ドーン Research Memo(4):「NET119」「Live119」などのクラウドサービスが堅調に増加
*13:04JST ドーン Research Memo(4):「NET119」「Live119」などのクラウドサービスが堅調に増加
■ドーン<2303>の業績動向
1. 2025年5月期中間期の業績概要
2025年5月期中間期の売上高は635百万円(前年同期比15.3%増)、営業利益191百万円(同15.5%増)、経常利益195百万円(同10.6%増)、中間純利益138百万円(同10.3%増)と上半期の過去最高となる売上高及び各利益を達成した。
中間期の売上高は堅調に推移した。各種クラウドサービス・アプリの契約数が積み上がり、売上構成比で63.6%を占めるストック型の「クラウド利用料」が前年同期比8.1%増と順調に増加した。クラウドサービスは、主力の「NET119緊急通報システム」が消防管轄人口カバー率7割を超えてトップシェアを堅持したのに加え、第2の柱である映像通報システム「Live119」は人口カバー率45%を超えるまで導入拡大が進んでいる。また民間向けの映像通話システム「Live-X」、地方自治体の業務等に関連する適時の情報伝達を支援するメッセージ配信サービス「Mailio」、自治体や警察が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリ、災害対策本部での情報収集を支援する「DMaCS(災害情報共有サービス)」等、各種クラウドサービスが順調に推移した。「クラウド初期構築」収入はフロー型の収入であるが、前年同期比で21.8%増と高い伸びとなっており、今後ストック型の「クラウド利用料」につながる。同社のクラウドサービスは、防災・防犯分野の行政サービスの基盤であることなどから、解約率が低い(1%未満)ことが特長であり、結果として安定成長が可能である。「SI(初期・保守)」収入は、売上構成比で約2割であり、売上発生のタイミングが年度末に偏るため中間期は相対的に少ない傾向にある。
営業利益は前年同期比15%を超える増益となった。クラウド利用料の増加などにより売上総利益が前年同期比11.6%増加したのに対し、販売費及び一般管理費は同8.6%増と相対的に伸びが抑制されたことが主な要因である。結果として、営業利益率は30.1%と高い水準を維持した。主力事業モデルであるクラウドサービスの卓越性が分かる。
2. 財務状況と経営指標
2024年11月期末の総資産は前期末比87百万円増の2,903百万円となった。現預金が309百万円減少したものの、関係会社社債が161百万円、投資有価証券が101百万円、関係会社株式が74百万円、それぞれ増加したことなどが主な要因である。負債合計は同10百万円減の324百万円であり、その他流動負債が75百万円増加した一方で、買掛金が35百万円、未払法人税等が37百万円、それぞれ減少したことなどが主な要因である。有利子負債はなく、無借金経営を継続している。経営指標では、流動比率676.7%、自己資本比率が88.8%と非常に高く、安全性は極めて高い。収益性の高さ(売上高営業利益率で30.1%)が盤石な財務基盤の源である。現預金残高は1,614百万円、投資有価証券は650百万円と潤沢であり、M&Aや先行投資の余力も十分ある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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