大きく前進するだけでなく人材採用にも大きな効果がある。今後は、成長戦略や資本政策などを包括した中期経営計画の策定にも期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

<NH>

フィスコニュース

マーケット ニュース一覧