グローバルS Research Memo(3):高品質なオーダースーツを提供、製販一体で成長を実現
*15:33JST グローバルS Research Memo(3):高品質なオーダースーツを提供、製販一体で成長を実現
■事業概要
1. 事業内容
グローバルスタイル<7126>は、主にビジネスパーソンを中心とした顧客に対し、オーダースーツを軸とするオーダービジネスウェアを企画・販売している。既製服ではなくパーソナルオーダーを前提とし、顧客一人ひとりの体型、嗜好、利用シーンに合わせたスーツ、シャツ、コートなどを提供する点が特徴である。店舗でのスタイリストによるカウンセリングと採寸を起点に、豊富な生地やモデルから商品を選ぶ体験型の購買プロセスを重視しており、価格帯は1着2万円台(スーツ2着以上のオーダーを前提とした価格)からとオーダーとしては手の届きやすい水準を実現している。
同社のビジネスモデルは、受注生産を基本とするアセットライト型の事業構造にある。縫製工場と協同で店舗ニーズを踏まえたデザイン開発を行い、顧客からの受注後に生地問屋から必要な生地を一括で仕入れ、縫製工場へ支給する。その後、受注内容に基づいて縫製を行い、完成品を顧客へ納品する流れとなっている。在庫リスクを抑制しながら、トレンド性や多様な選択肢を確保できる点が収益性と効率性の両立に寄与している。また、採寸データを蓄積・活用することで、オンラインオーダーやリピート需要の取り込みにもつなげている。
店舗展開については、顧客体験や価格帯の違いに応じた複数の業態を展開している。中核となる「GINZA Global Style」は、プライベートフィッティングルームを備え、上質感と選ぶ楽しさを両立した店舗であり、2025年12月末時点で全国主要都市に11店舗を構えている。これを発展させ、ウェイティングカフェを併設した「GINZA Global Style COMFORT」は19店舗と最大規模の業態である。加えて、プレミアムラインを強化した「GINZA Global Style PREMIUM」が8店舗、都心ハイクラス層向けに再構築した「Premium Marunouchi」を2店舗展開している。その他、原点となる「Global Style」1店舗があり、合計で41店舗体制となっている。これらに加え、既存会員向けのオンラインオーダーサービスや、クリーニング・保管・修理を行う「GSクローゼット」などの周辺サービスも展開している。
同社の特徴は、オーダーでありながら価格競争力と体験価値を両立している点にある。受注生産と分業体制による効率的なサプライチェーンにより、オーダー特有の高コスト構造を抑制し、プライベートフィッティングルームやカフェ併設などの店舗設計により、来店そのものを価値ある体験へと昇華させている。また、豊富な生地バリエーションや複数価格帯の業態展開により、若年層からハイクラス層まで幅広い顧客層をカバーできる点も競争優位性となっている。加えて、採寸データを基盤としたオンラインオーダーやアフターサービスを通じて顧客接点を継続的に確保し、長期的な関係性とリピート需要を創出できる点は、同業他社との差別化要因として評価されよう。
2. 会員サービス
同社は会員サービスとして「GS倶楽部」及びスマートフォン向けの「GSアプリ倶楽部」を展開しており、購入履歴の管理、サイズデータの蓄積、会員限定キャンペーンや先行情報の提供などを通じて、顧客の利便性と継続利用意欲の向上を図っている。特にオーダースーツという特性上、一度採寸したデータを継続的に活用できる点は顧客の再来店ハードルを下げ、LTV(顧客生涯価値)の向上に寄与している。こうした取り組みを背景として、両サービスの合計会員数は2021年7月期末が352,625人に対し、2025年7月期末には638,537人と着実に拡大しており、安定的な集客基盤が構築されていると考えられる。会員基盤の拡大はリピート需要の創出や販促効率の改善につながるだけでなく、将来的なデータ活用による商品提案力の高度化や収益性向上の余地を広げる点でも、同社の中長期的な成長を支える重要な要素となっている。
3. 競合環境
同社が属するオーダースーツ市場は、量販店から百貨店、個人テーラーまで多様なプレイヤーが存在する競争環境にある。主な競合としては、青山商事<8219>が展開する「麻布テーラー」や「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE’S」、コナカ<7494>の「SUIT SELECT」や「DIFFERENCE」、オンワードホールディングス<8016>が展開する「KASHIYAMA」、AOKIホールディングス<8214>やはるやまホールディングス<7416>のオーダースーツ事業などが挙げられる。これら大手チェーンは全国規模の店舗網と知名度を背景として、一定の価格帯と標準化されたサービスを提供している点が特徴である。青山商事は比較的高級寄りのポジショニングを取り、既製スーツで培った顧客基盤をオーダー分野に誘導している一方、コナカやAOKIは短納期や分かりやすい価格設定といった手軽さを前面に打ち出している。また、新興勢力としては(株)FABRIC TOKYOがオンライン起点のD2Cモデルを採用し、採寸データのデジタル化や店舗オペレーションの効率化を強みに成長している。このほか、(株)オーダースーツSADAやエフワン(株)などの老舗オーダー専業、Loro Piana(ロロ・ピアーナ)など高級服地ブランドの直営店、百貨店のオーダースーツコーナー、大手セレクトショップ、さらには個人テーラーまで含めると、競争の裾野は広い。
このような競合環境のなかで、同社は「本格的なフルオーダーに近い商品体験を、手の届く価格帯で提供する」という中間ポジションを確立している。同社は豊富なインポート生地の品揃えと、複数着同時購入による価格メリットを打ち出す独自の販売モデルを採用しており、高級生地ブランド直営店や百貨店と比べて価格競争力が高い一方で、量販チェーン型オーダーよりも選択肢や仕立ての自由度が高い。この「高付加価値×価格納得感」のバランスが差別化要因になっていると考えられる。また、同社は店舗を単なる販売拠点ではなく、スタイリストによる接客や空間設計を重視した「体験型店舗」として位置付けている。短納期や利便性を重視するD2C型や低価格オーダーとは異なり、来店体験そのものを価値として提供することで、ビジネスパーソンを中心としたリピート顧客の獲得に成功しており、競合がひしめくオーダースーツ市場において独自の競争優位性を有していると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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