アイル Research Memo(1):2025年7月期も増収増益で過去最高予想
*12:01JST アイル Research Memo(1):2025年7月期も増収増益で過去最高予想
■要約
アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。リアルとWebを融合した「CROSS-OVERシナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化にとどまらず、日々複雑化するバックサイド(バックオフィス、バックヤード)を変革する「BX※」により価値創造の実現を目指す。
※ バックサイドトランスフォーメーションの略。同社独自の「CROSS-OVERシナジー」戦略によって、バックサイドから変革を起こすことで価値創造を実現する新しい概念。
1. 生産性向上が売上総利益率上昇につながる好循環スパイラルを形成
同社は、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力とするシステムソリューション事業、クラウド型でサービス提供する複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」や実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」を主力とするWebソリューション事業(CROSS事業、その他Web事業)を展開している。収益性向上に向けて製販一体体制による生産性向上及びストック売上拡大を推進している。受注段階での営業と開発の連携強化によってカスタマイズ工数削減やトラブル未然防止に取り組み、総合的な品質・生産性向上によって売上総利益率上昇につなげるという好循環スパイラルを形成する戦略だ。その成果として売上高は拡大基調、売上総利益率は上昇基調となっている。
2. 2024年7月期は大幅増収増益で過去最高
2024年7月期の連結業績は売上高が前期比9.9%増の17,508百万円、営業利益が同20.2%増の4,263百万円、経常利益が同20.0%増の4,285百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の2,887百万円だった。おおむね会社予想(2024年6月7日公表値)水準の増収増益で着地し、過去最高だった。慢性的な人手不足に悩む中堅・中小企業におけるDX需要を着実に取り込んだことに加え、製販一体体制やパートナー戦略の推進などでシステムソリューション事業の高成長が継続し、Webソリューション事業も順調だった。売上総利益は同12.6%増加し、売上総利益率は同1.3ポイント上昇して55.8%。販管費は同7.3%増加したが、販管費比率は同0.7ポイント低下して31.5%となった。この結果、営業利益率は同2.1ポイント上昇して24.4%となった。
3. 2025年7月期も増収増益で過去最高予想
2025年7月期の連結業績は売上高が前期比9.4%増の19,150百万円、営業利益が同12.6%増の4,800百万円、経常利益が同12.6%増の4,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.8%増の3,257百万円と増収増益で過去最高を見込んでいる。なお増収増益を継続しつつも、次のステップに向けた成長投資を優先する方針である。中堅・中小企業における人手不足の深刻化などによりDX需要が高水準に推移し、案件規模の大型化が進展することも想定している。コスト面では仕入商品の値上げ、人件費や広告宣伝費の増加などを見込むが、増収効果、契約案件の見極め精度向上による納期短縮と安定稼働、仕入価格高騰に対する価格転嫁、ストック売上積み上げなどで吸収する。同社は期初時点では保守的な業績予想を公表する傾向が強いが、事業環境が良好であること、ストック売上が拡大基調であること、製販一体戦略の成果で売上総利益率が上昇基調にあることなどを勘案すれば、好業績が期待される。
4. 長期的に営業利益率30%超を目指す、株主還元も強化
同社は中期経営計画について、急激な事業環境の変化などに応じて随時計画を見直すローリングプランを採用している。2023年9月に策定した3ヶ年計画は、2024年7月期実績が計画を大幅に上回った。それを受け、2024年9月に前回計画を上方修正した3ヶ年計画(2025年7月期〜2027年7月期)を策定した。長期的な目標である営業利益率30%超に向けたステップアップの3年と位置付けて、年平均2ケタ成長を維持しつつ、人財投資やプロモーション投資など成長投資の加速によって経営基盤の一段の強化を推進する。また2025年7月期は8期連続増配を見込んでいる。同社は余剰資金を活用して株主還元を強化する方針であり、収益拡大に伴って株主還元のさらなる充実が期待される。
■Key Points
・中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業
・2024年7月期は大幅増収増益で過去最高
・2025年7月期も増収増益で過去最高予想
・長期的に営業利益率30%超を目指す、株主還元も強化
・利益率上昇基調を評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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